「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その4‐大野浦、大竹、岩国、北河内、錦町(山陽本線/錦川鉄道) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月13日・・・大野浦駅、大竹駅、岩国駅、北河内駅、錦町駅(山陽本線/錦川鉄道)
13:45 大野浦(おおのうら)駅(山陽本線 広島県)
乗ってきた列車は折り返しの糸崎行となる。
次の岩国行が来るまで涼ましてもらう。宮島口で開けたビールの残りもある。
瀬戸内は離れ、駅前に海の香りはないが、瀬戸内側を見つめれば、あの山のムコウが海。それと分かる山が並んでいる。
ここでは15分の滞在。


大野浦を出てしばらくすると海辺に出る。先には臨海工業地帯が覗いていた。
13:59 大竹(おおたけ)駅(山陽本線 広島県)
3分の停車。国境の町。変わらぬ駅の後ろ姿に安堵する。
ホームに出て広い構内を写し、発車した窓から懐かしい町を追う。


第二次長州征伐の際に戦場となった大竹。その芸州口の戦いを描いた大きな絵画的なものを駅のどこかで眺めたことを記憶している。幕府軍の主力は彦根、越後高田、与板といった徳川譜代の諸藩だった。
次の和木駅に近づくにつれて、かつて一度降りた大竹への慕情が沸く。あれは2009年だった。
縁とはこうしたものか。元よりオレに、縁における人と駅の区別はない。
14:19 岩国(いわくに)駅(山陽本線/岩徳線/錦川鉄道 山口県)
駅舎は生まれ変わっていた。駅前もそう。岩国の令和の顔を気に入ったよ。


駅は大きくなり、だけど併設されていた商業施設は消えた。かつてはそこで食事をしたこともあった。そりゃ残念だよ。
錦帯橋を模したアーチがついたアーケード街を写す。変わらぬ姿と変わらぬ岩国の活気を写す。

錦川鉄道に乗り込んでいる。しばらく経つ。

右手に見える清流では、人々が夏を楽しむ姿が見える。
14:54 北河内(きたごうち)駅(錦川鉄道 山口県)
山峡の停車場で列車行き違い3分の停車。

日差しは強く、緑は濃く、客車は色に満ちて夏に映える。


よかった夏。例えば郡上八幡を旅した夏のような。そんな夏が自然に脳裏に蘇る。
1両列車はひたすらな山峡を往く。息苦しさを覚えるほどの山峡を往く。
ホタルの生息地。椋野駅の観光案内にはある。
これほどに人跡稀な土地だ。ホタルもいるだろう。
16:00 錦町(にしきちょう)駅(錦川鉄道 山口県)
西国の日に焼かれ、錦川の畔にいながらも息苦しさを味わう。
この夏空は求めていたものに違いはないが、それにしても暑すぎる。


川辺に下りようとするオレを、通りがかりのライダーは熱に浮かされた男かと迷い、速度を落とす。
錦川の畔にはいくらもいられず、駅に戻りビールと地の日本酒「獺祭」を購入。
「獺祭」は次に恋人が金町を訪ねてくれる午後に一緒に開ける。
錦町駅には懐かしい改札口風景が残り、視覚的にもとても涼やかで、ここにいられることは喜びに違いない。




山峡は山口線の日原まで続くのだろうが、岩日線の悲願は錦町で途絶えた。
岩国~日原を結ぶ線として発足した岩日線。それが錦川鉄道の前身。そんな見果てぬ先を写して列車に戻る。


車窓からは涼しげに見える錦川。日影では親子連れが水遊びをしている。まさに夏の原風景。
高校球児たちの甲子園が消えた夏だが、今日の夏空は記憶に残るだろう。
関連記事
-
-
「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】最終日(鳴子温泉‐米沢‐東京) 鳴子サンハイツ、鳴子温泉駅、芦沢駅、赤湯駅、米沢郊外、磐梯、猪苗代湖、新白河駅、氏家、春日部、三軒茶屋、東京町田
車旅日記1996年11月3日 1996・11・3 9:09 鳴子サンハイツ 拝啓 その後、元気です
-
-
「鉄旅日記」2015年春 最終日その1(岩倉-東京)-岩倉、御嵩、犬山、新鵜沼、鵜沼、名電各務原、各務ヶ原、新那加、那珂、名鉄岐阜(名鉄犬山線/名鉄広見線/名鉄各務原線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】
鉄旅日記2015年3月8日その1・・・岩倉駅、御嵩駅、犬山駅、新鵜沼駅、鵜沼駅、名電各務原駅、各務ヶ
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 最終日(速星-東京)その1‐速星、越中八尾、楡原(高山本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月22日・・・速星駅、越中八尾駅、楡原駅(高山本線) 2020・3・22 7:
-
-
「鉄旅日記」2013年夏 2日目(徳山-南宮崎)その1-徳山、長府、西小倉、城野、行橋、新田原、中津、中山香、高城、佐志生、熊崎、上臼杵、臼杵(山陽本線、日豊本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】
鉄旅日記2013年8月11日その1・・・徳山駅、長府駅、西小倉駅、城野駅、行橋駅、新田原駅、中津駅、
-
-
「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-西舞鶴)その1-西岐阜、京都、二条、日吉、胡麻、下山、和知、綾部、高津(東海道本線/山陰本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】
鉄旅日記2014年3月21日その1・・・西岐阜駅、京都駅、二条駅、日吉駅、胡麻駅、下山駅、和知駅、綾
-
-
「鉄旅日記」2015年夏 2日目(新南陽-鹿児島中央)その3-宇土、松橋、八代、出水、牛ノ浜、草道、鹿児島中央(鹿児島本線/肥薩おれんじ鉄道) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】
鉄旅日記2015年8月13日その3・・・宇土駅、松橋駅、八代駅、出水駅、牛ノ浜駅、草道駅、鹿児島中央
-
-
「鉄旅日記」2019年長月 初日(東京-盛岡)その1-金町、水戸、上菅谷、常陸大子(常磐線/水郡線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月21日・・・金町駅、水戸駅、上菅谷駅、常陸大子駅(常磐線/水郡線) 2019
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 最終日(門司港-東京)その3‐宇部、富海、福川、戸田(山陽本線)/富海海岸 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月16日・・・宇部駅、富海駅、福川駅、戸田駅(山陽本線)/富海海岸 8:
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その4‐太秦、撮影所前、帷子ノ辻、保津峡、千代川(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月23日・・・太秦駅、撮影所前駅、帷子ノ辻駅、保津峡駅、千代川駅(山陰本線)
-
-
「鉄旅日記」2009年晩秋 2日目(倉敷-和田山)その1-倉敷、足立、生山、上菅、伯耆溝口、伯耆大山、赤碕、浦安、松崎、浜村、末恒、湖山、鳥取(伯備線/山陰本線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】
鉄旅日記2009年11月22日・・・倉敷駅、足立駅、生山駅、上菅駅、伯耆溝口駅、伯耆大山駅、赤碕駅、