「車旅日記」2000年春 3日目(象潟‐秋田‐盛岡‐鳴子温泉)象潟海岸、秋田駅、角館花葉館、田沢湖駅、紫波SA、前沢SA、古川駅 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】
車旅日記2000年5月5日
8:54 象潟海岸 636㎞
朝、人気のない海もいい。
車を降りるつもりはなかったけど、降りることにして波打ち際へ。
遠くに島が見える。
そして遠くの空は青かった。
幸せだったよ。
とても。
こんな時、想う女性がいれば切なくて、美しくて、とても貴重な時と言えるだろうけど、まるっきりの独りもいい。
ブルース・スプリングスティーンの言葉に戻ろう。
旅はひとりがいい。
ただし二人もいい。
渚にて。
そう言えば今朝までいた部屋の名は「渚」だったと思い至った。
また来たいよ。
でもその時にはやっぱりひとりより二人の方がいい。
10:59 秋田駅 705㎞
日本海夕日ルートに日が差した時、顔が笑み崩れた。
何度目なんだろう。
正確には覚えていないが、北に来ると好んで通る馴染みのルート。
渋滞を経験することもなく車は秋田に到着し、土産物を買い込む。
ここは大都会だな。
東京へも新幹線で一本でつながっている。
駅では上品なご婦人をよく見かける。
駅はとてもきれいだが、今また増築工事が施されている。
次に来る時にはさらなる変貌を遂げていることだろう。
2年前は雨だった。
その夜の弁当を求めて立ち寄ったんだ。
その思いは果たせず、また7号国道に戻ったわけだが、あの日に降った土砂降りを覚えている。
市内は渋滞したまま雨に洗われていた。
そして今ようやくあの日からの雨が上がった。
雨雲に覆われていた秋田市内も、オレの中で長く記憶されることになるだろう。
12:21 46号国道‐角館花葉館 749㎞
旅の途中こういうこともある。
つまり何かに我慢するような心地で車を走らすこと。
まず渋滞があった。
13号国道でのことだ。
それと便所に行きたかった。
空に晴れる気配はない。
エルビスのR&Rもいまひとつ。
おそらくそんなところが原因だろうが、いいものも目にした。
桜の花びらが舞ったと思ったら、ここでは満開。
その下で弁当を広げている一団もいる。
ここは山奥に造られたオアシスのような施設。
レストランは上品なたたずまいで、オレのような男の入店には難色を示しそうだった。
盛岡までは案外近い。
途中で昼飯場を見つけよう。
この先、田沢湖へのルートは以前来た時には混雑していた。
暑い夏の日。
友と待ち合わせた時のこと。
とても懐かしい。
13:51 田沢湖駅 780㎞
角館には四方から車が集まり活況を呈していた。
目玉は桜祭りだけど、武家屋敷をはじめとして観光資源に事欠かない。
川沿いに展開する桜並木はそれはそれは見事で、さすがにあれだけの人々を集めるだけのことはある。
そしてこの駅で。
地ビールを買いに寄ったが、思いがけず置物も購入することになった。
またコレクションが増えたな。
とても清潔感のある駅だ。
湖の名を冠するのに相応しい。
すぐ近くから見下ろす雪をかぶった山々の名を知りたい。
とても美しい。
心なしか空気も澄んでいるような気がしてくる。
16:13 東北自動車道-紫波SA 854㎞
46号国道から4号国道へ。
計画の変更について思いを巡らせていたんだろうか。
少し疲れてしまった。
盛岡周辺の渋滞も影響してるだろう。
どうも日本海側のようにはいかないようだ。
関東に近いこともあってか、人の数が違う。
ここでようやく一息つけたのはよかったけど、人の多さにはうんざりした。
JHが渋滞情報を流している。
これから東京近辺に帰ろうと思っている人も多いだろう。
ご苦労なことだ。
ハイウェイに変更したのは、この先の道路状況を考えたことがひとつ。
おそらく4号国道ではその後も断続的な渋滞に悩まされたことだろう。
もうひとつは変わり映えのしない風景だ。
この先のことは分からないが、ハイウェイでは高所を走る分、眺めはよかった。
いつの間にか空は晴れている。
気温も上がり18度と出ている。
一昨日の下今市以来また半袖に戻した。
まあ適当にいこう。
ハイウェイは古川で下りるだろうけど、それさえ明確じゃない。
そう考えると何だか楽しくなる。
17:14 東北自動車道-前沢SA 907㎞
今日は少し疲労が激しい。
それとなぜか消化不良気味なのが気になる。
象潟が旅のクライマックスではあったけど、まだ3日目じゃないか。
まだ2日残されている。
気分の高揚をひたすらに望んでいる。
ここも何度も寄ったことのある場所。
見覚えがあることに懐かしさを感じるより、今日の場合は興ざめする気持ちが大きい。
できる限り、新しい場所にいたいのさ。
子供の笑顔がまぶしくて、またかわいい。
いろんな事件が起こっているが、彼等には素晴らしい人生を歩んでほしい。
18:47 古川駅 972㎞
巨大な駅ビルの出現に驚いた。
北の国にはまだオレの知らない世界が存在する。
怪訝そうな視線を感じる。
彼等の目には明らかにオレが異邦人として映っているのだろう。
求める弁当はここにはない。
かなりの期待を抱かせた駅だったけど、駅弁はない。
今夜はビールと粗食だな。
残りは47号国道を少しばかり。
鳴子までゆっくりいくよ。
19:20 47号国道‐サンクス 984㎞
夕食と朝食の調達。
まぶしく照らしてくれていた西日も沈んで、すっかり夜。
あの太陽が日本海に沈んだのだと思うと、妙な感慨を覚える。
さて、あと30㎞。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2012年春 その2-川原湯温泉、岩島、群馬藤岡、高麗川、拝島、昭島、中神、武蔵溝ノ口、武蔵中原、鹿島田、尻手(吾妻線、八高線、青梅線、南武線) 【青春18きっぷで、ダム湖に水没する鉄路へ】
鉄旅日記2012年4月1日その2・・・川原湯温泉駅、岩島駅、群馬藤岡駅、高麗川駅、拝島駅、昭島駅、中
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その1‐湯沢、四ツ小屋、秋田、森岳(奥羽本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
駅旅日記2020年1月12日・・・湯沢駅、四ツ小屋駅、秋田駅、森岳駅(奥羽本線) 2020・1・1
-
-
「鉄旅日記」2011夏【みちのくひとり旅】2日目(秋田-函館)-秋田、男鹿、追分、八郎潟、北金岡、大館、浪岡、新青森、青森、中沢、郷沢、蟹田、三厩、五稜郭、函館(男鹿線/奥羽本線/津軽線/津軽海峡線/江差線)
鉄旅日記2011年8月14日・・・秋田駅、男鹿駅、追分駅、八郎潟駅、北金岡駅、大館駅、浪岡駅、新青森
-
-
「鉄旅日記」2005年秋 2日目(名古屋-中軽井沢)-名古屋、高蔵寺、多治見、中津川、木曽平沢、塩尻、小淵沢、中込、小諸、中軽井沢(中央本線/小海線/しなの鉄道)【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】
鉄旅日記2005年11月6日・・・名古屋駅、高蔵寺駅、多治見駅、中津川駅、木曽平沢駅、塩尻駅、小淵沢
-
-
「鉄旅日記」2009年晩夏【近くまでぶらっと】金町、新松戸、西国分寺、立川、青梅、奥多摩、御岳、武蔵五日市、拝島、高麗川、川越、武蔵浦和、南浦和(常磐線、武蔵野線、青梅線、五日市線、八高線、川越線、埼京線)
鉄旅日記2009年9月5日・・・金町駅、新松戸駅、西国分寺駅、立川駅、青梅駅、奥多摩駅、御岳駅、武蔵
-
-
「車旅日記」2004年春 4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その2-雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖、さるふつ公園、宗谷岬、稚内駅 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】
車旅日記2004年5月4日・・・雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋 最終日(高松-東京)その1 ‐高松港3番乗場、直島宮浦海の駅、宇野港、宇野駅(高松→直島宮浦フェリー/直島宮浦→宇野フェリー) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月22日・・・高松港3番乗場、直島宮浦海の駅、宇野港、宇野駅(高松→直島宮浦フ
-
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その3(R20)諏訪湖、韮崎、道の駅甲斐大和
車旅日記1996年5月6日 16:28 諏訪湖 松本市内を通過して塩尻峠を下りていく。 塩尻峠は
-
-
「鉄旅日記」2008年初秋 2日目(羽咋-福井)その2-松任、小松、あわら湯のまち、三国港、福大前西福井、田原町、福井(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線) 【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】
鉄旅日記2008年9月14日・・・松任駅、小松駅、あわら湯のまち駅、三国港駅、福大前西福井駅、田原町
-
-
「鉄旅日記」2019年霜月 2日目(五所川原-北上)その1‐五所川原、津軽五所川原、津軽中里、鯵ヶ沢、東能代(津軽鉄道/五能線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】
鉄旅日記2019年11月3日・・・五所川原駅、津軽五所川原駅、津軽中里駅、鯵ヶ沢駅、東能代駅(津軽鉄