「鉄旅日記」2015年春【ひらパーGo!Go!チケットで行く、京阪旅】初日その1(東京-宇治)-東福寺、祇園四条、伏見稲荷、稲荷、男山山上、八幡市、枚方市、私市、河内森、河内磐船、交野市(京阪本線/男山ケーブル/京阪交野線)
鉄旅日記2015年3月21日その1・・・東福寺駅、祇園四条駅、伏見稲荷駅、稲荷駅、男山山上駅、八幡市駅、枚方市駅、私市駅、河内森駅、河内磐船駅、交野市駅(京阪本線/男山ケーブル/京阪交野線)
2015・3・21 14:00 東福寺(とうふくじ)駅(奈良線/京阪本線 京都府)
京都はいつも懐かしい。
かつてこの街で恋をしたことはいちいち思い出さないが、あの頃のことはよく思い出す。
この街を心から愛していた頃のことを思い出す。
京都駅新幹線ホームを見上げると甘酸っぱいような気持ちになる。
あれから随分経ったけど、そんな過去を持っていることを誇りに思いたくなる時がある。
恋という形でこの古都と縁を持てたことは、オレの歴史の中でも一際輝かしい。
JR奈良線で京都駅からひと駅。
ごちゃごちゃとした駅前で観光客や地元民に揉まれながらも名刹を目指そうとするが、予定していた時間は僅かしかない。
その狭い駅前通りには涼しげな店が並んでいる。
きっと日が暮れるまでごちゃごちゃと賑わっていることだろう。
京阪フリー切符を購入したいが、この駅では販売していない。
祇園まで戻り、再びこの先を目指す。
14:20 祇園四条(ぎおんしじょう)駅(京阪本線 京都府)
のっけから春の特別ダイヤに振り回されている。
買い求めた京阪フリー切符はHPに出ていたものじゃなかったが100円安くてほくそ笑んでいたら、男山ケーブルには乗れない。
混乱。
そして地上に出れば混沌だ。
出た場所は南座の前で歩道は様々な国籍の人間であふれ、例のごとく四条通りに発生している渋滞をしばし眺めて再び地下へ。
東山も八坂神社の石段もやけに遠くの方に見えて、当時の彼女のことや彼女が働いていた祇園の店に思いが至ったのはこの電車に乗り込んでからだ。
それまでは観光客の多さにあらためて仰天するなり、どこの国からきたのか知らないが駅員に道を尋ねて窓口を塞いでいた女性に苛立つなりして、僅かな時間だがつまらない気持ちでいた。
舞妓さんや着物衆がホームに並ぶ列の中にある。
こういった文化的側面は念頭になかった。
彼女と共有した過去からすでにひと回りの月日が流れ、想い出の街との付き合い方もようやく変わりつつある。
14:41 伏見稲荷(ふしみいなり)駅(京阪本線 京都府)
ここのお稲荷さんが海外からの観光客に人気だと最近テレビを見て知った。
鳥居がいくつも続くスポットが特に神秘的と映っているようだ。
その光景はオレにも見覚えがある。
ただし東京の東伏見稲荷でのことだけど。
京阪駅からJR稲荷駅までの人の流れは警官による交通整理が必要なほどで、四条通りの混沌をそのまま移動させたかのような騒ぎが繰り広げられている。
この人間風景は東京のどこにもない。
世界でも稀ではないだろうか。
たいした街だよ、京都っていうのは。
稲荷(いなり)駅(奈良線 京都府)にて
八幡市ケーブル(やわたしケーブル)駅(京阪男山ケーブル 京都府)にて
15:36 男山山上(おとこやまさんじょう)駅(京阪男山ケーブル 京都府)
武士の時代に歴史書に現れる男山。
応永の乱の際の足利義満をはじめ、ここを戦場にすべく陣を構えた不届きな武将もいる。
あるいは守り神として仰ぎつつ陣を敷いたのかもしれない。
石清水八幡宮は源氏の聖地でもあり、歴史上多くの兵どもの信仰を集め、戦火に焼けたこともある。
つい最近では大久保利通が参拝している。
この山上にはもはや世界的な混沌はなく、外国人の姿もなくひたすらに静謐だ。
竹林で深呼吸をすれば気持ちは落ち着き、身の内に隠れている日本的なるものが姿を見せる。
参道を駆け上がってきたのであろうランナーたちの姿もある。
麓は宇治川、桂川、木津川が合流して淀川となる要衝の地にあたる。
知らなかった京都、そして日本の姿を眺め、家族連れの姿を見てオレの未来を想った。
ワルクナイ未来だった。
石清水八幡宮にて
15:53 八幡市(やわたし)駅(京阪本線 京都府)
男山山麓の街。
地図で見るまでその存在を知らずに生きてきた。
男山に上るために降りて、再び観光地の駅前風景を見ている。
店頭で川魚も焼くうどん屋、ジャズを流す喫茶店ではカウンターに腰掛ける客の後ろ姿が見え、ロータリー正面にはいくつかの時代を過ぎてきた駅前旅館が建っている。
牧歌的かつ昭和的な駅前風景があった。
16:14 枚方市(ひらかたし)駅(京阪本線/京阪交野線 大阪府)
淀川に沿い大阪入り。
京阪電車の内観は座席位置も手すり位置も低く独特で、京成電車の車内が思い浮かぶ。
枚方は繁華な街だ。
水の街でもあり北も南も驚くほどの人の多さと賑わいで、比較表現ばかりで枚方に失礼だが東京の町田駅周辺を思わせる。
大阪の実力は本物だ。
こんな大きな街がまだこの国に存在していたとはオレの見識もまだまだ甘い。
だから街を歩く時間は用意していなかった。
悔いる気持ちはある。
関西はどこにいても山の気配が感じられて清々しい気持ちになる。
交野線に乗り換える。
16:39 私市(きさいち)駅(京阪交野線 大阪府)
終着駅に着いてあたりは鄙びた。
天野川へと下りていく坂の町で、一番早い桜の開花を目にした。
蜂蜜を売る店と品のいい喫茶店がささやかな商店街を形成している。
そこを一巡して今日最初のビールにありついた。
16:52 河内森(かわちもり)駅(京阪交野線 大阪府)
関西ではエスカレーターは左側を空けるのだった。
久々に馴染む。
大阪も平野だと確か教わった筈だ。
列車がちょっと高い場所を走ると眺望が開ける。
JR学研都市線の河内磐船駅との距離は徒歩約3分。
行って帰って10分。
そのしばしの間、河内人に紛れる。
ここは田園風景のない田舎町。
仕出し寿司屋がぽつんとあって、河内磐船駅へと下りていく途中でベビーカステラ売りが店を出していて、彼が鉄板を拭く脇からは甲子園のセンバツの実況が流れていた。
開幕戦だよ今日は。
干支でいう一巡り前、同じ開幕日の外野スタンドにはオレも姿もあった。
大阪ドームでストーンズを見た翌日の事だ。
あの日は震えるほど寒かったよ。
河内磐船(かわちいわふね)駅(学研都市線 大阪府)にて
17:02 交野市(かたのし)駅(京阪交野線 大阪府)
近くを流れる天野川が由来だろうか。
交野市は星のまちを謳っている。
統一地方選挙がこの街にも近づいていて駅前が騒がしい。
やけに暑い駅ビルの1階にはパン屋と美容室。
2階には残念だがシャッターが下りている。
若い母親と幼児の軽妙なやりとりに微笑む。
関西弁は育児力が高い気がする。
そういった方向に触覚が反応している。
見かける子供が均しくかわいく見える。
関連記事
-
「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】2日目(紋別-釧路)走行距離367㎞その2-止別駅、緑駅、裏摩周、摩周駅、塘路駅、釧路湿原駅、細岡駅、釧路パシフィックホテル
車旅日記2004年5月2日・・・止別駅、緑駅、裏摩周、摩周駅、塘路駅、釧路湿原駅、細岡駅、釧路パシフ
-
「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】初日(東京‐足利‐鬼怒川‐会津若松‐新潟豊栄)その1‐葛飾金町、幸手駅、古河駅、渡良瀬遊水地北エントランス、藤岡駅、佐野厄除け大師、足利駅
車旅日記2000年5月3日 2000・5・2 東京葛飾金町 前夜祭 旅に出る前夜。 これほどの
-
「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】初日(東京-香住)その2‐静岡、浜松、豊橋、名古屋、大垣(東海道本線)
鉄旅日記2020年7月23日・・・静岡駅、浜松駅、豊橋駅、名古屋駅、大垣駅(東海道本線) 8
-
「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その3-橿原神宮前、六田、吉野、近鉄御所、御所、尺土、二上山(吉野線/御所線/南大阪線)
鉄旅日記2017年3月18日・・・橿原神宮前駅、六田駅、吉野駅、近鉄御所駅、御所駅、尺土駅、二上山駅
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.2【青春18きっぷ常磐旅。この当時、常磐線は富岡止まりでございます。そしてこの季節、臨時駅の偕楽園駅に列車が止まります。】その3-常陸太田、東海、大甕、南中郷、石岡(水郡線常陸太田支線/常磐線)
鉄旅日記2019年3月10日・・・常陸太田駅、東海駅、大甕駅、南中郷駅、石岡駅(水郡線常陸太田支線/
-
「鉄旅日記」2018年神無月【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】2日目(越前大野-福井-米原-名古屋-松本)その1-越前大野、南今庄、敦賀、武並(越美北線/北陸本線/東海道本線/中央本線)
鉄旅日記2018年10月7日・・・越前大野駅、南今庄駅、敦賀駅、武並駅(越美北線/北陸本線/東海道本
-
「鉄旅日記」2018年神無月【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】2日目(越前大野-福井-米原-名古屋-松本)その2-平田、松本、食蔵BASARA(篠ノ井線)
鉄旅日記2018年10月7日・・・平田駅、松本駅(篠ノ井線) 16:43 平田(ひらた)駅(篠ノ井
-
「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】2日目(西舞鶴-魚津)その1-西舞鶴、東舞鶴、若狭高浜、小浜、上中、十村、木ノ本、余呉、高月、永原、敦賀(舞鶴線/小浜線/北陸本線/湖西線)
鉄旅日記2014年3月22日その1・・・西舞鶴駅、東舞鶴駅、若狭高浜駅、小浜駅、上中駅、十村駅、木ノ
-
「鉄旅日記」2009年晩秋【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】2日目(倉敷-和田山)その2-郡家、若桜、智頭、京口、福崎、寺前、和田山(因美線/智頭急行/播但線)
鉄旅日記2009年11月22日・・・郡家駅、若桜駅、智頭駅、京口駅、福崎駅、寺前駅、和田山駅(因美線
-
「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】2日目(大垣-姫路)その1-大垣、能登川、栗東、草津、石部、三雲、甲南、油日、甲賀、柘植(東海道本線/草津線)
鉄旅日記2017年8月12日・・・大垣駅、能登川駅、栗東駅、草津駅、石部駅、三雲駅、甲南駅、油日駅、