「車旅日記」1997年夏【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】最終日(鳴子-米沢-東京)-鳴子サンハイツ、瀬見駅、羽前中山駅、萬世大路記念碑公園、栗子トンネル、松川駅、里白石駅、常陸大子駅、我孫子、東京町田
車旅日記1997年8月16日
1997・8・16 8:18 鳴子サンハイツ
拝啓
残暑お見舞い申し上げます。
元気でいますか。
オレはまたしても北の方にいる。
こっちの朝は寒いよ。
ところで2日前に秋田のへんぴな場所でHと計画的な再会をしたんだ。
会ってしばらくしたら「んじゃよ!」と言って分かれるはずだったけど、結局翌朝まで一緒に野外生活したよ。
お互いやりたいことはあるけど、やらなきゃいけないことはなかったからな。
それでオレは男鹿半島に向かい、ヤツはきっと山の奥深くへと入った行ったのだろう。
ヤツはスゴイ男だよ。
これからオレは郡山の友人に会いに行く。
2年振りなんだ。
君はどうしてる?
元気ないように見えたから心配していたよ。
やっぱオレの思い過ごしなのか。
またなっ
97夏
10:21 瀬見駅 1219㎞
気温16度と出ている。
ひどく寒い夏の日だ。
宿の女性は稲の心配をしていた。
印象としては夏でも秋でもない妙に寒い一日。
周りの緑がとても濃い。
渓谷の中を走っている。
友が見たら狂喜しそうな清流が流れ、道を挟んで線路が敷かれている。
そこでは今もアンティークなトンネルや鉄橋が使われている。
見ていると気分が和む。
それが目にしたかった風景なのだろう。
旅はこうして続いている。
12:47 羽前中山駅 1309㎞
旅は続き、甲子園でも熱戦が続いている。
舟形から13号国道に乗り、心も快調に走ってきた。
山形の道もまた美しい。
ここに着くまでは後ろをずっと走っていた宮城ナンバーのおじさんに愛情を持ちながら走ってきた。
彼の運転マナーがとてもよかったから。
この駅にも人の姿はない。
駅員もいない。
だけど周囲は清潔に保たれている。
煙草の吸殻なんて見当たらない。
きっと民度の問題なのだろう。
オレが暮らしているあたりはひどいものだ。
友と連絡がついた。
16:00くらいに郡山入りする予定でいる。
これから山路を行く。
地図を見ると脇を川が流れている。
好きな景観がいくつか見られるとうれしい。
13:46 13号国道‐萬世大路記念碑公園 1346㎞
峠道を行く予定だったが見落としがあった。
今また13号国道に戻っている。
いずれにしろ峠道だ。
空はにわかに曇り、風が強くなった。
気温も19度まで下がっている。
飲料を補給したかったけど、この園内には便所しか見当たらない。
オレみたいなヤツが寄るのにちょうどいい造りになっている。
背中が痛いが、こいつは伸ばしてもどうにもならない。
400㎞くらい先までついて回る痛みだ。
これが体で感じる旅の疲れだ。
14:11 13号国道‐栗子トンネル付近 1362㎞
峠には霧雨が降り、ストーンズのブルースナンバーを聴きながらトンネルを抜けている。
何も考えようのない時間を、ストーンズを聴きながら頑張って走っている。
調子は決して悪くない。
15:20 松川駅 1394㎞
郡山に向かっている。
16:00の約束には遅れそうだ。
福島市内では思わぬ渋滞があり、冷たい雨が降っていた。
こっちの夏はこんなふうなのか。
オレも稲が心配になってきた。
4号国道はこれから流れるだろう。
郡山までもそう遠くない。
友に早く会いたい。
19:40 里白石駅 1469㎞
友との再会を終えて118号国道を行っている。
友と奥さんが出会った水戸行のルート。
友の故郷は渋滞していた。
その渋滞を抜けて空を見上げると花火が上がっている。
それを見に多くの人々がこの閑静な駅に車を寄せている。
オレは違うよ。
便所に用があっただけだ。
21:14 常陸大子駅 1515㎞
花火は盛大だった。
そこに繰り出している人の数も盛大だった。
その後いくつかローカルな町を抜けて、今家族に電話を入れた。
旅はまだまだ続く。
水戸までの道程もまだかなり残されている。
過ぎてきた町はそれぞれ興味深かった。
提灯のぶら下がった人気のない商店街。
危うげな連中がベンチに座るスーパーマーケットを持つ町。
山の中を走るよりはこっちの方がいい。
夜、鳴子へ向かう道では疲れるだけだから。
次に止まるのはどこらあたりになるだろう。
そもそも水戸突入はどれくらい先のことになるのか。
22:49 6号国道‐HOT STAR 1583㎞
無事に水戸を通過して、7月のロードに戻っている。
みんなぶっ飛ばしていやがる。
あのレースに参加しろというのなら、「ああそうかい」と腰を上げるけど、オレのペースで走っていいのならそうしたい。
旅の途中なのだから。
無事に家に帰れれば何時に着いてもいいよ。
ストーンズのテープもまだ3本残っている。
できれば、あと2、3か所休憩場所を用意しておいてくれればそれでいいよ。
24:20 6号国道‐我孫子市内吉野家 1644㎞
これが最後になるだろう。
表示は東京がもう遠くないところにあることを示している。
これが最後なら、最後まで旅だった。
そのことに満足しているよ。
27:22 東京町田 1715㎞
旅の最後にたどり着いたのがこの家だった。
そう、オレの家だよ。
そして1715㎞を一緒に走った車に抱擁した。
家のドアを開けるまで何度も振り返っては別れを惜しんだ。
秋まで一緒に出動することはないだろう。
愛情のすべてはその時愛車に注がれた。
当然だよ。
ずっと一緒にいたんだ。
おやすみ。
また秋に西へ向かおう。
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