「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その2 ‐いわき、竜田、原ノ町、鹿島、新地、仙台(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】
鉄旅日記2022年6月11日・・・いわき駅、竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、新地駅、仙台駅(常磐線)
9:20 いわき駅(常磐線/磐越東線 福島県)
日立あたりの海はいつも荒い。高萩、磯原。大津港という響きにはたまらない旅情を感じる。
勿来には温泉がある。いつかあの湯につかろう。そしてあの駅に降りた遠い記憶を探す。
泉には福島臨海鉄道がある。その存在に気づいたのは初めて。弧を描くように敷かれた鉄路はやがて常磐線をくぐり、まっすぐに太平洋に向かっていた。
昭和に子供時代を送った身で野球好き。いわきと言えば、漫画「ドカベン」に登場するいわき東高校。信じがたいほどの俊足を持つ足利選手。孤高のエース緒形選手。
実際に「磐高」こと磐城高校は優勝旗を白河の関の手前まで運んだが、そこで力尽きた。
常磐路が放つ哀愁は水戸藩の幕末騒動とは無縁ではない。鉄路をたどれば分かるが、江戸から仙台までは現在も常磐線が最短ルート。でも新幹線は通っていない。
地域性としては日本海に近い。だからこそ哀愁がある。その哀愁の正体にようやく気づいた。

つまらないだのなんのと、もう2度と口にしない。

10:02 竜田(たつた)駅(常磐線 福島県)
田園にもやが立ちこめ視界を曇らす。どうすることもできない。
支配しているのは宇宙とひと続きの自然。人間もまたその一部だが、鼻持ちならない存在に成り果てつつある。
ウクライナは全世界の自由を守るために戦っている。ゼレンスキー大統領は言う。そうした側面は否めない。
以前も言ったが、同じ立場ならオレも銃をとる。結局のところ、人間とはその程度のものと結論付けることもできる。
その結論はオレを傷つけない。理想を見失うこともない。
ここで3分の停車。

10:50 原ノ町(はらのまち)駅(常磐線 福島県)
列車内での居眠りの心地よさ。味わい尽くすうちに北の町に着く。

いわきの海辺には引かれたよ。2年前には遠く長州の海辺にいた。そんな人生を思い返す。
いろいろあったな。これからもあるだろう。おそらくオレは平穏無事な人生など望んでいない。その手のものがつまらないことを、いくつもの前世を過ごしてきた魂が知っている。
中年になって腹が出ることを許容できない理由もそこにあるのだろう。毎朝せっせと鍛える身を時に誇る。
野馬追歌が聞こえてきた。乗り換え時間7分。仙台行が出る。

11:02 鹿島(かしま)駅(常磐線 福島県)
上り列車通過待ち4分の停車。この古い駅舎を愛している。
こうした時間をここで持つのは何度目になるのか。原ノ町からは仙台文化圏といってよく、いわきまでとは空気までが違う気がする。
少しだけ降りてみた。駅舎と列車を同じ絵の中に入れて写した。

11:26 新地(しんち)駅(常磐線 福島県)
行き違い4分の停車。空港道路のような高架道が駅への入口を示す。

温泉を併設した新たなホテルが建ち、整備された駅前ロータリー。人の気配はない。

あるいは東日本大震災からの復興を意図して作り替えられた町。なにかそぐわないものを感じとるが地域が選んだ選択を支持する。
この道を往くのは今年最後になるだろうが、いずれこの風景にも馴染む。
12:34 仙台(せんだい)駅(東北・北海道新幹線/東北本線/仙山線/常磐線/仙台市地下鉄南北線/仙台市地下鉄東西線/仙台空港線 宮城県)
亘理からは乗客が続々と増えてくる。街が近づいている。そうした雰囲気が車内にも広がる。
長町駅前はたいしたものだ。高層住宅に広大なイベントスペース。空地は埋まりきらないが、仙台の繁栄が仙台駅周辺に収まりきらないことを示している。
仙台に着いてビールとチーズバーガー。仙台駅にゆかりのある特急列車のシンボルマークが展示されたスペース前で楽しむ。

あの頃は活気があったな。時代が持つ閉塞感などはなかったのだろう。
もっとも、生きづらさを感じる者はどの時代にもいる。
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