「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】4日目(鹿角花輪-花巻)-鹿角花輪、荒屋新町、盛岡、北上、和賀仙人、横手、大曲、角館、田沢湖、雫石、小岩井、花巻空港、新花巻、花巻(花輪線/東北本線/北上線/田沢湖線/釜石線)
鉄旅日記2011年8月16日・・・鹿角花輪駅、荒屋新町駅、盛岡駅、北上駅、和賀仙人駅、横手駅、大曲駅、角館駅、田沢湖駅、雫石駅、小岩井駅、花巻空港駅、新花巻駅、花巻駅(花輪線/東北本線/北上線/田沢湖線/釜石線)
2011・8・16 6:11 鹿角花輪(かずのはなわ)駅(花輪線 岩手県)
花輪ねぶたが終わり、明々後日からは花輪ばやしが始まる。
通りで、駐車場で、若者たちが準備に勤しんでいる。
ハミングロードおおまち、キララしんまち。
朝になって街を歩いて驚いた。
こんなにもしっかりした街なのかと。
いい意味で期待を裏切られた。
日本はまだまだ広い。
行ったことのないステキな街がまだまだたくさんあるだろう。
パークホテル屋上ではビヤガーデンをやっていた。
夏を待ちわびる花輪の人々。
ささやかだが、駅舎にもホームにも提灯が下がり歓迎ムードに溢れていて、21:00という地方都市にとっては真夜中のような時間帯に着いても、何かが待っていると思わせてくれて胸が躍った。
昨夜は駅前の土産物屋で食事。
ラーメンが続いていた身にきりたんぽ鍋はご馳走だった。
街を気に入ったので土産を買い込んだ。
あとはワインとお酒。
八幡平、十和田湖、湯瀬温泉。
中学校の修学旅行で訪れた尾去沢鉱山跡が近くにあった。
このあたりにあったのか。
花輪線は残り少なくなった未踏の道で楽しみにしていた。
そして花輪で思いは達した。
酒も風呂も街並もよかった。
土産はきっと喜ばれるだろう。
明日には帰る。
友人から赤富士の写真が届いた。
いいなあ。
それぞれの夏だ。
あとは今日、能代商業がベスト8に行くことができたら最高だ。
秋田も沸くだろう。




6:58 荒屋新町(あらやしんまち)駅(花輪線 岩手県)
岩手県に入っている。
朝が涼しい。
東京にはない新鮮な朝だ。
今日は曇りか?
別に構わないけど。
左手に大鳥居を過ぎる。
低い杉山に田圃。
山に囲まれた僅かな平地に集落が生まれ、田が植わり、列車が走っている。
7:04小屋の畑発。
車窓に小さな祠を見つけるとうれしくなる。
8:46 盛岡(もりおか)駅(東北新幹線/東北本線/田沢湖線/山田線/いわて銀河鉄道線 岩手県)
東北本線に乗り換え、北上へ。
弱い雨。
北上川は近かった。
かつて盛岡駅にいたのは10年以上前。
その一度きり。
6人の賑やかな旅行だった。
わんこそばも食べた。
街並は、あぁこんな感じだったなと思ったけど、大通りアーケード街の記憶はない。
並行する風俗スナック街と合わせて大歓楽街だった。
あのドンツキが城址公園なのだろう。
そこまでは行けなかった。
今風の若者が二人岩手弁で話してる。
東北も美人が多い。
ただのオッサンじゃなくて、オレは現役の男として街を歩いているつもりだ。
風景の中に東北新幹線の高架が必ず存在する。
雨雲が勢力を増した。


10:18 北上(きたかみ)駅(東北新幹線/東北本線/北上線 岩手県)
北上線に乗り換える。
あれは暑い夏の日だった。
秋田日本海あたりで車中泊をして、この駅に立ち寄り、それから遠野に行ったんだ。
昼に近かったこともあって、駅前は観光客で賑わっていたと記憶している。
暑い日だった。
それだけは間違いない。
街を歩く。
蝉時雨のムコウに歓楽街が見えた。
ダウンタウンにグリンビル。
そこで引き返した。
10:20発横手行を逃すと北上線は3時間走らない。
北上から2駅を過ぎて車内、車窓とも北上郊外線の様相で座席もほぼ塞がっている。
10:31藤根着。

10:51 和賀仙人(わがせんにん)駅(北上線 岩手県)
神秘的な駅名だ。
仙人伝説でも残っているのか。
実際、北上郊外を脱した列車は仙人でも暮らしていそうな山岳地帯に差し掛かっている。
駅の外には当然の如く何もない。
ここで数分の停車。
次はゆだ錦秋湖。

12:49 横手にて
やあ、お疲れさま
昨日のお寿司美味しかったかい。
オレは秋田名物きりたんぽ鍋。
ラーメンの生活は終わったよ。
曇って涼しいけど、お城に続く石段登ったんで汗かいた。
ビールが冷たい。
風が涼しい。
ここは、雪のかまくらとB級グルメの焼きそばの街。
食わないけどねオレは。
並んでるし。
旅はまだまだ。
ありがとうね。
楽しんでるよ。
今日も頑張ってね。
12:50 横手(よこて)駅(奥羽本線/北上線 秋田県)
奥羽本線に乗り換える。
計画を変更して一本遅らせる。
特徴のない道を歩いていたけど、横手城があったことに気づき、歩を早める。
横手川は京都の鴨川に似ている。
雅やかな流れの先に鐘つき堂の時報。
石段を登って街を見下ろす。
どこの街も美しい。
かまくら館の近くに繁華街がある。
どこの街でも変わらないB級の眺め。
だけどオレはああいった通りにこの国を見ている。
面白いもんだよ。
有名なB級焼きそば目当ての列がふたつ。
駅は工事中で、街に下りて最初に行った行為は舌打ちだった。
北上線は大回りしながら街に入り、やがて終点を迎えた。
地味な路線だったよ。
13:02飯詰着。




14:33 大曲(おおまがり)駅(秋田新幹線/奥羽本線/田沢湖線 秋田県)
田沢湖線に乗り換える。
能代商業×如水館は7回で1×1。
好ゲームだ。
大曲には一度泊まったことがあるが、オレは何を見ていたのだろう。
花火通り商店街、丸子川に沿って展開する歓楽街。
そこに足を踏み入れた記憶はない。
車で動いていた頃はその程度だったのだろう。
だから多くの街に誤った印象を残してきている。
やり直しだ。
それも面白い。
ただし当時見ていたものは覚えている。
駅前風景しかないけど、そいつは変わっていない。
いずれにしろ大曲で時間をとれてよかった。
ようやくこの街のことが理解できてうれしい。
多くの秋田美人と乗り合わせている。
新幹線で帰ってきたように見受けられる若者が多い。
夏はまだまだ続くが、帰郷やお盆は夏にひとつの区切りをつける。
東京に帰ったオレがそうなるし、24年前に剣道の合宿を終え、あの娘に会いに行った時もそうだった。
それからの日々は夏休みではなく、夏の終わりだ。

15:13 角館(かくのだて)駅(秋田新幹線/田沢湖線/秋田縦貫鉄道 秋田県)
16分の停車。
新幹線が遅れているのだろうか。
ダイヤに変更が生じているようだ。
目の前のボックス席で再会を果たしたと思われる二人の鉄道ファンが会話を交わしている。
オレも似たような存在だが、彼等の話にはついていけないだろう。
駅は人でいっぱいだった。
角館はやはり有数の観光地なんだな。
目の前の二人は挨拶の後に分かれた。
あれはあれで感動的なものだったのだろう。

15:46 田沢湖(たざわこ)駅(秋田新幹線/田沢湖線 秋田県)
大曲で上がったと思った東北の雨。
だが何度でも雲行きは怪しくなる。
どうやらそんな日々。
あたりに古い家屋が目立つ。
駅は以前寄った時と変わらない。
あと30年くらいは変わらないだろう。
いつの時に寄ったのかはもはや思い出せないが、象潟から秋田、盛岡と辿った時か。
ああその日も確か雨っぽかったよ。
路線は渓谷に沿い、携帯の電波は通じなくなった。
そして第一級の眺めが現れた。

16:26 雫石(しずくいし)駅(秋田新幹線/田沢湖線 岩手県)
しばしの停車。
田沢湖から赤渕までの所要時間は20分強。
信号場で2度の停車があった。
その間は険しい国境。
平地が見えるとそこには稲が植わり、集落が現れ、駅。
高名な雫石駅は高原に位置し空気が変わった。
季節は夏。
駐車場に止まっている車の数は寂しく、立派な駅舎に対して駅前のたたずまいもまた寂しかった。

16:36 小岩井(こいわい)駅(田沢湖線 岩手県)
小岩井牛乳の農場の最寄り駅。
駅前には美容室が1軒。
時折並行する県道を車が通り過ぎる。
盛岡に向けて下り始めた。
車で行った時もそうだった。
そして下りきったところには渋滞が発生していた。
内陸岩手の風景は概して平板だ。
16:42大釜着。

16:53 盛岡(もりおか)駅(東北新幹線/東北本線/田沢湖線/山田線/いわて銀河鉄道線 岩手県)
再びの盛岡。
再びの東北本線への乗り換え。
北上川口の反対側に発展の兆しがある。
ありそうでない話なんだ。
次に来る時には泊まることを考えてみようか。
17:55 花巻空港(はなまきくうこう)駅(東北本線 岩手県)
湯と詩と花のまち。
空港の名のついた駅は無人駅で随分長いこと使われていそうな古い駅舎を構え、タクシー運転手はアテのない客待ちにうんざりしている。
4号国道の脇にあった池の名は駅の案内板では判読できなくなっていた。
微かだが空を行く者たちの残した音が聞こえてくる。
花巻はどんな街だろうか。

19:26 新花巻(しんはなまき)駅(東北新幹線/釜石線 岩手県)
オレの駅好きも病的だ。
宮沢賢治の記念館も近くにあるし、北上川も遠くない。
もしやこっちに洒落た飲み屋があるのではと思ったんだ。
オレの足なら歩けるさ。
しかし、とんだ見込み違いだった。
何もないところに忽然と現れたかのような駅だ。
花巻から釜石線に乗ってきたけど、この在来線ホームの簡素さはどうかと思う。
だいいち暗いよ。
花巻に戻る。
駅前の感じじゃどこに繁華街があるのか見当もつかなかった。
城跡があるからそっちの方だろうが、雨だ。
また降ってきやがった。
止めておけというサインだろう。
おとなしく宿に帰ることにする。
あはは、案山子がいる。
久しぶりに見たな。
賢治が書いた花巻駅信号機の恋。
とてつもない発想だ。
そう思って見た信号機は、なかなか詩的な灯を点していた。
イーハトーブはどの著作を広げれば出てくるんだ?
「銀河鉄道の夜」には載ってなかったよ。

21:54 花巻にて
一日お疲れさま。
変わりないかな?
最後の宿泊地は岩手花巻。
宮沢賢治の街。
イーハトーブね。
そのイーハトーブは小さな街だった。
街外れには新幹線駅もあるけど、街に着いた時には店みんな閉まってた。
行ってみたい街だったし、まあいいやってことで。
明日は郡山で下りて友と再会。
最後に会ったのは何年前だったか。
真剣に思い出そうとすると頭痛くなるからやめる。
やりたいこと全部やって、しまいに友との再会。
なんて素晴らしい旅なんだろう。
本当にありがとう。感謝してる。
明日無事に帰ります。
22:00頃ね。
おやすみ
明日も元気で頑張ってね。
22:07 花巻
今夜は京都五山の送り火。
京都時代もすっかり過去になった。
Sに初めて会ったのは11年前の初冬。
SMAPの「ライオン・ハート」が流行っていた。
あれからオレの人生は広がった。
彼女に感謝してる。
元気にしてるだろうか。
もう34歳になっている筈だ。
花巻の本当の姿は分からない。
歩いても歩いても何もないんだ。
すべてのシャッターが下りた一日市商店街と点在する休業中のスナック。
お盆だからだろうか。
イトーヨーカドーの広大な駐車場も淋しいものだった。
城はどこに?
かろうじて藩侯墓所の前を通った。
通りは必要以上に暗かった。
イーハトーブは幻の街。
でも猥雑なものをひとつとして見なかった花巻の姿こそ、賢治の理想に近いのかもしれない。
難解な物語を書く人だったけど、「ベジタリアン・サミット」の話は面白かった。
明日も駅の信号機を見よう。
街はそんな感じだったが、駅は明るくとても素敵だった。
過去を思うのも未来のそれと同じで、想像の範囲を越える。
当時の花巻駅はどんなたたずまいだったのだろう。

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