*

「鉄旅日記」2021年春 最終日(米内沢-東京)その2 ‐小砂川、女鹿、象潟、秋田(羽越本線/秋田新幹線)/三崎峠 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/03 旅話, 旅話 2021年

鉄旅日記2021年4月18日・・・小砂川駅、女鹿駅、象潟駅、秋田駅(羽越本線/秋田新幹線)/三崎峠

10:49 小砂川(こさがわ)駅(羽越本線 秋田県)にて

12:25 女鹿(めが)駅(羽越本線 山形県)

風の影響で列車は遅れていた。それでも小砂川駅で降りた時はこんな大荒れは予測できなかった。何しろ写した空は青かった。

ただ確かに風は強かった。おそらく台風並みの風を浴び続けた。にわかに空は曇り、やがてはまたしても雨。

八幡様にお参りして、海辺に出ればスサノオに祈り、ここが「奥の細道」の難所と知り、戊辰戦争で戦死した秋田藩士の墓の方向に頭を垂れた道中。

何の意識も持っていなかったが、秋田~山形県境を歩いていたことになる。そこが三崎峠。古くからの交通の難所で、「手長足長」という怪物が出没して人をさらったという。

宮脇俊三さんはその著書で「手長足長」の正体は打ち寄せる荒波のことだろうと断定しておられた。道往く旅人を「太陽の化身」八咫烏が導いたとある。いわく、「手長足長」が現れている時は「有耶」と鳴き、安全な時は「無耶」と。よって「有耶無耶関」と呼ばれるようになったとのこと。

戊辰戦争の古戦場でもある。「奥羽越列藩同盟」として一度は結束した東北諸藩だが、この局面では多くが新政府軍に下っていて、旧幕府軍の庄内藩に、久保田(秋田)、亀田、矢島、そして佐賀藩が対した戦闘は新政府軍の退却によってやんだ。

それにしても強風かつ雨。好き好んで行った行為だが、叶うのならもうこんな思いはしたくない。大風の日には気をつけろとは古人からの伝言。その通りだ。天はオレに警告を与えたのか。2度とこのようなことはするなと。

風の中で一度はどなり散らした。だけど空しい。

女鹿駅入口の表示はあった。かつて車窓から見た時、この駅を降りたらどこに出るのか興味が湧いた。そんな好奇心が今日のオレを導いたが、ここに着くまではヒマラヤ登山もかくやと思わせる苦行だった。

女鹿駅に止まる列車は上りが2本、下りが4本。下りの始発が12:53。上りの停車はすでにない。とにかくここを離れなければ。

到着してからおおよそ1時間。本来は隣の吹浦までは歩くつもりでいたが、こんな天候の中をもう歩けない。

ようやく脱出の時がきた。

【Facebookへの投稿より】

川霧が立ちこめる秋田内陸マタギの里を出て、日本海へ。

春の嵐に見舞われ、羽越本線沿線は大荒れ。

芭蕉翁「奥の細道」の最大の難所、三崎峠を風雨に苛まれながら歩いたのでございます。

14:00 象潟(きさかた)駅(羽越本線 秋田県)にて

16:12 秋田(あきた)駅(秋田新幹線/奥羽本線/羽越本線/男鹿線 秋田県)

女鹿駅に列車がやってきたのは定刻から遅れること30分を過ぎていた。その間にこらえきれずに何度か叫んだ。気温12度。冷たい風が濡れた体を冷やした。

列車は吹浦を出たあと徐行運転をしていたようだ。送電線トラブルにより秋田~象潟は運転取り止め。上下線ともに遅れ。列車は象潟行に変更になる。

象潟に行けば特急も止まる。選択肢が増えると思ったが、結局オレが乗り合わせた下り線を最後に羽越本線は全休となった。

列車はやってきた。女鹿で降りる者はないだろうし、緊急事態。オレの姿がなければ止まらないのでは?との疑念が去らず、何度も雨風にさらされながら列車が来る方向を恨ましげに凝視していた。

そしてようやく。列車に乗ると深い安堵感。

女鹿から3駅目。象潟駅長の仕事は早かった。手早く人数をまとめ代行バスの手配をする。羽後本荘駅で降りる者を含めて乗員は9名。秋田駅までの約90分のトラブル旅。バスは東口に着いた。

冷えた体を暖めるべく、朝に寄った駅そばを再びくぐり、ラーメン大盛。シナチクが乗っただけの簡素な一品だったが、味はよかった。

奥羽本線の線路を新幹線「こまち」が往く。その事実はさしたる感慨を呼ばず、大曲へ。ここから進行方向を変えて、線路は田沢湖線になる。

冷えていた体はようやく喜色を浮かべ、「東京は晴れている」と恋人より。

この先、角館、田沢湖、雫石、盛岡と止まり、さらに先は仙台、大宮、上野、東京にしか止まらない。

コロナにより車内販売はなし。酒が必要になったら途中で乗り換えればいい。おそらくそうはしないだろうが。

角館で昨日乗った秋田内陸線の線路を追った。銀色の道だった。

次に乗ることを思った時、恋人の顔が浮かんだ。だって、彼女は最愛の女性だから。

関連記事

「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その2‐会津若松、郡山富田、喜久田、郡山(磐越西線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月5日・・・会津若松駅、郡山富田駅、喜久田駅、郡山駅(磐越西線) 9:07 会

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 最終日(紀伊田辺-東京)その2-吉野口、高田、畝傍、桜井、柳本(和歌山線/桜井線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月3日・・・吉野口駅、高田駅、畝傍駅、桜井駅、柳本駅(和歌山線/桜井線) 10

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その4‐浪江、いわき、常陸多賀、石岡(常磐線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記20220年4月5日・・・浪江駅、いわき駅、常陸多賀駅、石岡駅(常磐線) 16:34 浪江

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏 3日目(鳥取-米子)その1-鳥取、由良、下市、御来屋、名和、伯耆大山、東山公園、博労町、境港、木次、亀嵩、宍道(山陰本線/境線/木次線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】

鉄旅日記2014年8月15日その1・・・鳥取駅、由良駅、下市駅、御来屋駅、名和駅、伯耆大山駅、東山公

記事を読む

「車旅日記」1998年春 3日目(津軽SA-十和田湖-酒田駅-鳴子温泉)-津軽SA、温川、十和田湖休屋、長木渓谷、道の駅鷹巣、道の駅琴丘、道の駅西目、象潟駅、酒田駅、道の駅戸沢、鳴子サンハイツ 【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】

車旅日記1998年5月3日 1998・5・3 5:45 東北自動車道-津軽SA 1087km 聞き

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 初日(東京-飯坂温泉)その1 ‐金町、高浜、友部、水戸、いわき(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月9日・・・金町駅、高浜駅、友部駅、水戸駅、いわき駅(常磐線) 202

記事を読む

「鉄旅日記」2022年晩夏 「ツレとの房総日帰り旅」鋸山に登り、木更津で夏の名残を惜しんだのでございます。 ‐浜金谷、君津、木更津(内房線)/鋸山ロープウェー【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年8月27日・・・浜金谷駅、君津駅、木更津駅(内房線)/鋸山ロープウェー 【

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋 2日目(名古屋-中軽井沢)-名古屋、高蔵寺、多治見、中津川、木曽平沢、塩尻、小淵沢、中込、小諸、中軽井沢(中央本線/小海線/しなの鉄道)【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】

鉄旅日記2005年11月6日・・・名古屋駅、高蔵寺駅、多治見駅、中津川駅、木曽平沢駅、塩尻駅、小淵沢

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その1-扇町、浅野、海芝浦、国道、大川、保土ヶ谷、東戸塚、網代、伊豆多賀、宇佐美、熱海(鶴見線、海芝浦支線、大川支線、東海道本線、伊東線) 【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】

鉄旅日記2012年4月8日その1・・・扇町駅、浅野駅、海芝浦駅、国道駅、大川駅、保土ヶ谷駅、東戸塚駅

記事を読む

「鉄旅日記」2018年神無月 最終日(松本-辰野-天竜峡-岡谷-東京)その2-伊那大島、駒ヶ根、伊那北、岡谷、下諏訪、茅野、山梨市(飯田線/中央本線) 【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】

鉄旅日記2018年10月8日・・・伊那大島駅、駒ヶ根駅、伊那北駅、岡谷駅、下諏訪駅、茅野駅、山梨市駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2023年新春 2日目(泉佐野-彦根)その2 ‐貝塚、住吉大社、粉浜、岸里玉出、汐見橋、桜川(南海本線/南海高野線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月8日・・・貝塚駅、住吉大社駅、粉浜駅、岸里玉出

「鉄旅日記」2023年新春 2日目(泉佐野-彦根)その1 ‐泉佐野、貝塚、水間観音(南海本線/水間鉄道)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月8日・・・泉佐野駅、貝塚駅、水間観音駅(南海本

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その4 ‐加太、和歌山市、泉佐野(南海加太線/南海本線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・加太駅、和歌山市駅、泉佐野駅(南海加

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その3 ‐みさき公園、多奈川、紀ノ川(南海本線/南海多奈川線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・みさき公園駅、多奈川駅、紀ノ川駅(南

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その2 ‐豊橋、大垣、大阪、新今宮(東海道本線/大阪環状線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・豊橋駅、大垣駅、大阪駅、新今宮駅(東

→もっと見る

    PAGE TOP ↑