*

「鉄旅日記」2009年秋-川口、浦和、深谷、倉賀野、寄居、東飯能、飯能、寒川、茅ヶ崎、辻堂、新橋(京浜東北線/高崎線/八高線/相模線/東海道本線)【関東ぶらぶら旅その2-武蔵から相模へ】

公開日: : 最終更新日:2025/05/16 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年10月27日・・・川口駅、浦和駅、深谷駅、倉賀野駅、寄居駅、東飯能駅、飯能駅、寒川駅、茅ヶ崎駅、辻堂駅、新橋駅(京浜東北線/高崎線/八高線/相模線/東海道本線)

2009・10・27 9:19 川口(かわぐち)駅(京浜東北線 埼玉県)
久々に乗る朝の常磐線は、都会口へ出るまでの距離を感じさせた。
葛飾下町から都会に出るには少なくともあれだけの時間と労力が必要らしい。

キューポラのある街、川口は大宮によく似ていた。

西口には劇場を思わせるロータリーと巨大構造物。
東口正面にSOGOを置いて、脇を固めるのはパチンコ屋が入った雑居ビル。
東北本線に並行して商店街が長く続いていた。

荒川を越えれば東京で、「駅そば」の屋号は「中山道」。

鋳物の街としての機能は現在も生きているのだろうか。
目にしたのはたんに都会風の街だった。

いつかここで酒を飲んでみたいと思う街ではあった。

9:58 浦和(うらわ)駅(東北本線/高崎線/京浜東北線 埼玉県)
繁華街は西口に移り、風格を持つ埼玉県庁に向けて大通りが延びている。
まるで太刀持ちのように脇を自民党と民主党が固め、手前の埼玉会館も人を集めていた。

西の伊勢丹、東のPARCO。
東口はまるで幕張のようだ。

PARCOが進出しても、一度できた人の流れは簡単に変えられるものじゃないようで、PARCOが滑稽なまでに立派に見える。
都会の一歩手前の街だった。

商店街でお年寄りがぼんやりと腰かけていた。
駅前広場でもお年寄りの一団が見られた。

都会を見たかったわけじゃない。
浦和がどんな顔をしているのか知りたかっただけだが、歩ききれない。

川口でもそうだったが、ここ浦和でも歓楽街は目に入らなかった。

11:04 深谷(ふかや)駅(高崎線 埼玉県)
東京駅を模した駅を出ると、キンカ堂がまず目に入る。

渋沢栄一生誕の地を謳う街には山の気が漂う。
関東の果てはまだ先で、街中から山は見えないが、川口や浦和には吹いていなかった風を肌に感じている。

台風20号が去った関東に強い日差しが降り注いでいる。
平野の端に秩父の山並が見えだした。

深谷にどんな用があるのか知らないが、ルートインをはじめビジネスホテルがいくつかある。
駅に並ぶ建物の中には、駅に倣ってレンガ造りのものがいくつかあって、笑いを誘った。

11:46 倉賀野(くらがの)駅(高崎線/八高線 埼玉県)
特徴のない駅舎に、商店を持たない駅前。
分岐駅だけあって構内は広く、長い跨線橋だけが印象に残る。

2両編成のディーゼル列車に乗って高麗川に向かっている。

旅情には期待していなかったが、ここは濃厚だ。
乗客にも鄙を感じる。

12:27 寄居(よりい)駅(八高線/東武東上線/秩父鉄道 埼玉県)
倉賀野と同じような駅で5分の停車。
構内は広く、外に出るのはよした。

東武線、秩父鉄道が乗り入れる大鉄道駅で、この旅で初めて山が迫り、景色がより田舎じみてきた。

発車して濁流の荒川を渡る。
ちょっとした絶景をそこに見た。

14:17 東飯能(ひがしはんのう)駅(八高線/西武秩父線 埼玉県)
甲子園で見かけた聖望学園脇を通り、列車は東飯能に着く。

西武鉄道の街とも言えるこの駅にはマルヒロが、飯能銀座の先にある飯能駅にはpepeが聳えている。

そうした街だが、マルヒロの高層階は閉鎖されている。
以前は飲食店街があったのに違いない。
この手の構造物に例外はない。

食事は飯能駅に近いラーメン屋で。
仕事の電話をかけて、明日の予定が2件決まった。

2つの駅をつなぐ街並に田舎の匂いはない。
無理に探せば、ここは関東平野の一番端の街で、秩父の山々が迫っていること。

いくつか渡った川には護岸工事がされておらず、その自然な様が喜ばしい。

それにしてもJRに比べて、西武鉄道の運賃が安いことには少し驚いた。

飯能(はんのう)駅(西武池袋線/西武秩父線 埼玉県)にて

16:42 寒川(さむかわ)駅(相模線 神奈川県)
八王子、橋本で乗り換えて、この沿線じゃ有名な町に降りる。

その寒川駅前は寂しいものだ。
空地が目立ち、誘われるような街の灯もない。

多くの者が降りたが、改札を抜けると人声は絶えて、ただただ強烈な西日に照らされていた。

寒川神社はあるいはここから遠いのだろうか。
橋本からずっと見えていた丹沢の山々はこの先もまだ見えるのだろうか。

次の列車がやってきて、次の香川駅に着く。
こっちの方が駅前の風情は優れている。

宮脇俊三さんの本で、寒川からはかつて西寒川に向かう支線が出ていたことを知ったが、その頃になってようやくその事実を思い出した。

17:15 茅ヶ崎(ちがさき)駅(東海道本線/相模線 神奈川県)
この街に着けば、大学時代に淡い想いを寄せた女友達を思い出す。

かつて彼女が水着姿で自転車に乗って駆け抜けた街。
近くを車で何度も通っているはずだが、見覚えはない。

この駅を記憶していると思い込んでいたが、脳裏に浮かぶ姿は幻だった。

別に構わない。
当時駅に用があったわけじゃなく、その女友達と海に用があった。
その記憶は鮮明だから。

湘南に向いた街並は歴史を感じさせる。
おそらく彼女と遊んでいた当時から変わっていないのだろう。

北口にはまったく覚えがない。
駅ビルをはじめとする新興勢力が台頭する未来型の造りで、少し歩くとすぐに商圏を外れる。

駅弁の中に鰺寿司があった。
彼女への手土産にすればよかったと後悔している。

17:38 辻堂(つじどう)駅(東海道本線 神奈川県)
広大な更地を目にしている。
そんなだだっ広い場所に吹く風が夕暮れ時を心地よくしている。

辻堂の商圏も狭かったが、クリスマスを想わせる素敵な灯が灯っていた。
そんな頃ももう近い。
線路際では湘南に似つかわしい、まったりとしたポップスが流れていた。

当時、茅ケ崎の女友達は辻堂を知らなかった。
彼女は今も茅ヶ崎で幸せに暮らしているが、辻堂は相変わらず通過しているだけなのかもしれない。

この町のどこかに珈琲館があったんだ。
オレにとっての辻堂とは、あの店が放つ灯がすべてだった。
ただ懐かしい。

そして当時とそうは変わらない姿で、こうしてひととき戻ってきた。
彼女にばったり会っても驚かれることはないだろう。
今のオレにとっちゃ、それが一番大切なことだ。

そして新橋に向かっている。
愛する女性に会いにいく。

23:22 新橋(しんばし)駅(東海道本線/山手線/京浜東北線/横須賀線快速/東京メトロ銀座線 東京都)
愛することってむずかしい。
かつて佐野元春は歌っていた。

でも分かったような気でいるよ。

都会を走っている。
そこに戻ってきた。

関連記事

「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その2‐鯉川、東能代、岩館、深浦(奥羽本線/五能線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月12日・・・鯉川駅、東能代駅、岩館駅、深浦駅(奥羽本線/五能線) 10:19

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 2日目(盛岡-宮古)その4-陸奥湊、白銀、鮫、久慈、宮古(八戸線/三陸鉄道リアス線) /蛇の目寿司【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月22日・・・陸奥湊駅、白銀駅、鮫駅、久慈駅、宮古駅(八戸線/三陸鉄道リアス線)

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 3日目(鹿児島中央-西鉄柳川)その2-隼人、日当山、鶴丸、吉松、真幸、矢岳、大畑、人吉、坂本、玉名、西鉄柳川(肥薩線、鹿児島本線、西鉄本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月14日その2・・・隼人駅、日当山駅、鶴丸駅、吉松駅、真幸駅、矢岳駅、大畑駅、人

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 2日目(高松)その2 ‐祖谷口駅、小歩危駅、大歩危駅、剣山リフト乗場、恋人峠、穴吹駅、黒田屋高松西インター店 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

車旅日記2020年9月20日・・・祖谷口駅、小歩危駅、大歩危駅、剣山リフト乗場、恋人峠、穴吹駅、黒

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋 2日目(倉敷-和田山)その1-倉敷、足立、生山、上菅、伯耆溝口、伯耆大山、赤碕、浦安、松崎、浜村、末恒、湖山、鳥取(伯備線/山陰本線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月22日・・・倉敷駅、足立駅、生山駅、上菅駅、伯耆溝口駅、伯耆大山駅、赤碕駅、

記事を読む

「車旅日記」2003年晩秋 初日(奈良-高野山-南紀白浜)走行距離204㎞ -橿原かっぱ寿司、橋本駅、九度山駅、高野山大伽藍、高野山金剛峰寺、龍神、南紀白浜 【紀伊半島に焦がれる日々。南海道を往くのは2度目でございます。】

車旅日記2003年11月22日・・・橿原かっぱ寿司、橋本駅、九度山駅、高野山大伽藍、高野山金剛峰寺、

記事を読む

「鉄旅日記」2005年聖夜-鹿島神宮、新鉾田、鉾田、石岡(鹿島線/鹿島臨海鉄道/鹿島鉄道/常磐線) 【廃線となった鹿島鉄道に乗った記録が残されておりました。】

鉄旅日記2005年12月24日・・・鹿島神宮駅、新鉾田駅、鉾田駅、石岡駅(鹿島線/鹿島臨海鉄道/鹿島

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】2日目-友人夫婦と過ごした一日

車旅日記1996年5月4日 1996年5月4日の記憶 一夜明けた。 友人夫婦はそこでしっかりと生

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その2 ‐八景島、金沢八景、杉田、新杉田(金沢シーサイドライン/京浜急行本線) 【根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・八景島駅、金沢八景駅、杉田駅、新杉田駅(金沢シーサイドライン/京浜

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その5‐比立内、阿仁合、阿仁前田温泉、合川、米内沢(秋田内陸縦貫鉄道) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】

鉄旅日記2021年4月17日・・・比立内駅、阿仁合駅、阿仁前田温泉駅、合川駅、米内沢駅(秋田内陸縦

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その1 ‐金町、石岡、友部、水戸(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・金町駅、石岡駅、友部駅、水戸駅(常

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

→もっと見る

    PAGE TOP ↑