*

「鉄旅日記」2015年春 初日その1(東京-岩倉)-蒲郡、三河鳥羽、吉良吉田、西尾、桜町前、新安城、知立、猿投、赤池、豊田市、新豊田(名鉄蒲郡線/名鉄西尾線/名鉄本線/名鉄三河線/名鉄豊田線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】

公開日: : 最終更新日:2025/06/12 旅話, 旅話 2015年

鉄旅日記2015年3月7日その1・・・蒲郡駅、三河鳥羽駅、吉良吉田駅、西尾駅、桜町前駅、新安城駅、知立駅、猿投駅、赤池駅、豊田市駅、新豊田駅(名鉄蒲郡線/名鉄西尾線/名鉄本線/名鉄三河線/名鉄豊田線)

2015・3・7 10:41 蒲郡(がまごおり)駅(東海道本線/名鉄蒲郡線 愛知県
青春18きっぷで、池袋、東京、沼津、静岡、浜松と乗り継ぐ。

よく眠った。
そしたらもう浜松だ。
浜名湖を始めとする遠州の風景に心を奪われ、新所原を過ぎて右手に現れる立岩の存在に初めて気付いた。
この区間では、浜名湖弁天島周辺を例外として、いつもぼおっとしていたんだろう。

鷲津を過ぎる頃に現れる浜名湖の奥江を見離さないように眺めながらそんな過去を少し恥じた。
その思いは豊橋でも去来した。
幸公園、豊橋鉄道・・・。
降りてまた歩いてみたい。

そして今、名鉄に乗り込んでいる。
蒲郡から3駅進んで言えることは、名鉄線ではまだ自動改札化は行われていないらしいということだけだ。

11:04 三河鳥羽(みかわとば)駅(名鉄蒲郡線 愛知県)
数分の停車。

とうとう三河湾に手が届く距離まで接近できた。
念願といっていい。
以前東海道本線の三河大塚駅で降りて試みてみたが、あまりに遠くて引き返したことがある。

東海道本線中で圧倒的に寝ていることが多い区間だが、好きな風景が続く区間であることもまた事実だ。
ひとつ手前まで古色蒼然とした駅が続きここでも期待したが、三河鳥羽に駅舎はなかった。

駅を離れてしばらく進むと目の前がふいに白くなり、海岸線に出たかと思いきやビニールハウスだった。

11:12 吉良吉田(きらよしだ)駅(名鉄蒲郡線/名鉄西尾線 愛知県)
「忠臣蔵」の吉良上野介義央を生んだ名族吉良氏の根拠地。
若き日の徳川家康と三河の覇権を争った事は、今まで見てきたどの家康伝でも簡単にしか触れておらず、小説の題材として適当ではないのか、詳細を知る者はごく稀だと思われる。

吉良吉田駅は終着駅だ。
蒲郡からも新安城からもここで一旦行き止まりになる。
かつてはこの先まで線路が伸び、矢作川を越えて碧南に至るルートがあった。
その線が廃止されたのは2004年の事だという。
新世紀を生き残ることができなかった鉄道地帯。
いつの時代も文化に対する慈悲が足りない。

ここ吉良吉田駅前には雑貨屋が一軒あるきりだった。
ここではもう自動改札化が実現されていた。

11:31 西尾(にしお)駅(名鉄西尾線 愛知県)
憧れを抱いていた西尾の街での印象について、今回は西尾駅の高架ホームから見渡しただけのものに留めておこうと決心して、4分後に到着した次の列車に乗って離れた。
駅前の敷地は埋まらず、お城が見えるわけでもない。

文化的な街だと聞いていたが、駅から眺めた街はありきたりなものだった。

11:44 桜町前(さくらまちまえ)駅(名鉄西尾線 愛知県)
西尾駅から急行に乗って最初の停車駅で降りたみた。気づいてみれば、敷かれているレールは単線だった。
駅前のスーパーでタバコを吸うか迷った。
喫煙所には初老のご婦人が先客としていた。
結局、タバコの箱はポケットにしまわれたままだった。
違うんだ。そのご婦人は関係ない。
仕事の電話をかけなきゃいけなかったんだ。

周辺の彩りは乏しく、自転車置き場に埋もれたような駅前で、タバコの話を持ちだしたのは、次の列車がくるまでの10分の間に何ができるかと迷ったことを言いたいがためだった。
列車は桜町前を出て、しばらくすると矢作川を渡った。

ここはまだ三河。
桜井駅に着いたが、高架からの風景の彩りはやはり乏しい。

12:08 新安城(しんあんじょう)駅(名鉄本線/名鉄西尾線 愛知県)
名鉄の大きなターミナル駅でもある新安城駅は、東海道本線を跨いだ先の街外れにある。
北口は集合住宅の1階に組み込まれ、南に駅舎はなく、改札口は地下にある。
あまり見ない構造だ。
両出口とも飲食には困らない程度の店が散見された。

ここで名鉄本線に乗り換える。

12:19 知立(ちりゅう)駅(名鉄本線/名鉄三河線 愛知県)
ここで三河線に乗り換える。
複雑な構造をした大鉄道駅だ。
高架化への改良が進行しているようで、ホーム間の移動に若干のストレスがある。

駅を降りる。
ごく狭い商圏ながら昭和人をして懐しい気持ちにさせる商店街が放射状に駅に向かっている。
ささやかだけど賑やかな駅前風景だ。
帰りにまた降りてみようか。

首都圏内でも車内吊り広告に空きを見つけることがあるが、名鉄ではどの列車もほぼ広告枠は埋まっていて感心する。

12:59 猿投(さなげ)駅(名鉄三河線 愛知県)
豊田市駅までは満員だった名鉄三河線猿投行き。
家に帰る群れなのか、豊田あるいはその先に向かう群れなのかオレには分からない。

豊田は集客を見込めそうな街に見えた。
線路と畑と住宅街がそれぞれ一直線に伸びる風景をしばらく眺めることとなった車中。
上空から眺めたとしたらアメリカあたりの大農場みたいでそこそこ壮観だろう。

猿投も豊田市内とのこと。
終着駅のあの場所に一体何があるのか。
6分の滞在で納得できる答えを見つけることが困難な駅前だった。

実は吉良吉田の場合と同じように2004年まではこの駅の先に続きがあったという。
名鉄には2004年問題があったのだろう。
初めて岐阜を訪ねた際に路面を走る岐阜市内線に感動したが、二度目ではもう市内を行き交う路面電車の姿はなかった。
あの魅力的な線が消えたのもその頃のことだろうか。

豊田線との分岐駅である梅坪まで戻る。

13:38 赤池(あかいけ)駅(名鉄豊田線/名古屋市営地下鉄鶴舞線 愛知県)
梅坪で豊田線に乗り換え、終点の赤池へ。

豊田線の沿線には「愛知池」の他に特徴あるものを見いだせず、延々と郊外風景を眺め続けていた。
海からは離れ、山も見えず、東京町田の故郷のあたりに似ていなくもないが、ピース片がいくつも欠けたパスルを見ているような気分だった。

赤池は地下鉄鶴舞線との接続駅で、地上に出た時間は仕事の電話で費やしてしまった。
「愛知銀行」のロゴが刻まれた駅舎は金融機関の建物みたいで、格調高く見えなくもない。

豊田市駅まで戻る。

新豊田(しんとよた)駅(愛知環状鉄道 愛知県)にて

14:14 豊田市(とよたし)駅(名鉄三河線/名鉄豊田線 愛知県)
この視線の先に豊田スタジアムがある。
地上に下りればスタジアムに向けてアーケードが続いている。
矢作川の河畔にスタジアムを含めた公園があるらしい。
その方角を眺めて、やけに大きな橋が見えると思ったら、どうやらそれがスタジアムで、レインボーブリッジみたいにとぐろを巻いていて、同じくレインボーブリッジのように点滅している。

これは文句のつもりではないのだが、最近はメタリック調の尖った建造物がやけに多い気がしていて、現代建築もかなり画一化された印象を受ける。
何にでも流行り廃りがあるものだが、新装された駅についても同じことが言える。
豊田スタジアムの全容を見たわけじゃないので、これ以上は言わない。

何やらお城らしきものも見えた。
宝くじ成金だか土地成金だかが建てたお城的建造物がこの国にはいくつか存在するが、車窓から見えたそのお城もどことなくチープで、大方そういった代物だろうと思わせた。

サッカーワールドカップもサザンオールスターズもやってきた街は、松坂屋や名鉄ホテルが愛知環状鉄道新豊田駅とを結ぶ歩道橋の隙間を埋めるように並んでいるが、発展途上中なのか完成形なのか判別がつかない。
工事中を表すセキュリティエリアを見かけなかったから、街としてすでに完成しているのかもしれない。

今日はJリーグの開幕戦で、臨時切符売り場が改札前に設けられていた。
豊田とはこういう街だったか。
知らなかった街、オレにとって新しい街に下りた時の気持ちは常に清々しい。

ここから三河線のもう一方の終着駅、碧南駅へ。

関連記事

「鉄旅日記」2018年師走 最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その3-三河田原、新豊橋、豊橋、東静岡、沼津(豊橋鉄道渥美線/東海道本線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

鉄旅日記2018年12月24日・・・三河田原駅、新豊橋駅、豊橋駅、東静岡駅、沼津駅(豊橋鉄道渥美線/

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 2日目(防府-肥前鹿島)その4‐企救丘、志井公園、小倉、黒崎、黒崎駅前、筑豊中間(北九州モノレール/鹿児島本線/筑豊電気鉄道) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月14日・・・企救丘駅、志井公園駅、小倉駅、黒崎駅、黒崎駅前駅、筑豊中間駅(北

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏 2日目(徳山-南宮崎)その1-徳山、長府、西小倉、城野、行橋、新田原、中津、中山香、高城、佐志生、熊崎、上臼杵、臼杵(山陽本線、日豊本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】

鉄旅日記2013年8月11日その1・・・徳山駅、長府駅、西小倉駅、城野駅、行橋駅、新田原駅、中津駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 最終日(武生-東京)その2‐敦賀、北鉄金沢、内灘、金沢、野々市(北陸本線/北陸鉄道浅野川線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月23日・・・敦賀駅、北鉄金沢駅、内灘駅、金沢駅、野々市駅(北陸本線/北陸鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2006年如月 その2-勿来、いわき(常磐線) 【房総半島から1週間。常磐線に乗って、下っていったのでございます。】

鉄旅日記2006年2月11日・・・勿来駅、いわき駅(常磐線) 2006・2・11 いわき東急イン6

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始 初日(東京-一ノ関)その2-新津、新発田、坂町、小国、今泉、西米沢~上杉家御廟~上杉神社~南米沢(信越本線/羽越本線/米坂線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】

鉄旅日記2019年1月5日・・・新津駅、新発田駅、坂町駅、小国駅、今泉駅、西米沢駅、南米沢駅(信越本

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 2日目(黒磯-仙台)その2-末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイーストワン仙台 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月3日・・・末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイー

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、関東途中下車旅】その1-赤羽、岡本、烏山、大金、宝積寺、氏家、石橋、自治医大、小金井、小山(東北本線、烏山線)

鉄旅日記2013年3月31日その1・・・赤羽駅、岡本駅、烏山駅、大金駅、宝積寺駅、氏家駅、石橋駅、自

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その4‐大野浦、大竹、岩国、北河内、錦町(山陽本線/錦川鉄道) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月13日・・・大野浦駅、大竹駅、岩国駅、北河内駅、錦町駅(山陽本線/錦川鉄道)

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その2 ‐水沢江刺、盛岡、上米内(東北新幹線/山田線)【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・水沢江刺駅、盛岡駅、上米内駅(東北新幹線/山田線) 9:4

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年水無月 最終日(中山平温泉-東京)その1 ‐中山平温泉、鳴子温泉(陸羽東線)/旅館三之丞湯【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月12日・・・中山平温泉駅、鳴子温泉駅(陸羽東線

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その3 ‐小牛田、古川、上野目、池月、鳴子温泉、中山平温泉(陸羽東線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

2022年6月11日・・・小牛田駅、古川駅、上野目駅、池月駅、鳴子温

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その2 ‐いわき、竜田、原ノ町、鹿島、新地、仙台(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・いわき駅、竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その1 ‐金町、石岡、友部、水戸(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・金町駅、石岡駅、友部駅、水戸駅(常

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

→もっと見る

    PAGE TOP ↑