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「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その3 ‐瀬見温泉(陸羽東線)/湯前神社/山神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

公開日: : 旅話, 旅話 2021年

鉄旅日記2021年12月6日・・・瀬見温泉(陸羽東線)/湯前神社/山神社

11:37 瀬見温泉(せみおんせん)駅(陸羽東線 山形県)

再びの雪見酒。鳴子温泉を発車するとトンネルが続き、合間に鳴子峡が覗く。

紅葉の頃を過ぎて、白に染まる天下の名勝。車窓からはほんの数秒の出会いしか望めないが、五輪での10数秒のために4年もの歳月をかける短距離走者のように、何年もかけてこの車窓風景にたどり着いた。もちろん先の短距離走者との思いの大きさは比べようもないが。

中山平温泉を過ぎて次は堺田駅。太平洋と日本海の分水嶺が見られる駅とのこと。興味を引かれる。

今日のメインは陸羽東線の駅旅。次に選んだのは瀬見温泉。白銀の世界に降りる。

20年以上前に、この駅に2度車で寄ったことがある。いずれも鳴子温泉に泊まった翌日のこと。定かな記憶じゃないが、一度は温泉街の前も通ったような。そんな懐かしさにすべてを委ねた。

駅を出ると通りの先に「義経・弁慶発見」の文字。この地も義経弁慶伝説に由来するとのこと。

産気付いた北の方を案じ、産まれくる亀若丸の産湯を探し、弁慶が掘ったところ湯が出た地がここ。鳴子温泉で書いた物語はその後のことになる。

義経通りを下っていくと、小国川に架かる大橋の欄干に京都の五条大橋で笛を吹く若き日の義経が立っている。弁慶とはその橋の上で初めて出会っている。

橋を渡り終えた先に温泉街がある。

伝統的温泉宿とも言える構えにスマホを向ける。

酒屋では地元の酒とワインを購入。奥さんからお聞きしたが、やはりコロナ禍でご苦労をなさったらしい。お互い様ではあり、しかもその災厄はまだ終わっていない。

湯治客かと勘違いされたのもムリはない。温泉に用もないのに駅から歩いてくる物好きな男など稀だろうから。

それにしても味のある温泉街。

先の弁慶の故事に関係する湯前神社に詣でる。手水は温泉水。

雪は上がり、朝には真っ白だったという通りの雪もなくなりつつあるが、出歩く姿を誰ひとり見かけなかった。

温泉街を後にして亀若橋を渡り、駅前国道に出て川沿いを駅へと戻る。

対岸から温泉街を眺める。次があるなら、今度は湯につかろう。

途中に鳥居を見かけ、詣でる。山神社という。産後の北の方の産屋が建てられた場所で、朽ちた後に村人が山神を祀ったとある。

東北は義経の国。彼の逃避行の軌跡を会津にも見たことがある。日本海側にも伝説は残り、ここ最上地域は色濃い。確かに一行が目指した平泉に近づいている。

奥州藤原氏は誇るべき文化的一族だが、彼等を頼った義経をこともあろうに殺し、間を置かずに源頼朝に滅ぼされる無情。

遡る前九年、後三年の役は東北人にとって源頼義、義家親子に侵略された歴史。そうした複雑な事情が同じ源氏でありながら本家に抗せざるを得ず、この東北の地で最期を迎えた義経を英雄にしたのだろう。何より悲劇的な人生だった。

20数年振りの瀬見温泉駅は当時と変わっていないように感じた。この駅前から踏み出したのは約40分前。

当時の駅名は瀬見だった。改称は1999年とのこと。

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