「鉄旅日記」2019年年始【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】初日(東京-一ノ関)その2-新津、新発田、坂町、小国、今泉、西米沢~上杉家御廟~上杉神社~南米沢(信越本線/羽越本線/米坂線)
鉄旅日記2019年1月5日・・・新津駅、新発田駅、坂町駅、小国駅、今泉駅、西米沢駅、南米沢駅(信越本線/羽越本線/米坂線)
12:01 新津(にいつ)駅(信越本線/羽越本線/磐越西線 新潟県)
古津の次が新津。
鉄道好きにしか通じない知識だが覚えておく。
長い跨線橋に人の気配は稀薄で、8年前に購入した「えんがわ押鮨弁当」をアテにしていたが、駅弁売場はなくなっていた。
この大鉄道駅をもってしても抗えない古き良き鉄道文化の劣勢を感じる。
似たように、オレも斜陽な職種に就いて長い。
とてもかわいらしい女性鉄道員を記憶して、ホームの外の椅子に座る。
寒いが、ビールを持ち込んでいる身で、暖かな待合室にいるわけにはいかない。
酒飲みにも矜持はある。
雨は気にならない程度にまで弱まり、駅周辺に雪は見られない。
豪雪地帯の印象が強い新潟だが、国内最強の米のブランドとも言えるコシヒカリを生産する越後平野を知った気になる。
12:55 新発田(しばた)駅(羽越本線/白新線 新潟県)
越後平野を眺めているうちに眠りに落ちて、新発田もまた8年振り。
「忠臣蔵」を大河ドラマにとの文字を見たが、この地で生まれた堀部安兵衛中心の物語を想像しているのか。
ちなみに「忠臣蔵」を題材にした大河ドラマは、過去に今は亡き緒形拳さんと中村勘九郎さんが大石内蔵助を演じた2作を見ている。
歴史の中の新発田は、戊辰戦争時の新発田藩の裏切りから始まった奥羽越列藩同盟軍における北越戦線の綻びを思い出す。
そして新潟港を抑えた新政府軍は北越方面からも会津へと迫った。
新発田駅はお城を模した外観にリニューアルされていた。
ここから坂町までは特急を使用する。
がら空きの指定席車両を通り抜けて後ろ2両の自由席車両に入って驚いた。
ほぼ残席は見られない。
鉄道旅行者にもいろいろある。
13:21 坂町(さかまち)駅(羽越本線/米坂線 新潟県)
ここには雪の跡がある。
営業している駅前食堂を横目に旅館や寿司屋が並ぶ通りをしばらく歩く。
タクシー会社の前を通りかかる際に事務の女性と目が合う。
あの通りで見かけた人は彼女だけだった。
駅へと戻る。
かつては裏日本と呼ばれた寒々しい地域の冬の顔を見た。
グレーの空の下では駅もまた鈍色で、手すりも壁もすべてが冷たく感じた。
陰陽連絡線の米坂線の一両の座席はほぼ塞がり、米沢に向けて動き出している。
不意に大河が現れた。
14:13 小国(おぐに)駅(米坂線 山形県)
列車行き違い3分の停車。
ウイスキーハイボールの微かな酔いがまた眠りを誘い、深く眠り込んで目を覚ませば、あたりは一面の雪景色。
ホームに降り立てば、さらに積雪を増さんばかりにしんしんと降っている。
木々は凍てつき、視界は吹雪いたように白く、米沢に向かう車内は静まり、人々は俯くか茫然と外の降りを眺めている。
15:05 今泉(いまいずみ)駅(米坂線/山形鉄道フラワー長井線 山形県)
7分の停車。
この駅前にいるのは3度目になる。
前回2度はいずれも夜だったため、駅の正確な姿を目にしたのは初めてと言える。
立派な駅前旅館が目を引き、あとは雪を乗せた家並を記憶するのみ。
雪原と化した鉄路は哲学的で、一旦すべてを覆い尽くすことでしか意味は持ち得ないとばかりに、さらに雪の降りは激しくなる。
座席から見える車窓はただ単に白く、またもや眠りに落ちていた。
15:30 西米沢(にしよねざわ)駅(米坂線 山形県)にて~これより徒歩にて南米沢駅へ
15:47 上杉家御廟にて
16:09 米沢城址にて
16:20 上杉神社(米沢城址内)にて
16:47 南米沢(みなみよねざわ)駅(米坂線 山形県)
雪は激しく、積雪量からこの冬に降る何度目かの雪と知る。
行動の自由を失った軽トラックを助け、山形弁の濃厚な礼を受ける。
上杉家御廟はそこからすぐだった。
不識庵上杉謙信公が信奉した「毘沙門天」と「龍」の旗が翻る厳かな場所に、この雪をついて訪れる初老の男性の姿もある。
歴代藩主に頭を下げて離れた。
おそらくその知名度から参る者が多いのであろう景勝公、鷹山公への道は、雪も掃き清められ接近が許されていた。
米沢行がもうじきやってくる。
ここから米沢駅まで歩くのは断念した。
この降りはなかなか並みではない。
それに夜がやってきた。
16:54南米沢発米沢行。
薄暮の中で黒い鳥の群れが、まるで雑巾が風に吹き散らばるように無造作に旋回していて、その光景は恐怖映画の予告編を連想させた。
関連記事
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】初日(東京-多治見)その2-西小坂井、三河三谷、愛知御津、三河安城、共和(東海道本線)
鉄旅日記2019年3月23日・・・西小坂井駅、三河三谷駅、愛知御津駅、三河安城駅、共和駅(東海道本線
-
「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)その3‐驫木、風合瀬、大戸瀬、千畳敷、北金ヶ沢(五能線)
鉄旅日記2020年1月12日・・・驫木駅、風合瀬駅、大戸瀬駅、千畳敷駅、北金ヶ沢駅(五能線) 13:
-
「鉄旅日記」2005年秋【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。ここから鉄旅が始まったのでございます。】初日(東京-名古屋)-根府川、島田、豊橋、岡崎、名古屋(東海道本線)
鉄旅日記2005年11月5日 2005・11・5 紀州鉄道名古屋栄ホテル908号室 根府川、熱海
-
「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】その1-扇町、浅野、海芝浦、国道、大川、保土ヶ谷、東戸塚、網代、伊豆多賀、宇佐美、熱海(鶴見線、海芝浦支線、大川支線、東海道本線、伊東線)
鉄旅日記2012年4月8日その1・・・扇町駅、浅野駅、海芝浦駅、国道駅、大川駅、保土ヶ谷駅、東戸塚駅
-
「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、名古屋往復】その1-新宿、塩崎、韮崎、日野春、富士見、青柳、奈良井、木曽福島、須原、中津川(中央本線)
鉄旅日記2012年3月25日その1・・・新宿駅、塩崎駅、韮崎駅、日野春駅、富士見駅、青柳駅、奈良井駅
-
「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)その2‐鯉川、東能代、岩館、深浦(奥羽本線/五能線)
鉄旅日記2020年1月12日・・・鯉川駅、東能代駅、岩館駅、深浦駅(奥羽本線/五能線) 10:19
-
「鉄旅日記」2015年春【ひらパーGo!Go!チケットで行く、京阪旅】初日その1(東京-宇治)-東福寺、祇園四条、伏見稲荷、稲荷、男山山上、八幡市、枚方市、私市、河内森、河内磐船、交野市(京阪本線/男山ケーブル/京阪交野線)
鉄旅日記2015年3月21日その1・・・東福寺駅、祇園四条駅、伏見稲荷駅、稲荷駅、男山山上駅、八幡市
-
「鉄旅日記」2015年春【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】最終日その3(岩倉-東京)-津島、須ヶ口、神宮前、豊明、岡崎公園前、中岡崎、東岡崎、国府、豊川稲荷、豊川(名鉄津島線/名鉄本線/名鉄豊川線)
鉄旅日記2015年3月8日その3・・・津島駅、須ヶ口駅、神宮前駅、豊明駅、岡崎公園前駅、中岡崎駅、東
-
「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】3日目(大分-佐賀)その1-大分、中判田、豊後竹田、宮地、肥後大津、水前寺、辛島町、熊電上熊本、上熊本(豊肥本線/熊本市電)
鉄旅日記2009年9月20日・・・大分駅、中判田駅、豊後竹田駅、宮地駅、肥後大津駅、水前寺駅、辛島町
-
「鉄旅日記」2005年初冬【鉄旅に目覚め、銚子へと向かったのでございます。】その1-松戸、我孫子、成田、銚子(常磐線/成田線/銚子電鉄)
鉄旅日記2005年12月10日 小さな旅に出た。 旅心はすぐにやってきた。 初めて気づいた。