*

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、紀伊半島へ】最終日(紀伊勝浦-東京)その1-紀伊勝浦、太地、湯川、那智、三輪崎、新宮、丹鶴城公園、鵜殿(紀勢本線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/31 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年3月9日その1・・・紀伊勝浦駅、太地駅、湯川駅、那智駅、三輪崎駅、新宮駅、鵜殿駅(紀勢本線)

2014・3・9 7:12 紀伊勝浦(きいかつうら)駅(紀勢本線 和歌山県)
旅館のおかみさんはとても美人でやわらかい和歌山弁を話す。
バレーボール全日本代表の中に彼女に似た美人がいるが名を思い出せない。

港では松島巡りを売り、マグロとクジラ料理を推奨している。
朝の早い喫茶店は、確か昨夜暗くなっても営業していた。

黒潮の町を出る一番列車は都会からすれば遅く、旅先のオレにしてはのんびりとした朝を迎えた。
朝の寒さは東京と変わらない。

駅から港へと向かう道は昨夜も何度も通り、今朝もまた。
港の風景とあわせて、おそらくオレなら見飽きることはないだろう。

那智本宮、熊野古道、那智の滝。
ゆっくりと旅ができる地点まで人生を進められたら、また来よう。




7:31 太地(たいじ)駅(紀勢本線 和歌山県)
串本方面に2駅。
クジラ漁で世界的に悪名が轟いたのが太地湾。
その太地の風景を見ておきたかった。

上りの列車はたいして時間を置かずにくるから、すぐに引き返すことになる。
駅は少し奥まった場所にあり、高台のホームから現場は見えなかった。

漁師は何も悪いことをしているわけじゃない。
昔からの営みを守っているに過ぎない。
そんな暮らしに外野から非難が起こる。
やりきれない思いでおられることだろう。

生きていくことの意味を考えのるには、ここはいい場所なのかもしれない。

湯川(ゆかわ)駅(紀勢本線 和歌山県)
紀伊勝浦方面に戻り、ひと駅目。

かつて駅前の駐車場に車を止めて、駅のホームへと駆け上がり眺めた湯川湾。

外洋に口を開けた美しい景色が、そこにあった。

8:16 那智(なち)駅(紀勢本線 和歌山県)
渡海上人舟出の浜で日を浴びる。

駅から海辺はすぐの距離にある。
駅前には補陀洛山寺が鎮座している。
古歌に詠まれた「渚の森」だという。

「近畿の駅百選」に選ばれた那智駅は、道の駅に隣接している。特に目につくものはない。
寂れた現代風景と輝かしい世界遺産。
皮肉にも見えるが、ここは古の道の入口にあたる。
そんな場所の現代風景として、この駅前は違和感を持たない。

平家ゆかり地でもあり、平時子、平維盛の慰霊碑が近くにあるという。
しかし肌寒い。
ビールは余計だった。

8:41 三輪崎(みわざき)駅(紀勢本線 和歌山県)
数分の停車。

神話の浜に冷たい風が吹く。
南海人の会話はラジオを聞くより面白い。

神武東征上陸地の看板が見えた。
神話の頃、現在オレが暮らすあたりは蛮族の巣だったわけだ。

新宮へとつながる開けた砂浜が美しい。
那智の砂浜もまた白かった。

新宮(しんぐう)駅(紀勢本線 和歌山県)にて

9:19 丹鶴城公園(たんかくじょうこうえん)
乗ってきた列車は新宮止まり。
街に下りる。
次の上り列車が来るまで3時間近く待たなければならない。

新宮の街をぶらぶらしながら時間を潰そうと思っていたけど、計画変更。
かつて42号国道から眺めた風景を頼りに、ひと駅歩いて県境を越えようとしている。
手始めに百貨店やスーパーが並ぶ一帯を抜けてここ新宮城跡に登り、新宮市内を一望に収めた。

古い時代、このあたりがどういう経緯で神域になったのかよくは知らない。
どれくらい昔の話なのかも知らない。
新宮駅前に公園として整備されている徐福さんの話もそうだ。

でもこうして外洋に開かれた街を眺めると、様々なことがあったのだろうという想像はつく。
海洋民族でもあった日本人。
南海道の知らざる歴史に思いを馳せる。


新宮~鵜殿間(徒歩)


10:47 鵜殿(うどの)駅(紀勢本線 三重県)
ジャズの名演奏が流れていた新宮の「仲の町」。

熊野速玉大社に立ち寄り、熊野川を渡る。

新宮の街中が幻かと思えるほど歩き、渡った先の三重県紀宝町には穏やかな春の日差しが満ち、冷たかった北風は心地いいものに変わった。
雲雀の声が聞こえる春先の南紀を満喫している。

北越紀州製紙の工場へとつながる引込み線が敷かれた寂れた駅にいる。
しかし駅前は42号国道(熊野街道)に沿ってなかなか賑やかだ。
ホテル、各種飲食店にギターショップまである。

コンビニの若い女性は、都会的な可愛らしさとよそよそしさでオレにビールを売った。
近くでビートたけしさんによく似たじいさんを見かけた。

それにしても、なかなか堪える徒歩行だった。

関連記事

「鉄旅日記」2016年春【東日本大震災被災地へ】最終日(水沢-東京)その2-気仙沼、一ノ関、小牛田、大河原、福島、安積永盛、久喜(大船渡線、東北本線)

鉄旅日記2016年3月6日その2・・・気仙沼駅、一ノ関駅、小牛田駅、大河原駅、福島駅、安積永盛駅、久

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】3日目(姫路-十三)その3-高速神戸、湊川神社、神戸三宮、甲陽園、夙川、西宮北口、宝塚、箕面、石橋、北千里、十三(阪急電鉄神戸高速線/神戸本線/甲陽線/今津線/宝塚本線/箕面線/千里線)

鉄旅日記2017年8月12日・・・高速神戸駅、神戸三宮駅、甲陽園駅、夙川駅、西宮北口駅、宝塚駅、箕面

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走 最終日(酒田-東京)その2‐小波渡、五十川、府屋、あつみ温泉(羽越本線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】

鉄旅日記2019年12月8日・・・小波渡駅、五十川駅、府屋駅、あつみ温泉駅(羽越本線) 8:59

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その1-近鉄奈良、新田辺、三山木、JR三山木、狛田、下狛、新祝園、祝園、学園前、学研奈良登美ヶ丘(奈良線/京都線/けいはんな線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・近鉄奈良駅、新田辺駅、三山木駅、JR三山木駅、狛田駅、下狛駅、新祝

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】最終日(新庄-東京)その2-女川、渡波、松島海岸、本塩釜、仙台、駒ヶ嶺、原ノ町、桃内、いわき、石岡(石巻線/仙石線/常磐線)

鉄旅日記2009年10月11日・・・女川駅、渡波駅、松島海岸駅、本塩釜駅、仙台駅、駒ヶ嶺駅、原ノ町駅

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】3日目(姫路-十三)その1-山陽姫路、山陽網干、飾磨、大塩、高砂、山陽垂水、垂水、滝の茶屋、山陽塩屋、塩屋、山陽須磨(山陽電車本線/山陽電車網干線)

鉄旅日記2017年8月13日・・・山陽姫路駅、山陽網干駅、飾磨駅、大塩駅、高砂駅、山陽垂水駅、垂水駅

記事を読む

「車旅日記」2004年秋【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】2日目(宇野-下津井-新見-津山-城崎)走行距離377㎞ その1-宇野駅、児島駅、下津井港、倉敷駅、総社駅、備中高梁駅、新見駅

車旅日記2004年11月21日・・・宇野駅、児島駅、下津井港、倉敷駅、総社駅、備中高梁駅、新見駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その6‐上川口、養父、豊岡、香住(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月23日・・・上川口駅、養父駅、豊岡駅、香住駅(山陰本線) 18:35&

記事を読む

「鉄旅日記」2018年弥生-小手指、西所沢、西武遊園地、小川、東村山、西武園、西武遊園地、萩山、小平(池袋線/狭山線/山口線/多摩湖線/国分寺線/拝島線/西武園線/新宿線)【西武線を楽しむ日。いくつかのターミナル駅に降りてみたかったのでございます。】

鉄旅日記2018年3月17日・・・小手指駅、西所沢駅、西武遊園地駅、小川駅、東村山駅、西武園駅、西武

記事を読む

「鉄旅日記」2018年神無月 最終日(松本-辰野-天竜峡-岡谷-東京)その3-勝沼ぶどう郷、大月(中央本線) 【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】

鉄旅日記2018年10月8日・・・勝沼ぶどう郷駅、大月駅(中央本線) 17:25 勝沼ぶどう郷(か

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その1 ‐金町、東京、くりこま高原(常磐線/東北新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・金町駅、東京駅、くりこま高原駅(常

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その5 ‐仙台、鹿島、原ノ町、浪江、常陸多賀(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・仙台駅、鹿島駅、原ノ町駅、浪江駅

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その4 ‐山寺(仙山線)/立石寺山門売店/高砂屋本舗 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・山寺駅(仙山線)/立石寺山門売店

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その3 ‐米沢、赤湯、中川、山形、北山形(奥羽本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・米沢駅、赤湯駅、中川駅、山形駅、

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その2 ‐峠(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・峠駅(奥羽本線)/力餅商店/峠の

→もっと見る

    PAGE TOP ↑