*

「車旅日記」2006年初夏【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】2日目(岐阜-津-名張-近江八幡)その1-東横イン名鉄岐阜、大垣駅、養老駅、阿下喜駅、西藤原駅、湯の山温泉駅、四日市駅、鈴鹿サーキット稲生駅

公開日: : 最終更新日:2024/05/15 旅話, 旅話 2006年

車旅日記2006年7月16日・・・東横イン名鉄岐阜、大垣駅、養老駅、阿下喜駅、西藤原駅、湯の山温泉駅、四日市駅、鈴鹿サーキット稲生駅

2006・7・16 7:11 東横イン名鉄岐阜813号
予想通りの雨。
稲葉山に雲がかかり、岐阜市内は今日一日浮かない。

梅雨明けが待ち遠しい。
昨日のように、どんなに暑くても晴れてる方がいい。

見渡したところ岐阜の街はまだ眠っている。
もっともこの天気だ。
朝寝坊もいいだろう。

9:04 大垣駅(岐阜駅より22㎞)
松尾芭蕉最後の地、大垣。
最後の夢が、この地で彼の脳裏に浮かぶ枯野を駆け巡った。

1600年の西軍最後の夢の地、大垣。
大垣が前衛基地で、やがて壊滅する大軍団は雨の中を関ヶ原に向かった。
アーケード街に隠れるように、重厚な門を構えた城の姿が見えた。

JR、近鉄、旧国鉄樽見鉄道が乗り入れる交通の要衝、大垣。
都会的でもあり、いい街だと思う。

大垣に着くまで素晴らしい田舎道を走ってきた。
田圃脇の用水路に面した素朴な道などは、オレにとっては最高だ。

木曽川、長良川、揖斐川を渡り終えて、関西圏の匂いを嗅いでいる。
すぐ近くに競輪場がある。

旅心が蘇ってきた。
雨は一旦止んでいる。

2012年8月25日撮影

9:59 養老駅(岐阜駅より36㎞)
養老山地に深遠な雲がかかり、また雨が上がった。

酒が湧いたという「養老の滝」伝説が残る養老へ。
伝説の内容をよくは知らなかったが、親孝行を伝える話だったのか。

近鉄が走る養老駅。
とても素敵な駅だ。
はしゃぎだすように車を降りて、新しくした携帯電話のカメラで駅を収めた。

千歳旅館が経営する軽喫茶食堂では主人が朝からビールを飲んでいる。

焦がれている彼女に渡す土産を購入したよ。
日本最初にこの地で製造されたというサイダーと、体にいいということから関西各地から買い求める客がやってくるという酒。
サイダーはオレも今飲んでいる。

縁起物でもある瓢箪の携帯ストラップも購入。
手元でじゃらじゃらしてる。

不意に日が差して蝉の声が聞こえてきた。
今年の第一声をここで聞けてうれしい。

快くホームの便所も使わせてもらう。
もういかなくちゃな。

乗降客はそうそういるわけじゃなく、タクシー運転手は暇を持て余している。

彼女を想った。
夏が始まった。

2018年9月16日撮影

10:53 阿下喜駅(岐阜駅より64㎞)
養老山地を越えて。

山並に沿って道がうねる様は美しかった。
山地越えに要した時間は約30分。
北勢の町へ。

温泉、城跡、野猿。
地図にはそうした文字が見られる。

終着の駅に駅員の姿はなく、待合室で燕が巣を作っている。
煙草を吸いにやってきたオレを威嚇するように親鳥が鼻先を掠め、振り向くと雛鳥が盛大に騒いでいた。

大正3年開業、近鉄北勢線のこの駅には当時の乗車心得が壁に残っている。
あたりに工事中の空地が目立つ、乾いた町の終着駅だった。

三重県に入っている。

11:17 西藤原駅(岐阜駅より71㎞)
三岐鉄道の終着駅へ。
ウィステリア鉄道と呼ばれる模型電車に乗って、子供連れの家族が楽しんでいる。

眼下に大きなお寺を見下ろす駅。
機関車を模したステンレスの駅舎には愛嬌がある。

手前の東藤原駅では長大な貨物列車が停車していた。
鉱山列車のようだ。
途中には巨大な太平洋セメントの工場がある。
関東の誰もが知らないような鈴鹿山脈外れの町。

トンボの大群に遭遇した。
このあたりじゃ夏を迎える前に姿を見せるものなのか。

踏切音がひっきりなしに聞こえてくるが、それは三岐鉄道のものじゃない。

2018年12月22日撮影

12:04 湯の山温泉駅(岐阜駅より94㎞)
湯の山へ。

近鉄の終着駅、湯の山温泉。
鈴鹿山脈に抱かれた高地に温泉場がある。
今じゃたいして観光資源にはなっていないように見える。

ここ湯の山は、「男はつらいよ」第3作目で車寅次郎が恋をした町。
道を上がるとロープウェー乗場があり、恋に落ちた旅館の女将の弟と寅次郎が決闘をした場所と思わしき景色を見た。

駅の背後の山並が見事だ。
そして色とりどりの近鉄電車が入線してきた。

この開放的な駅にやってくる客も、ここで待つ客も多くはない。
寅次郎は傷心を抱えて、この駅から九州へと向かった。

確かあれは寒い季節だった。

2017年3月18撮影

13:11 四日市駅(岐阜駅より117㎞)
近鉄線に沿って街へ下っていく。

石油化学コンビナートが見えてくれば四日市。
そして1号国道へ。

港へ向けて貨物線路が延びる重化学工業都市。
かつて「四日市ぜん息」という怪物を生み出した街に気怠い午後が訪れている。

関西私鉄の雄、近鉄駅のあたりには百貨店などが見える。
そこから港へ下った場所に今いる。

四日市駅には明らかな歴史がある。
1階の広大な待合室には鍵がかかり、2階のレストランは閉鎖されている。
駅舎の大半の機能が止まっている。

JRは、名古屋までなら近鉄より安いと宣伝しているが、明暗は分かれている。
オレは廃れた方にいる。

四日市を目指すなら近鉄がいい。
JRのこの駅に降りたら途方に暮れる。

2014年3月8日撮影

14:03 鈴鹿サーキット稲生駅(岐阜駅より135㎞)
町並が平凡なものになってきた。
世界の鈴鹿での記憶は市役所とテレビ塔しかない。

サーキット場はそこのこんもりとしたあたりにあるようだ。
今日は8耐と呼ばれるレースが行われる会場。
世界が集まる季節はすでに終わっている。

さらに昔に世界の強豪が鈴鹿に集まったことがある。
「全日本プロレス」昭和50年の世界オープン選手権大会。

優勝したジャイアント馬場は、この街でドリー・ファンク・ジュニアに破れている。
2人の数ある闘いで、明確な決着がついた歴史的な大会だった。

サーキットの名を冠した伊勢鉄道が通じるこの駅に駅舎はなく、待合所の窓にはベニヤが貼られ、ガラスは割れている。
並んだ自転車は倒れ、奥には威圧的な右翼の街宣車とバラックがある。

外は暑い。
このまま晴れてくれたらうれしい。

関連記事

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その1(北陸道→R8)有磯海SA、玉ノ木パーキング、親不知ピアパーク、能生

車旅日記1996年5月6日 3:40 北陸自動車道-有磯海SA 多少はスッキリしたんだ。 あれ

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.1【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】3日目(能登島-氷見-小千谷)能登島、道の駅いおり、氷見港、道の駅ウェーブパークなめりかわ、朝日町栄食堂、親不知ピア・パーク、道の駅能生、長岡市宮本、道の駅おぢや

車旅日記2000年7月22日 2000・7・22 9:00 能登島某リゾートクラブ 昨夜は風の音

記事を読む

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】2日目(紋別-釧路)走行距離367㎞その1-紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生花園、網走市鉄道記念館、網走監獄、網走駅、北浜駅、浜小清水駅

車旅日記2004年5月2日・・・紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その4 ‐越ノ潟、末広町、高岡、城端(万葉線/城端線)/高岡大仏

鉄旅日記2020年11月21日・・・越ノ潟駅、末広町電停、高岡駅、城端駅(万葉線/城端線)/高岡大

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】初日(東京-和歌山)その1-浜松、豊橋、大垣、京都、六地蔵、城陽、京終、帯解、天理、桜井(東海道本線/奈良線/桜井線)

鉄旅日記2008年7月19日・・・浜松駅、豊橋駅、大垣駅、京都駅、六地蔵駅、城陽駅、京終駅、帯解駅、

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】5日目(青森-八戸-気仙沼-女川-安達)その2-宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅、道の駅あだち

車旅日記2006年5月6日・・・宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)その2‐鯉川、東能代、岩館、深浦(奥羽本線/五能線)

鉄旅日記2020年1月12日・・・鯉川駅、東能代駅、岩館駅、深浦駅(奥羽本線/五能線) 10:19

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】初日(東京-下北)その2-村崎野、六原、盛岡、八戸、野辺地、下北(東北本線、いわて銀河鉄道線、大湊線)

鉄旅日記2016年3月19日その2・・・村崎野駅、六原駅、盛岡駅、八戸駅、野辺地駅、下北駅(東北本線

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、北海道途中下車旅】3日目(室蘭-岩見沢)-室蘭、苫小牧、鵡川、静内、様似、追分、夕張、新夕張、清水沢(室蘭支線、室蘭本線、日高本線、石勝線、夕張支線)

鉄旅日記2012年8月13日・・・室蘭駅、苫小牧駅、鵡川駅、静内駅、様似駅、追分駅、夕張駅、新夕張駅

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、富山・岐阜途中下車旅】最終日(富山-東京)その1-富山、水橋、速星、千里、越中八尾、笹津、猪谷、飛騨古川、高山、久々野、下呂、白川口、上麻生、下麻生(北陸本線、高山本線)

鉄旅日記2012年8月26日その1・・・富山駅、水橋駅、速星駅、千里駅、越中八尾駅、笹津駅、猪谷駅、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その4 ‐越ノ潟、末広町、高岡、城端(万葉線/城端線)/高岡大仏

鉄旅日記2020年11月21日・・・越ノ潟駅、末広町電停、高岡駅、城

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その3 ‐氷見、雨晴、越中国分、伏木、中伏木(氷見線/万葉線)/義経岩/伏木神社

鉄旅日記2020年11月21日・・・氷見駅、雨晴駅、越中国分駅、伏木

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その2 ‐電鉄魚津、西魚津、新魚津、魚津、高岡(富山地方鉄道本線/あいの風とやま鉄道)/魚津城跡

鉄旅日記2020年11月21日・・・電鉄魚津駅、西魚津駅、新魚津駅、

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その1 ‐金町、東京、黒部宇奈月温泉、新黒部(常磐線/北陸新幹線/富山地方鉄道本線)

鉄旅日記2020年11月21日・・・金町駅、東京駅、黒部宇奈月温泉駅

「鉄旅日記」2020年神無月【ツレと筑波山を訪ねたのでございます。関東に暮らす身にとりまして、高所に上がりますと平野の果てに浮かぶ筑波山はいつか登るべき山でございました。】-北千住駅、つつじヶ丘駅、女体山、男体山、筑波山頂駅、宮脇駅、筑波山神社、沼田バス停、つくば駅(つくばエクスプレス/筑波山シャトル/筑波山ロープウェイ/筑波山ケーブルカー)

鉄旅日記2020年10月4日・・・北千住駅、つつじヶ丘駅、女体山、男

→もっと見る

    PAGE TOP ↑