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「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】3日目(宮崎-志布志-枕崎-鹿児島)走行距離382㎞その1-アーバンキット宮崎、青島駅、油津駅、串間駅、志布志駅

公開日: : 最終更新日:2020/09/12 車旅話 *結婚前2004年

車旅日記2004年8月13日
2004・8・13 7:59 アーバンキット宮崎
8月13日は人生始まって以来の記念日。
18歳のオレは、その日に初恋の女性と連れ立って鎌倉へ行った。
人生初デート。
今年も覚えていたか。

そしてその日を宮崎で。
今日もよく晴れている。

蝉の声が方々から聞こえてきて、遠くで日向灘が輝いている。

宮崎の人々は親切だった。
ひとつ尋ねれば、二つ以上の答えを持つ人々だった。

駅ですれ違った高校生も素朴で、とてもしっかりとした少年だったよ。

きっと九州の大人たちが偉いのだろう。

これまでの旅で、これぞ九州というものを感じたとは思っていない。

すべてにおいて、そこにいることの必然性を感じながら、様々な土地を通過してきた。

どこかの町で確か言ったよな。
これがオレの人生の必然なのだと。

今日は一番南へと下る。

そこで友が待っている。

8:59 青島駅(8月11日の佐賀空港より611㎞)
青いラインの入った無人の小さな駅舎。

南国のリゾート地として知られた土地ではあるらしい。

サーフボードを抱えた男たちが海に向かって歩いていく。

駅の反対側にはシャベルカーが2台。
夏休みが終わったら本格的に掘ってやる。
そんな気配を漂わせながら寝ている。

宮崎との別れはちょっぴりツラかった。
懐かしい音楽をかけたら、どうもそうなった。

国道沿いの街並。
椰子の木が中央分離帯に続いていく県庁通り。

オレは忘れないよ。

ここは日南へと下っていく通過点。
椰子の木は運動公園まで続き、左手に空港を見ると坂を下る。

そこから広大な宮崎平野が広がり、そのど真ん中を椰子の木が天に向かって伸びている。

そう、あれが南国宮崎の風景。
イメージ通りだ。

別府湾、阿蘇に続き、この旅で3つ目のオレにとっての九州がそこにあったよ。

9:57 油津駅(8月11日の佐賀空港より649㎞)
青島を出ると日向灘に誘われて、堀切峠越え。
峠の頂には絶景が待っていた。

よく晴れた空にエメラルド・グリーンの海。
そこから延々と日南海岸七浦路。

いろいろな海岸線を走ってきて、大抵の風景は目にしたつもりでいたけれど、日本はそんなに狭い国じゃない。
こうして海辺の思い出は次々に更新されていく。

燦燦と降り注ぐ夏の光を浴びて、南洋の植物もその生命力をきれいな緑色で誇示している。

懐かしい音楽も続き、海辺の道をとても幸せな気持ちで車を走らせていた。

ここ油津は、日南市の中心街。
駅には待ち人があり、女性鉄道員はアロハを着ている。

過ぎてきた小都市と同じようにテレビ塔が印象的で、町の規模は大きくはないが、通りを挟んで商店が連なり、廃れた感じとは無縁だ。

港町だよ。
きっと豊かなのだろう。

かつて、車寅次郎はその人生の終盤戦で、この町でも恋をしている。

2013年8月12日撮影

10:47 串間駅(8月11日の佐賀空港より681㎞)
油津の港では祭の準備ができていた。
九州全土から商売人たちが屋台を引いて集まってくるのだろう。

日南海岸を過ぎると、220号国道は退屈な山道になる。
南国の人々は無闇にスピードを出したりしないようだ。

車に乗れば好きな場所にいけるけど、大抵の者にとって車は所詮地域の移動手段。
オレみたいに国境を移動していく者はそうはいない。
佐賀県を離れると、佐賀ナンバーの車は一台も見ていない。

串間という町の名は20年前から知っている。

ジャイアント馬場がNWA世界王者ベルトを巻いて現れ、前世界王者ハーリー・レイスを相手に初防衛戦を行った町だ。
もう30年前の話になる。

この小さな町でそんな興行が打たれたことが信じられないが、その頃には活気があったのかもしれない。

東京だって、今に比べればそんなに巨大な存在ではなかった。
渋谷にもあんなに人はいなかったよ。

駅舎はレンガ色で青い庇がかかり、脇のタクシー会社の面々はヒマ面をしている。

駅の待ち人は老人が7、8人。
その中のひとりの男性は膝に両手を乗せ、一心に前だけを見つめ、力を込めて座っている。
人生の先輩に対してとても失礼な物言いだが、とてもいい表情だ。

どの町でも、この町でも、その町出身の少年少女たちが大きなスポーツ大会に出場資格を得たことを喜び祝い、誇りに思い、様々な看板や懸垂幕を目につく場所に置いている。

まるで自分が生きること以外の興味が、すべてそこに凝縮されているかのような町の風景だ。

この町を出ると、いよいよ最後の地、鹿児島県に入る。

僅かな時間が過ぎれば、もうオレはそこにいる。

11:22 志布志駅(8月11日の佐賀空港より696㎞)
県境の海はきれいな色をしていた。

大黒温泉、海水浴場。
いい海だったな。

海水浴客もあれくらいがちょうどいい。
波間に浮かぶ人々やビーチの色がなんだか可愛らしかった。

鹿児島最初の町、志布志。
JR日南線の終着駅。
随分寂しい駅だ。

周囲には大型スーパーをはじめ、そこそこ賑やかに見えるが、駅舎だけがやたらに古びている。

「まだいたのか。」
住民からそんな言葉を投げかけられそうな風情で、門司から延々と続いてきた鉄路をここで遮っている。

待合室は陰気で暗く、駅員の姿もない。
ここから旅立ち、新しく始めていこうとする人々に栄光が待つことを祈りたい。

駅から続く鉄路はすぐに大きくカーブを切り、視界から消えていく。

あの先に何があるのか。
旅立つ者は多くを知らずに荷物を抱え、この町を出ていく。

でもあの鉄路は確実に博多はおろか大阪、京都、東京までも続いていく。
その事実がとても奇跡のように感じられる終着駅だ。

逆にこうしてオレも、この終着駅に辿り着けた。
いつか列車で再訪したいよ。

さあ、いよいよこれから桜島を目にする。

2013年8月12日撮影

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