*

「鉄旅日記」2021年夏 初日(東京-上田)その3 ‐しんざ、十日町、越後鹿渡、津南、戸狩野沢温泉(北越急行ほくほく線/飯山線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/03 旅話, 旅話 2021年

鉄旅日記2021年7月10日・・・しんざ駅、十日町駅、越後鹿渡駅、津南駅、戸狩野沢温泉駅(北越急行ほくほく線/飯山線)

11:10 しんざ駅(北越急行ほくほく線 新潟県)にて

11:48 十日町(とおかまち)駅(飯山線/北越急行ほくほく線 新潟県)
しんざ駅はトンネルの先にあった。

まつだい、ほくほく大島、うらがわら、大池いこいの森、くびき。平仮名表記の駅名が目立つほくほく線路線図。しんざは新座甲という町名にちなむ。

子供たちに電車を見せるために集まった家族が二組。オレにもそんな過去がある。胸をあたためる。

振り返れば、重たい空色に抗するように色とりどりの七夕飾りや短冊が下がる駅。十日町までひと駅を歩くつもりで下りた駅。

高台のしんざ駅から十日町へと下る道はらせん道。大回りをするように街へ下りていく。

途中現場作業中の男と目が合い、黙礼を交わす。

オレは男。誇り高い男との静かなやりとりの後、不意にもたげてくる思いにもまた胸を熱くする。

雨上がりの街は蒸して、アーケード街では地元ローカル放送の音声が流れる。

十日町に宿泊した2009年を思い出しながらさらに駅へと下り、途中の酒屋では水上での会話を繰り返す。

飯山線に乗るのも2009年以来になる。駅に着いて、下りてきた街を振り返る。

12:13 越後鹿渡(えちごしかわたり)駅(飯山線 新潟県)にて

13:38 津南(つなん)駅(飯山線 新潟県)
飯山線沿線の中核駅とも言えるこの駅で記録を残したかった。津南は沿線はおろか、国内でも有数の豪雪地帯に数えられている。

温泉のある駅だが、営業は14:00から。最近NHK日曜朝の番組「小さな旅」にも登場したが、その主役ともいえる嘱託駅員さんの姿もない。

曇り空に時折涼やかな風が混じる。さっきからホームのベンチに座っている。

ひとつ手前の越後鹿渡駅から草木に愛を込めながら歩き、時に蛇行する信濃川を眼下に見下ろす。途中の矢放神社では神域の厳かさに心打たれ、約80分をかけて津南駅に到着した。

恋人はコロナ感染予防の2度目のワクチン注射で体調が優れない日々を過ごしている。そんなリアルの中で、オレは旅を楽しんでいる。「ぜひそうしてきて」。思いが伝わってくる。

少し眠ったようだ。いつからか覚えていない。駅の温泉開館を迎えて、人の気配が感じられる。

鉄を伝って列車がやってくる気配を感じる。

15:23 戸狩野沢温泉(とがりのざわおんせん)駅(飯山線 長野県)

津南から乗った列車は戸狩野沢温泉行。この駅に降りられるのも喜びのひとつだった。

あれも2009年。同じ7月のはずだが、当時たくさんの風鈴が垂れ下がっていたホームには水溜まりが残り、たまたま居合わせた控えめな青空がこの町の午後を気だるく見せている。

戸狩でも野沢温泉でもかつてスキーを楽しんでいる。野沢温泉では左肺の異変で目覚め、町医者にかかったが、手に負えないと飯山の赤十字病院を紹介され、当時の恋人を助手席に乗せて、痛みをこらえながら自ら運転して飯山に下りて診てもらうと、「自然気胸」で肺がしぼんでいることを告げられ即入院。恋人はバスで野沢温泉に戻り、同道していた友人カップルとともに苦労の末に当日帰京した。

22歳の時だった。思い出すことがあれば、あの時は迷惑をかけたと、今でも痛切な思いにひたる。

そうした地であり、懐かしさもあって降りた2009年。駅から両スキー場は離れていて、当時を偲ぶことは叶わなかった。

そして再訪した今日。酒屋にしか用を思いつかない男が歩いても、他に何が見つかるわけもない。

早々に長野行に乗り込み、出発を待っている。

関連記事

「鉄旅日記」2020年如月 最終日(釜石-東京)その2‐小山田、土沢、花巻、石鳥谷(釜石線/東北本線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】

鉄旅日記2020年2月24日・・・小山田駅、土沢駅、花巻駅、石鳥谷駅(釜石線/東北本線) 7:40

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】初日(東京葛飾-黒磯)-天王台駅、水海道駅、下妻駅、真岡駅、益子駅、烏山駅、黒磯駅、道の駅明治の森黒磯

車旅日記2006年5月2日・・・天王台駅、水海道駅、下妻駅、真岡駅、益子駅、烏山駅、黒磯駅、道の駅明

記事を読む

「車旅日記」1998年夏 初日(東京-青森フェリー埠頭)-東京町田、加平PA、千代田PA、東海PA、差塩PA、福島松川PA、泉PA、金成PA、北上金ヶ崎PA、岩手山SA、湯瀬PA、津軽SA、青森フェリー埠頭 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】

車旅日記1998年8月12日 1998・8・12 7:21 東京町田 夏の第1ラウンドのツアーから

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋 初日(東京-倉敷)その1-東京、円町、園部、安栖里、山家、市島、柏原、谷川、西脇市、粟生(東海道新幹線/山陰本線/福知山線/加古川線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月21日・・・東京駅、円町駅、園部駅、安栖里駅、山家駅、市島駅、柏原駅、谷川駅

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】最終日(魚津-東京)その1-魚津、生地、黒部、電鉄黒部、泊、親不知、越中宮崎、糸魚川、能生、梶屋敷、浦本(北陸本線)

鉄旅日記2014年3月23日その1・・・魚津駅、生地駅、黒部駅、電鉄黒部駅、泊駅、親不知駅、越中宮崎

記事を読む

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】初日(佐賀空港-筑豊-別府)走行距離254㎞その1-葛飾金町、羽田空港、佐賀空港、佐賀駅、神埼駅、鳥栖駅、筑前内野駅

車旅日記2004年8月11日・・・葛飾金町、羽田空港、佐賀空港、佐賀駅、神埼駅、鳥栖駅、筑前内野駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 最終日(門司港-東京)その3‐宇部、富海、福川、戸田(山陽本線)/富海海岸 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月16日・・・宇部駅、富海駅、福川駅、戸田駅(山陽本線)/富海海岸 8:

記事を読む

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】最終日(人吉-天草-熊本空港)走行距離240㎞ その2-上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港駅、東京葛飾金町

車旅日記2005年2月13日・・・上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 最終日(紀伊田辺-東京)その1-紀伊田辺、箕島、和歌山、伊太祈曽、貴志(紀勢本線/和歌山電鐵貴志川線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月3日・・・紀伊田辺駅、箕島駅、和歌山駅、伊太祈曽駅、貴志駅(紀勢本線/和歌山電

記事を読む

「車旅日記」1997年夏 初日(東京-三国峠-新潟)-町田、東福生駅、山田うどん、前橋市田口町、月夜野道路情報ターミナル、奥平温泉遊神館、越後湯沢駅、堀之内パーキング、道の駅豊栄 【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】

車旅日記1997年8月13日 1997・8・13 10:30 東京町田 出発が遅れている。 急ぐべ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その1 ‐金町、東京、くりこま高原(常磐線/東北新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・金町駅、東京駅、くりこま高原駅(常

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その5 ‐仙台、鹿島、原ノ町、浪江、常陸多賀(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・仙台駅、鹿島駅、原ノ町駅、浪江駅

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その4 ‐山寺(仙山線)/立石寺山門売店/高砂屋本舗 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・山寺駅(仙山線)/立石寺山門売店

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その3 ‐米沢、赤湯、中川、山形、北山形(奥羽本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・米沢駅、赤湯駅、中川駅、山形駅、

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その2 ‐峠(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・峠駅(奥羽本線)/力餅商店/峠の

→もっと見る

    PAGE TOP ↑