「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 初日(東京-紀伊田辺)その3-周参見、椿、白浜、紀伊田辺(紀勢本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月2日・・・周参見駅、椿駅、白浜駅、紀伊田辺駅(紀勢本線)
19:12 周参見(すさみ)駅(紀勢本線 和歌山県)
16分の停車。
本州最南端のリゾート地はとても静かで、海辺の国道を行き交う車もなく、ビーチはシャベルカーに掘られ、波打ち際への接近が許されない。
ビーチでさざ波の音を聞きながら、天からの授かり物はないかと両の掌を向けた。
何かを授かったような心地がして、ビーチを離れた。
国道は変わらず静まり返り、駅へ向かう人影もない。
酒屋の看板と自販機の明かりがまぶしくて立ち寄ってみれば、ビールを売っている。
購入して列車に戻る。
田辺に向かう乗客はオレを含めて5名。
これは過疎を意味するのか。
駅前通りで食堂の暖簾を下げた店には人の声があり、中華料理の暖簾の店に客の姿はなかった。
19:31 椿(つばき)駅(紀勢本線 和歌山県)
行き違い3分の停車。
「歓迎椿温泉」の柱が迎える駅前は寂しく、人の気配もない。
椿駅と書かれた駅舎の看板には、椿が一輪描かれている。
うまくスマホ画像に収まればと思ったが、反射して見えない。
ただ、この南紀の旅は思い出深く記憶に刻まれるだろう。
恋人のような友達。
「須佐之男命」からの授かり物をつないでくれた鑑定師。
新たなビジネス。
如月から弥生へ。
幸せに向けて、少し忙しくなるといい。
19:46 白浜(しらはま)駅(紀勢本線 和歌山県)
行き違い4分の停車。
リゾート地の駅前風景にうなった。
夏場であれば、あふれるほどの人が訪れる美しいビーチを持つ町。
かわいらしい男の子兄弟の他に出歩く者を見ないが、駅前の明かりは、町が盛りを迎える頃の熱気を、この寒い季節にも放出しているように感じさせた。
ここ南紀白浜には一度泊まり、その後こうした形で一度改札をくぐり、今夜が3度目になる。
今夜がこの町を一番大きく感じている。
田辺に向かう乗客は4名増えている。
20:01 紀伊田辺(きいたなべ)駅(紀勢本線 和歌山県)にて
21:53 田辺ホワイトホテル
田辺が近づくにつれて車窓は明るくなっていった。
田辺とはこういう街か。
扇ヶ浜でも、波打ち際への進入は拒まれた。
でも周参見でしたのと同じように天には感謝を。
コンビニの女性店員の和歌山弁が愛らしかった。
線路に沿って歓楽街が形成されていた。
出歩く者をあまり見かけなかったが、街の明かりは広範囲にわたっていて、夜の出勤をする女性とすれ違う。
駅前のラーメン屋でも色っぽい装いの女性が3人、楽しそうにしていた。
そのラーメン屋の主人は女性で、おそらくブラジル人。
人の一生を街のそれと比較はできないが、それぞれ流転を重ねている。
そしてこのオレも10年以上の歳月を間に置いて、再びこの街へ流れてきた。
ほんのりとカラオケ声が聞こえてくる場末のビルにいる。
こんな環境は実はキライじゃないと彼女に書き送った。
オレと彼女は同じ学校を出ていながら30年出会うことはなく、ひょんなことから親しくなり、まるで前世の記憶を共有するかのようにチャットは止まることなく、このひと月を互いの心と気持ちを潤わせてきた。
あるいはオレは初めて女性と心を通わせているのかもしれない。
【Facebookへの投稿より】
春もまた旅の季節でございます。
伊勢から南海道へ出て、紀州田辺に投宿いたしました。
桜こそ見かけることはございませんでしたが、南海道はもうすっかり春の装いでございます。
田辺は、平家物語にも田辺水軍として登場する海辺の街でございますが、投稿に上げたのは旅の途中でのもので、田辺を写したものは歓楽街の一葉のみでございます。笑
関連記事
-
-
「車旅日記」1996年夏【再び北を目指した夏。不慮の事故に遭い、打ち切らざるを得なくなったのでございます。】最終日 事故から帰京を振り返って。
車旅日記1996年8月15日 1996・8・15 東京 望郷の思いとは別に昨日家に帰り着いた。 後
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その2-西小坂井、三河三谷、愛知御津、三河安城、共和(東海道本線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月23日・・・西小坂井駅、三河三谷駅、愛知御津駅、三河安城駅、共和駅(東海道本線
-
-
「鉄旅日記」2017年夏 2日目(大垣-姫路)その1-大垣、能登川、栗東、草津、石部、三雲、甲南、油日、甲賀、柘植(東海道本線/草津線)【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月12日・・・大垣駅、能登川駅、栗東駅、草津駅、石部駅、三雲駅、甲南駅、油日駅、
-
-
「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その1‐宮古、岩手船越、浪板海岸、吉里吉里(三陸鉄道リアス線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月23日・・・宮古駅、岩手船越駅、浪板海岸駅、吉里吉里駅(三陸鉄道リアス線)
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.2 その1-天王台、植田、泉、いわき、富岡(常磐線) 【青春18きっぷ常磐旅。この当時、常磐線は富岡止まりでございます。そしてこの季節、臨時駅の偕楽園駅に列車が止まります。】
鉄旅日記2019年3月10日・・・天王台駅、植田駅、泉駅、いわき駅、富岡駅(常磐線) 2019・3
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 2日目(高山-速星)その1‐高山、打保、猪谷、富山、電鉄富山(高山本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月21日・・・高山駅、打保駅、猪谷駅、富山駅、電鉄富山駅(高山本線) 2020
-
-
「鉄旅日記」2014年春 その2-瓜連、静、山方宿、袋田、西金、下小川、後台、常陸津田、常陸青柳、神立、高浜、牛久(水郡線/常磐線) 【ときわ路パスで、常陸ローカル旅】
鉄旅日記2014年4月27日その2・・・瓜連駅、静駅、山方宿駅、袋田駅、西金駅、下小川駅、後台駅、常
-
-
「鉄旅日記」2006年如月 初日-佐倉、成東、大網、上総一ノ宮、上総興津、安房鴨川、館山、安房勝山(常磐線/成田線/総武本線/東金線/外房線/内房線) 【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】
鉄旅日記2006年2月4日・・・佐倉駅、成東駅、大網駅、上総一ノ宮駅、上総興津駅、安房鴨川駅、館山駅
-
-
「車旅日記」2003年夏 2日目(札幌-北見)走行距離431㎞ -岩見沢駅、砂川駅、旭川駅、白滝PA、遠軽駅、サロマ湖、網走刑務所、網走駅、北見東急イン 【北海道初上陸。2,300㎞を移動した5日間の記録でございます。】
鉄旅日記2003年8月14日・・・岩見沢駅、砂川駅、旭川駅、白滝PA、遠軽駅、サロマ湖、網走刑務所、
-
-
「鉄旅日記」2018年神無月 最終日(松本-辰野-天竜峡-岡谷-東京)その1-松本、辰野、北殿、伊那市、伊那福岡、伊那本郷、上片桐、飯田、天竜峡(篠ノ井線/中央本線辰野支線/飯田線) 【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】
鉄旅日記2018年10月8日・・・松本駅、辰野駅、北殿駅、伊那市駅、伊那福岡駅、伊那本郷駅、上片桐駅