「鉄旅日記」2018年エイプリルフール その2-猪苗代、磐梯町、安子ヶ島、磐梯熱海、郡山(磐越西線) 【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】
鉄旅日記2018年4月1日・・・猪苗代駅、磐梯町駅、安子ヶ島駅、磐梯熱海駅、郡山駅(磐越西線)
12:28 猪苗代(いなわしろ)駅(磐越西線 福島県)
黒磯、新白河で乗り継ぎ、郡山で乗り換え。
黒磯を出ると大好きな車窓風景にスマホを向ける。

新白河では線路が一度途絶え、その先に郡山行が止まっていた。
事情は知らないし、知らなくて構わないが、その光景はオレを切なくさせた。
左手に見える猪苗代湖、右手に見える磐梯山。
閑散とした駅にとつとつと止まっては会津若松を目指す磐越西線。
車内アナウンスが入り、磐梯山の説明が始まる。
明治の頃に大噴火を起こして、裏磐梯からの山容は荒々しいものに変わり、五色沼をはじめいくつかの湖沼を作ったと。
オレは表磐梯しか知らないわけで、幕末会津藩が見ていた磐梯山は今の姿をしていない。
猪苗代駅前は何台もの大型バスが止まり活気に満ちていて、駅舎はかつて寄った際のものとは変わっていた。
行き違いで4分の停車。



13:36 磐梯町(ばんだいまち)駅(磐越西線 福島県)
車窓に現れる磐梯山を何度も写す。







今日の旅で一番遠い町に降りた。
雪解け水が水路を伝う音が静かな町に響く。
姿の見えない駅員室からはくしゃみの声が響く。

小さな少女が待合室の姉に「40分」と繰り返す。
父親はスマホに夢中。
オレならそんなことはしない。
だけどこの様だ。
霞み空の下で、その事実が鈍痛のように苛んでくる。
町へと下る坂の途中にある酒屋のご主人の対応はとても丁寧だった。
磐梯山を眺めること以外にやることが見つからない町で1時間。
心の支えでもある女性が投稿したfacebooKの写真に、「時間よ止まれ」と書き込む。
猪苗代湖からはだいぶ離れてしまった。
14:57 安子ヶ島(あこがしま)駅(磐越西線 福島県)
郡山方面に9駅戻る。
由緒を知りたくなる駅名を持つ地に降りる。



何代目かであろう鉄筋の駅舎は、高校生に向けて「自分を愛せ」と訴える。
甲子園ではセンバツベスト8。
あの世代が抱える「死にたくなるような現実」を知るべきだと思う。
用を終えた電信柱の脇に古木がたたずむ姿に打たれた。

桜は見かけないが、もうあたりに雪はなく、吹く風に身をすくめることもない。
東京じゃ散ってしまった桜。
開花の遅い白河以北も、こんなに暖かければ今年は早いだろう。
15:57 磐梯熱海(ばんだいあたみ)駅(磐越西線 福島県)
下りホームで会津行きの列車を待つ紳士がふいにハーモニカを吹き始める。
昭和歌謡には哀愁がある。
戦争があって、この国も軍隊が支配していて、多くの悲しい別れがあった時代の曲だ。
人は悲しみもうまく表現できる。
若い父親が息子を抱いて、電車を見せにやってきた。
どこの町でも見かける微笑ましい光景。
安子ヶ島から下りでひと駅。
出歩く者もない曇天の下の温泉街はひどく侘しく見えた。

でも大きな旅館の入口では従業員が雑草を抜き、ビールを買いに入った酒屋では腰の低いご主人がとても丁寧な対応をしてくれる。
店を出るまで彼の感謝の声は聞こえ、恐縮しながら背中を見せる。
味のある廃墟を写して帰ろうかと思ったけどやめた。
ちょうど彼女から返信があった。
不愉快な感情は置いていく。
駅前の足湯場に居場所はなかった。
それでいい。
立ち位置はわきまえている。
訛りを隠さない福島の若者たち。
堪らない愛情を感じながら、聞こえてくる会話に耳を傾けている。



16:50 郡山(こおりやま)駅(東北新幹線/山形新幹線/東北本線/磐越東線/磐越西線/水郡線 福島県)
彼女からの指摘にあるとおり酒が進む。
でも金曜日のような酔いはない。
磐梯山をはじめ、無意識的に接したかった風景はオレに6本のビールを飲ませ、替えがたい安らぎをくれた。
在来線ホームのベンチに座って新幹線ホームの壁を眺めていた。
そうだった。
ここは郡山。
今じゃどこに暮らしているのか知らないが、この街のどこかに大切に思う友人が暮らしている。
彼はオレの事情を知らない。
知れば誰よりも心配してくれるだろう。
そんな彼とも、この先に会える機会があるとすれば、1、2度だろうと思いながら腰を上げ、水郡線ホームに歩いていく。



関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 最終日(速星-東京)その4‐藤枝、静岡、熱海、上野、北千住(東海道本線/常磐線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月22日・・・藤枝駅、静岡駅、熱海駅、上野駅、北千住駅(東海道本線/常磐線)
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その2 ‐茅ヶ崎、南橋本、上溝、橋本(相模線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月6日・・・茅ヶ崎駅、南橋本駅、上溝駅、橋本駅(相模線) 11:03&n
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 最終日(三次-東京)その5‐京福嵐山、阪急嵐山、嵐電嵯峨、トロッコ嵯峨、嵯峨嵐山、京都(京福電鉄嵐山本線/東海道新幹線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月26日・・・京福嵐山駅、阪急嵐山駅、嵐電嵯峨駅、トロッコ嵯峨駅、嵯峨嵐山駅、
-
-
「鉄旅日記」2013年春 最終日(和歌山-東京)その1-打田、妙寺、高野口、橋本、五条、吉野口、法隆寺、平城山、木津、京田辺、四條畷、住道(和歌山線、関西本線、学研都市線) 【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】
鉄旅日記2013年4月7日その1・・・打田駅、妙寺駅、高野口駅、橋本駅、五条駅、吉野口駅、法隆寺駅、
-
-
「車旅日記」1998年夏 2日目(青森-竜飛崎-秋田)-あおもり健康ランド、青森駅、青い海公園、蟹田、高野崎、竜飛崎、十三湖、五所川原駅、深浦、不老不死温泉、能代駅、秋田駅、道の駅西目 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】
車旅日記1998年8月13日 1998・8・13 7:31 あおもり健康ランド 777㎞ 昨日のこ
-
-
「車旅日記」2000年夏Part.1 3日目(能登島-氷見-小千谷)能登島、道の駅いおり、氷見港、道の駅ウェーブパークなめりかわ、朝日町栄食堂、親不知ピア・パーク、道の駅能生、長岡市宮本、道の駅おぢや 【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】
車旅日記2000年7月22日 2000・7・22 9:00 能登島某リゾートクラブ 昨夜は風の音を
-
-
「鉄旅日記」2017年夏 (姫路-十三)その1-山陽姫路、山陽網干、飾磨、大塩、高砂、山陽垂水、垂水、滝の茶屋、山陽塩屋、塩屋、山陽須磨(山陽電車本線/山陽電車網干線) 【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月13日・・・山陽姫路駅、山陽網干駅、飾磨駅、大塩駅、高砂駅、山陽垂水駅、垂水駅
-
-
「車旅日記」2003年夏 2日目(札幌-北見)走行距離431㎞ -岩見沢駅、砂川駅、旭川駅、白滝PA、遠軽駅、サロマ湖、網走刑務所、網走駅、北見東急イン 【北海道初上陸。2,300㎞を移動した5日間の記録でございます。】
鉄旅日記2003年8月14日・・・岩見沢駅、砂川駅、旭川駅、白滝PA、遠軽駅、サロマ湖、網走刑務所、
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋 最終日(高松-東京)その2 ‐茶屋町、岡山、倉敷、倉敷市、水島、常盤、栄、三菱自工前(宇野線/伯備線/水島臨海鉄道)/倉敷センター街、阿智神社、倉敷美観地区 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月22日・・・茶屋町駅、岡山駅、倉敷駅、倉敷市駅、水島駅、常盤駅、栄駅、三菱自
-
-
「鉄旅日記」2018年神無月 初日(東京-米原-福井-越前大野)その1-金町、大垣、米原、近江塩津、王子保、湯尾(常磐線/東海道本線/北陸本線) 【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】
鉄旅日記2018年10月6日・・・金町駅、大垣駅、米原駅、近江塩津駅、王子保駅、湯尾駅(常磐線/東海
