「車旅日記」2006年初夏 2日目(岐阜-近江八幡) その1-東横イン名鉄岐阜、大垣駅、養老駅、阿下喜駅、西藤原駅、湯の山温泉駅、四日市駅、鈴鹿サーキット稲生駅 【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】
車旅日記2006年7月16日・・・東横イン名鉄岐阜、大垣駅、養老駅、阿下喜駅、西藤原駅、湯の山温泉駅、四日市駅、鈴鹿サーキット稲生駅
2006・7・16 7:11 東横イン名鉄岐阜813号
予想通りの雨。
稲葉山に雲がかかり、岐阜市内は今日一日浮かない。
梅雨明けが待ち遠しい。
昨日のように、どんなに暑くても晴れてる方がいい。
見渡したところ岐阜の街はまだ眠っている。
もっともこの天気だ。
朝寝坊もいいだろう。
9:04 大垣駅(岐阜駅より22㎞)
松尾芭蕉最後の地、大垣。
最後の夢が、この地で彼の脳裏に浮かぶ枯野を駆け巡った。
1600年の西軍最後の夢の地、大垣。
大垣が前衛基地で、やがて壊滅する大軍団は雨の中を関ヶ原に向かった。
アーケード街に隠れるように、重厚な門を構えた城の姿が見えた。
JR、近鉄、旧国鉄樽見鉄道が乗り入れる交通の要衝、大垣。
都会的でもあり、いい街だと思う。
大垣に着くまで素晴らしい田舎道を走ってきた。
田圃脇の用水路に面した素朴な道などは、オレにとっては最高だ。
木曽川、長良川、揖斐川を渡り終えて、関西圏の匂いを嗅いでいる。
すぐ近くに競輪場がある。
旅心が蘇ってきた。
雨は一旦止んでいる。

2012年8月25日撮影
9:59 養老駅(岐阜駅より36㎞)
養老山地に深遠な雲がかかり、また雨が上がった。
酒が湧いたという「養老の滝」伝説が残る養老へ。
伝説の内容をよくは知らなかったが、親孝行を伝える話だったのか。
近鉄が走る養老駅。
とても素敵な駅だ。
はしゃぎだすように車を降りて、新しくした携帯電話のカメラで駅を収めた。
千歳旅館が経営する軽喫茶食堂では主人が朝からビールを飲んでいる。
焦がれている彼女に渡す土産を購入したよ。
日本最初にこの地で製造されたというサイダーと、体にいいということから関西各地から買い求める客がやってくるという酒。
サイダーはオレも今飲んでいる。
縁起物でもある瓢箪の携帯ストラップも購入。
手元でじゃらじゃらしてる。
不意に日が差して蝉の声が聞こえてきた。
今年の第一声をここで聞けてうれしい。
快くホームの便所も使わせてもらう。
もういかなくちゃな。
乗降客はそうそういるわけじゃなく、タクシー運転手は暇を持て余している。
彼女を想った。
夏が始まった。

2018年9月16日撮影
10:53 阿下喜駅(岐阜駅より64㎞)
養老山地を越えて。
山並に沿って道がうねる様は美しかった。
山地越えに要した時間は約30分。
北勢の町へ。
温泉、城跡、野猿。
地図にはそうした文字が見られる。
終着の駅に駅員の姿はなく、待合室で燕が巣を作っている。
煙草を吸いにやってきたオレを威嚇するように親鳥が鼻先を掠め、振り向くと雛鳥が盛大に騒いでいた。
大正3年開業、近鉄北勢線のこの駅には当時の乗車心得が壁に残っている。
あたりに工事中の空地が目立つ、乾いた町の終着駅だった。
三重県に入っている。
11:17 西藤原駅(岐阜駅より71㎞)
三岐鉄道の終着駅へ。
ウィステリア鉄道と呼ばれる模型電車に乗って、子供連れの家族が楽しんでいる。
眼下に大きなお寺を見下ろす駅。
機関車を模したステンレスの駅舎には愛嬌がある。
手前の東藤原駅では長大な貨物列車が停車していた。
鉱山列車のようだ。
途中には巨大な太平洋セメントの工場がある。
関東の誰もが知らないような鈴鹿山脈外れの町。
トンボの大群に遭遇した。
このあたりじゃ夏を迎える前に姿を見せるものなのか。
踏切音がひっきりなしに聞こえてくるが、それは三岐鉄道のものじゃない。

2018年12月22日撮影
12:04 湯の山温泉駅(岐阜駅より94㎞)
湯の山へ。
近鉄の終着駅、湯の山温泉。
鈴鹿山脈に抱かれた高地に温泉場がある。
今じゃたいして観光資源にはなっていないように見える。
ここ湯の山は、「男はつらいよ」第3作目で車寅次郎が恋をした町。
道を上がるとロープウェー乗場があり、恋に落ちた旅館の女将の弟と寅次郎が決闘をした場所と思わしき景色を見た。
駅の背後の山並が見事だ。
そして色とりどりの近鉄電車が入線してきた。
この開放的な駅にやってくる客も、ここで待つ客も多くはない。
寅次郎は傷心を抱えて、この駅から九州へと向かった。
確かあれは寒い季節だった。

2017年3月18撮影
13:11 四日市駅(岐阜駅より117㎞)
近鉄線に沿って街へ下っていく。
石油化学コンビナートが見えてくれば四日市。
そして1号国道へ。
港へ向けて貨物線路が延びる重化学工業都市。
かつて「四日市ぜん息」という怪物を生み出した街に気怠い午後が訪れている。
関西私鉄の雄、近鉄駅のあたりには百貨店などが見える。
そこから港へ下った場所に今いる。
四日市駅には明らかな歴史がある。
1階の広大な待合室には鍵がかかり、2階のレストランは閉鎖されている。
駅舎の大半の機能が止まっている。
JRは、名古屋までなら近鉄より安いと宣伝しているが、明暗は分かれている。
オレは廃れた方にいる。
四日市を目指すなら近鉄がいい。
JRのこの駅に降りたら途方に暮れる。

2014年3月8日撮影
14:03 鈴鹿サーキット稲生駅(岐阜駅より135㎞)
町並が平凡なものになってきた。
世界の鈴鹿での記憶は市役所とテレビ塔しかない。
サーキット場はそこのこんもりとしたあたりにあるようだ。
今日は8耐と呼ばれるレースが行われる会場。
世界が集まる季節はすでに終わっている。
さらに昔に世界の強豪が鈴鹿に集まったことがある。
「全日本プロレス」昭和50年の世界オープン選手権大会。
優勝したジャイアント馬場は、この街でドリー・ファンク・ジュニアに破れている。
2人の数ある闘いで、明確な決着がついた歴史的な大会だった。
サーキットの名を冠した伊勢鉄道が通じるこの駅に駅舎はなく、待合所の窓にはベニヤが貼られ、ガラスは割れている。
並んだ自転車は倒れ、奥には威圧的な右翼の街宣車とバラックがある。
外は暑い。
このまま晴れてくれたらうれしい。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2015年春 最終日その1(宇治-東京)-宇治、山城多賀、玉水、上狛、木津、加茂、貴生川(奈良線/関西本線/草津線) 【朝に宇治を出て、近江鉄道に乗る一日】
鉄旅日記2015年3月22日その1・・・宇治駅、山城多賀駅、玉水駅、上狛駅、木津駅、加茂駅、貴生川駅
-
-
「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】
鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線) 【武田信玄公隠し湯にて】
-
-
「鉄旅日記」2021年秋 初日(東京-飯坂温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、新地、岩沼(常磐線/東北本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】
鉄旅日記2021年10月9日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、新地駅、岩沼駅(常磐線/東北本線)
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その3 ‐相原、相模原、東神奈川、京急東神奈川、鶴見、京急鶴見(横浜線/京浜東北線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月6日・・・相原駅、相模原駅、東神奈川駅、京急東神奈川駅、鶴見駅、京急鶴見駅(
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 2日目(和歌山-松阪)その2-串本、新宮、尾鷲、紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪(紀勢本線)【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月20日・・・串本駅、新宮駅、尾鷲駅、紀伊長島駅、三瀬谷駅、多気駅、松阪駅(紀勢
-
-
「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その3 ‐野里、香呂、仁豊野、溝口、鶴居、寺前(播但線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】
鉄旅日記2022年8月14日・・・野里駅、香呂駅、仁豊野駅、溝口駅、鶴居駅、寺前駅(播但線)
-
-
「車旅日記」2004年春 2日目(紋別-釧路)走行距離367㎞その2-止別駅、緑駅、裏摩周、摩周駅、塘路駅、釧路湿原駅、細岡駅、釧路パシフィックホテル 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】
車旅日記2004年5月2日・・・止別駅、緑駅、裏摩周、摩周駅、塘路駅、釧路湿原駅、細岡駅、釧路パシフ
-
-
「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、甲斐駿河途中下車旅】その2-源道寺、入山瀬、下部温泉、塩之沢、甲斐常葉、市川大門、甲府、新府、穴山、東山梨、東所沢(身延線、中央本線、武蔵野線)
鉄旅日記2013年3月3日その2・・・源道寺駅、入山瀬駅、下部温泉駅、塩之沢駅、甲斐常葉駅、市川大門
-
-
「車旅日記」2005年初夏 初日(長岡-山形)走行距離388㎞ その2-福島駅、峠駅、今泉駅、荒砥駅、アパホテル山形駅前大通 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】
車旅日記2005年7月16日・・・福島駅、峠駅、今泉駅、荒砥駅、アパホテル山形駅前大通 17:00
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 最終日(門司港-東京)その2‐若松渡場、戸畑渡場、戸畑、下関(若戸渡船/鹿児島本線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月16日・・・若松渡場、戸畑渡場、戸畑駅、下関駅(若戸渡船/鹿児島本線)
