*

「車旅日記」2004年夏 初日(佐賀空港-別府)走行距離254㎞その1-葛飾金町、羽田空港、佐賀空港、佐賀駅、神埼駅、鳥栖駅、筑前内野駅【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2004年

車旅日記2004年8月11日・・・葛飾金町、羽田空港、佐賀空港、佐賀駅、神埼駅、鳥栖駅、筑前内野駅

2004・8・11 4:42 東京葛飾金町
2度の安らかな眠りを越えて、起き上がる。
心配していた目覚まし時計は、きちんと仕事を果たした。
もっとも、目覚ましが鳴る前に起き上がっていた。

早いところ空港へ連れていってくれよ。

日はまだ昇っていない。
夜明け前の空は、今日がどんな天気になるのか、まだ教えてはくれない。

少し遠くで一番鶏が鳴き、それが引き金となり、方々から二番三番と、その声は広がりつつある。

これから真夏の国へ。

旅立ちは少し早まりそうだ。
フライトは7:55。
朝食は焼きそばにしたよ。

40分が経過した。
この5日間の配達を止めるように依頼していたのに、朝刊が配達され、新聞販売所に抗議の電話を入れる。

さっきまで耳に涼しさを届けてくれていた蝉の声は聞こえなくなり、車の音が多くなってきた。

今日も真夏日になれば、連続記録は史上に残る記録と並ぶという。
そして、今年は新記録が生まれる年になることを、誰も疑っていない。

とんでもない夏だ。
そんな夏に、オレが向かうのは真夏の王国。

土産を買ってこよう。

帰ってきたら、しっかりと生きていこう。

7:28 羽田空港33番ゲート
6時の街は、しっかりと起きていた。

家を出た時には涼しさを感じたけど、じきに汗が吹き出してくる。

空港への乗り継ぎ列車の席はどこも塞がり、ネクタイ姿を一人として見ない。

東京駅ではあふれるほどの人々が下りていき、京浜運河と空は、濁った色をしていた。

そして夏休みの空の玄関口は、5月ほどじゃないが、早くも混み合っている。

まだ旅が始まっていることを実感できていない。
それに、どこへ何をしに行くのかも定かじゃない。

ひとまず佐賀へ飛ぶ。

今、滑走路へとオレを連れていくバスの到着を待っている。

佐賀に着いたら、まずはタバコを買うよ。

9:45 佐賀空港
羽田では、あれから飛行機のタラップまでバスで運ばれ、大平原のようなグレーの広大な滑走路を、遠い目で眺めた。

まるで無限のように滑走路は広がり、地平線の先に、ぼんやりと大都会が見えた。

オレにとって、その風景は最高だったよ。

薄曇りの東京上空を抜けると青空の中に浮かび、下界に目を向けると、国土の8割以上が山だという国が見えた。

やがて機長のアナウンスで、九州上空にさしかかったことを知り、また下界に目をやる。

ANA機は高度を落として飛行しており、水田地帯や大河が見えて、そこにまるで根拠のない、オレの中にだけある九州を感じる。

どこかほったらかしのような印象を受ける荒々しさを、上空からの何気ない風景に感じていた。

やがて熊本県内の谷間を抜け、こじんまりとした佐賀空港に下りる。

空港ビルはとてもきれいだ。
レストランは3階にある。

郷土コーナーにひとり座り、今こうしている。

壁には、佐賀学園の甲子園出場を祝う、大きな懸垂幕が下がっている。
とても残念だが、彼等は今日ここに帰ってくるはずだ。

空はよく晴れている。
今夜は別府に泊まる。
どんなルートで行こうが自由だ。

さて、どこへ行こうか。

10:38 佐賀駅 (佐賀空港より24km)
水田地帯を空港道路が走り、やがて街中へ入る。

佐賀城址、県庁。
気温は34度。

人のいいトヨタレンタカーの店員の話じゃ、今日はまだマシな方で、昨日までが耐えがたいほどの猛暑だったという。

東京も十分に暑かったけど、暑さを楽しむには、より暑い国にいた方がいい。
そんな心持ちでいる。

なにせ夏なのだから。

かわいらしい少女が、白い帽子を頭に乗せて通りをいく。

高層ビルは見当たらないが、案外に現代的な街の造りだ。

県庁の置かれた街であることは実感できるが、ちょっと見渡しただけじゃ、繁華街の存在は見えない。
駅周辺にもそれは見られない。

佐賀空港と同じように駅もガラス張りで、線路は2階に敷かれている。

由緒を持ちそうな羊羮屋を一軒見つけた。
他に、現在の佐賀を映すものを探せない。

明治維新の頃には最先端の技術を誇った街は、駅じゃ博多まで最短30分強900円という土地柄を売りにしている。

オレの隣に車を止めた女性は、ラジオで高校野球中継を聞いていた。

佐賀弁は聞こえてこなかったけど、なんだか佐賀を感じたよ。

2009年9月21日撮影

11:14 神埼駅 (佐賀空港より34km)
34号国道の車の流れが滞ってきた。

肥前の道に九州の趣は見られず、暑いには暑いが、昨日までに比べればいくらか過ごしやすい。

まるで宇宙科学館のような未来型の駅に、鄙びた肥前山口行の列車が止まり、3名が降りる。
あたりは一面の田舎風景だ。
滑稽と言えなくもない。

駅前の乾物屋の前で、所在無げな若者がひとり座っている。

佐賀県出身のお笑い芸人が歌にしていたように、自転車に乗る少年少女はヘルメットをかぶり、通りは牧歌的だ。

駅にいる間に、得意先から電話が2件入っていた。
まだ佐賀にいることも旅が始まっていることも実感できず、日常的な気分のまま鳥栖方向に車を走らせている。

風はそれなりに心地いい。

12:17 鳥栖駅 (佐賀空港より51km)
通りから眺めた吉野ヶ里公園駅も、神埼駅と同じような未来型の姿をしていた。

ここにきて分かった。
オレは鄙びた駅が見たくて、こうして駅を訪ねているのだと。

鹿児島本線と長崎本線が合流する鳥栖は、鉄道でも車でも交通の要衝にあたる。

1985年に全日本プロレスは、この街で天龍源一郎vsキラー・カーンのUN王座戦を組んでいる。
注目の一戦は、はっきりとした決着を見なかった。

鳥栖駅は古く、狭い待合室は賑わい、「駅そば」があり、駅弁も売られている。

ここで昼めし。
かしわそば、美味かったよ。
それに東京に比べて安い。

駅の反対側に見える巨大な構造物は、鳥栖スタジアム。

この街は、サッカーJ2のサガン鳥栖を有している。

跨線橋から、古い街と広大な鉄道基地を眺める。
鳥栖スタジアムだけが、新たな歴史に参加しているように見えた。

駅前には、煤けた色をした鳥栖ビルが建っている。
流行っている様子はなく、隣のジョイフルタウンには数えきれないほどの車が止まっている。

鳥栖から佐賀にかけては、博多のベッドタウン。
沿道の風景をオレはそんな目で眺めていた。

2013年8月13日撮影

13:22 筑前内野駅 (佐賀空港より77km)
ログハウス風の駅前に、聡明そうな犬が繋がれている。

そんな彼が、いきなり鳴きだした。

悲しそうな声だ。

原因はオレなのだろうか。

鳥栖から3号国道を走り、基山を過ぎて、筑豊へ延びる200号国道へ。

冷水トンネルを抜けると、小さな村に着いた。

駅の案内によると、内野には関所跡が遺されているという。

日に焼かれた右腕が夏の症状を呈しはじめ、体は汗ばんでいる。

風の音と蝉の声を聞く、田舎の夏。

人の姿はなく、この村に駅があることが不思議に感じられるが、確かに一本の線路が、筑豊に向けて延びている。

関連記事

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その2 ‐静岡、金谷、新金谷、代官町、日切、合格、門出(東海道本線/大井川鐡道本線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月19日・・・静岡駅、金谷駅、新金谷駅、代官町駅、日切駅、合格駅、門出駅(東海

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春 初日その1(東京-宇治)-東福寺、祇園四条、伏見稲荷、稲荷、男山山上、八幡市、枚方市、私市、河内森、河内磐船、交野市(京阪本線/男山ケーブル/京阪交野線) 【ひらパーGo!Go!チケットで行く、京阪旅】

鉄旅日記2015年3月21日その1・・・東福寺駅、祇園四条駅、伏見稲荷駅、稲荷駅、男山山上駅、八幡市

記事を読む

「車旅日記」2003年晩秋 3日目(伊勢志摩-京都)走行距離239㎞ -大王崎、御座港、鵜方駅、飯高駅、天誅組終焉之地、吉野駅、吉野神宮駅、吉野口駅、京都ホーユウコンフォルト二条城 【紀伊半島に焦がれる日々。南海道を往くのは2度目でございます。】

車旅日記2003年11月24日・・・大王崎、御座港、鵜方駅、飯高駅、天誅組終焉之地、吉野駅、吉野神宮

記事を読む

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その4 ‐岡谷、北殿、伊那北、伊那市(飯田線)/ホテル青木【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・岡谷駅、北殿駅、伊那北駅、伊那市駅(飯田線)/ホテル青木

記事を読む

「鉄旅日記」2022年盛夏 最終日(大津-東京)その1 ‐大津、関ヶ原(東海道本線)/ホテルアルファーワン大津【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月15日・・・大津駅、関ヶ原駅(東海道本線)/ホテルアルファーワン大津

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-松本)その2 ‐高尾、大月、塩山、甲府、日野春(中央本線) 【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】

鉄旅日記2021年4月24日・・・高尾駅、大月駅、塩山駅、甲府駅、日野春駅(中央本線) 7:

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その3‐梅ヶ沢、一ノ関、盛岡、小岩井(東北本線/東北新幹線/田沢湖線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】

鉄旅日記2021年4月17日・・・梅ヶ沢駅、一ノ関駅、盛岡駅、小岩井駅(東北本線/東北新幹線/田沢

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春 2日目(下北-石巻)その1-大湊、野辺地、浅虫温泉、小湊、東青森、上北町、小川原湖、下田、八戸(大湊線、青い森鉄道) 【下北半島から東日本大震災被災地へ】2日目(下北-石巻)

鉄旅日記2016年3月20日その1・・・大湊駅、野辺地駅、浅虫温泉駅、小湊駅、東青森駅、上北町駅、小

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 最終日(大館-東京)-大館、十和田南、荒屋新町、前沢、一ノ関、愛宕、国府多賀城、陸前山王、北白川、東白石、蒲須坂、片岡(花輪線/東北本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月13日・・・大館駅、十和田南駅、荒屋新町駅、前沢駅、一ノ関駅、愛宕駅、国府多賀

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その3‐上諏訪、塩尻、洗馬、中津川(中央本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月20日・・・上諏訪駅、塩尻駅、洗馬駅、中津川駅(中央本線) 10:27 上諏

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    PAGE TOP ↑