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「車旅日記」2001年黄金週間 初日その2(東京-京都)-初狩PA、諏訪湖SA、恵那峡SA、養老SA、多賀SA【目指したのは彼女が暮らす京都。この時からしばらく、向かう先は劇的なまでに西になったのでございます。】

公開日: : 旅話, 旅話 2001年

車旅日記2001年5月3日・・・初狩PA、諏訪湖SA、恵那峡SA、養老SA、多賀SA

18:17 中央自動車道-初狩PA 119㎞

いつも気にしている100㎞地点を、出発から8時間を要して通過した。こんなバカな話はないと感じながらの走行だった。移動することを目的に出かけた男が用のない地点で停滞を強いられている。ここは嵐が上陸しようとしている港でも空港でもない。

この騒ぎはたんに雨降りの穏やかな地上で起こっていることなんだ。周りを見渡せば諦めた表情で少しずつ前進する人々だけが見える。

東京の休日の構図は最悪だ。多くの人々が相模湖、富士五湖一帯に進路を向けている。伊豆や箱根に続く道でも同じような現象が起きているだろう。そんなところへ行くしかない。あるいは思いつかない東京の貧しさに暗然となる。

そこへ向かう人々に文句が言いたいわけじゃない。ただし閉塞感はないか?と問いたいだけ。時代もそして人々の行動も閉ざされている。ひとりで旅をするようになって、初めてこんな騒ぎはもうたくさんだと思うようになった。

ここで遅い昼食をとった。いつの間にかハイウェイに乗っかっている。そして朝から続いていた停滞はようやく収まった。

19:45 中央自動車道-諏訪湖SA 224㎞

順調に流れ、気を取り直している。この旅での初めての風景描写になるが、諏訪湖の夜景は見事だった。何度も来ているけど、この眺めはおそらく初めてだろう。このサービスエリアに温泉がついていることも初めて知った。

さっきまでの心の状態についてだが、すべてを否定したいわけじゃない。つまらない気持ちではいたくないから。変化のない景色に退屈していたんだ。やっと旅に出た感触を味わうことができた。そして満足のいく姿はしていないが、月が顔を出した。しばらくは雨と再会することもないだろう。

彼女と会える保証を見失っているけど、自分と交わした暗黙の契約について。今夜日付が変わる頃までには京都に着くことと定めて、その目標に沿って走っていることにさっきから気づいている。

21:12 中央自動車道-恵那峡SA 342㎞

途中彼女からメールが入ったと思ったけど、錯覚だった。確かに胸のあたりが震えたと思ったが。

もしかしたら今回彼女に会うことはないかもしれない。それでもいいと思っている。旅はオレにとって特別なものであっていい。彼女に会うことも特別だけど、オレは心から路上に出たかったんだ。

渋滞の最中ではあれこれ考えたけど、それは忘れずにとっておいて、順調に流れだしたこれからは思う存分旅を楽しみたい。

今走っているルートは関西に続くルートの中でたったひとつ残された未踏路になる。初めて立つ場所で夜風にあたるのはいいものだ。このエリアはとても洒落た造りになっている。これまでに立ち寄った中では一番素敵なムードを持っているのではないか。

途中で入口が朽ち果てそうなくらいにくたびれた恵那山トンネルにもぐった時は驚いた。風雪に耐えた時が長かったのだろう。道にも歴史がある。

それにしても長いトンネルだった。どれほどの全長を誇っているのか。道を行く者としてその存在を知らなかったことを恥じた。この国はこんなオレにも狭く感じるけど、いやいや広い。これから未踏路を探して何度も旅に出るだろう。

22:46 名神自動車道-養老SA 436㎞

山深い地域に通された中央道を抜けて、小牧ジャンクションより名神道へ。整然と連なる車列に身を置くとなぜか安心感を覚える。

山の中を走ってきた身としては、街中を走る名神の明かりに一種の懐かしさを感じる。一宮IC周辺を彩っていた明かりは、そのすべてが妙な形をしたラブ・ホテル群が発しているものだった。

ここで遅い夕食をとり、誰も座っていないベンチで煙草を吸い、風に吹かれる。人の帽子を飛ばすほどの風だったけど、オレには気持ちのいいものだった。

関西に吹く風にあたりながら、ただ茫々とした気持ちで目に映るものを眺めている。こうしているのが好きなんだ。

その時そう思った。

23:24 名神自動車-多賀SA 472㎞

旅立ちから約12時間。中央から名神に入る時の表示に初めて京都という文字が登場した。

心配事は消え去り、目的地と思しきところへほぼ定刻通りに到着する目星がついた。今夜は大津SAまで。そこで眠る。

東京で描いていた今夜の予定は白紙に戻す。幸いにしてコンディションも悪くないし、何かを残念に思う気持ちもない。

今夜はきっと穏やかに眠れるだろう。

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