*

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】2日目(羽咋-福井)その2-松任、小松、あわら湯のまち、三国港、福大前西福井、田原町、福井(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/10 旅話, 旅話 2008年

鉄旅日記2008年9月14日・・・松任駅、小松駅、あわら湯のまち駅、三国港駅、福大前西福井駅、田原町駅、福井駅(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線)
13:03 松任(まっとう)駅(北陸本線 石川県)
金沢から3駅。

駅前に食堂はない。
同じ北陸の中では例えば黒部のように、繁華街は別な場所にあるようだ。

戦国時代までここには城があり、上杉軍、織田軍のはざまで、両軍からの攻撃にさらされたという。

千代さんという偉い尼さんがいたらしい。
街は今も彼女を大切にしている。

14:22 小松(こまつ)駅(北陸本線 石川県)
勧進帳の名場面、「安宅関」は小松市らしい。
他にも名乗り出ている町があるだろう。
北陸は義経伝説に満ちている。

市内地図に小松空港は見えない。

石川県では金沢に次ぐ街だろうが、その差は大きい。
古いアーケード街が駅前をかこっているが、人通りはなく、車通りも少ない。
夜にイベントがあるのか少し騒がしい。

繁華街の反対側には小松製作所の立派な小松工場がある。

昼食はここで。

高架駅のホームからはお寺の屋根が覗く。
なぜかその姿が印象的で、やってきた特急雷鳥はがら空きだった。

16:38 あわら湯のまち(あわらゆのまち)駅(えちぜん鉄道三国芦原線 福井県)
福井駅で降りて、えちぜん鉄道へ。
三国へ向かう列車に乗った。

観光案内所では繰り返し「あわら音頭」を流している。

かつて友人の運転する車で着いて、この温泉街に泊まったことがある。
ここではその思い出に尽きる。
たいして古いものじゃない。
あの当時、えちぜん鉄道の前身京福電鉄は営業をしておらず、駅は閉鎖されていた。

温泉街は閑散としている。
それは当時も変わらない。

17:25 三国港(みくにみなと)駅(えちぜん鉄道三国芦原線 福井県)
駅舎は当時のままだ。
駅員の姿はない。

海水浴の季節は終わったが、サンセットビーチには人が出ている。
九頭竜川が日本海に流れ込む場所で糸を垂れている釣り師は、ラジオで相撲中継を流している。

あの日、久しぶりに会ったオレたちは、あの海辺で何を語り合ったのか。
まるで覚えていない。

病気がちの彼は酒も煙草も寄せつけなくなっていた。
元気でいるだろうか。
今日はこんなに近くまで来たけれど、まだ大野にいるのだろうか。

出会った頃に二人で飲みに行って、ただの一言も交わさずに1時間以上を過ごしたことがある。
そんな過去も20年近く前のものになった。

今日はひとりで歩いた海辺。
そこではそんなことは考えず、ただただ素晴らしい景色を堪能していた。



父親に連れられた幼い女の子と手を振り合って別れ、福井に戻る列車がやってきた。

福大前西福井(ふくだいまえにしふくい)駅(えちぜん鉄道三国芦原線 福井県)にて

18:36 田原町(たわらまち)駅(えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線 福井県)
三国神社では北陸高生が乗り込んできた。
微笑ましい存在じゃなかったが、運動している若者たちだ。
力が有り余っている。
オレも、サッカーで福井県選抜に選ばれた友人も、あの頃はあんなものだ。

降りる駅をひと駅間違えて、福大前西福井から昭和の匂いが濃厚な福井鉄道終着駅までを歩く。
このあたりが福井の西のはずれになる。

えちぜん鉄道でもう一方の終着駅、勝山まで行くつもりでいたが、もう暗い。
ここから発車する路面電車で福井に戻る。
えちぜん鉄道も福井鉄道も奮闘している。
一日フリー切符はお得だった。

最近知り合った女性からのメールに、今日は中秋の名月と知らされて、見上げれば見事な月。
今夜はずっと一緒だ。

22:07 東横イン福井駅前905号
裁判所前、市役所前、そして福井駅前。
路面電車から眺める街は素敵だった。

柴田勝家とお市の方の夢の跡、福井。
彼等によって事実上、この街は始まったという。

秀吉軍が包囲する中、爆薬を炸裂させて滅んだ北の庄と、越前松平家が幕末まで守った福井城は別な場所にあり、後者には県庁をはじめ諸官庁が置かれ、初代結城秀康の銅像が立っていた。

大坂夏の陣で真田幸村を討ち取った越前兵は勇猛だった。
どの時代の戦場でもそうなのだろう。
二代目松平忠直はほとんど狂人に近く、妻の密告によって破滅を迎えるまで、そんな男に対しても越前兵は忠実だった。

福井駅は工事中で、JRは仕上がり、えちぜん鉄道はまだ完成を見ていない。
再開発用地は柵に囲まれ、未来の設計図を示すには至っていない。
繁華街の人通りはまばらで、特に若い世代を見ない。

たまたま入った店は繁盛店だったらしい。
美味い酒と肴を出してくれる店で、主人からすれば対応に窮するほどの入りだったようだ。

福井県は幸せ基準じゃ最高ランクにあるという統計が出ている。
数年前の台風で寸断された越美北線もどうやら全通したようだ。

中秋の名月を福井で見た。
その記憶が残るといい。

残っていたら、来年の今頃はひとりじゃないかもしれない。
去年から、旅先ではそんな思いにふけるようになった。

このままでいるはずがない。

関連記事

「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】初日(東京-岡谷-長篠-飯田)その2-野田城、長篠城、大海、三河大野、浦川、門島、桜町、飯田(飯田線)

鉄旅日記2018年4月7日・・・野田城駅、長篠城駅、大海駅、三河大野駅、浦川駅、門島駅、桜町駅、飯田

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】最終日(飯田-安曇野-木曽-東京)その3-日出塩、贄川、村井、上諏訪、日野春、西国分寺、新松戸(中央本線/武蔵野線)

鉄旅日記2018年4月8日・・・日出塩駅、贄川駅、村井駅、上諏訪駅、日野春駅、西国分寺駅、新松戸駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】最終日(新津-東京)その4‐浪江、いわき、常陸多賀、石岡(常磐線)

鉄旅日記20220年4月5日・・・浪江駅、いわき駅、常陸多賀駅、石岡駅(常磐線) 16:34 浪江(

記事を読む

「鉄旅日記」2012年晩秋【休日おでかけパスで、相模線途中下車旅】保土ヶ谷、大船、香川、北茅ヶ崎、厚木、社家、相武台下、原当麻、下溝、片倉、八王子、猿橋、西八王子、武蔵小金井、東小金井(横須賀線、東海道本線、相模線、横浜線、中央本線)

鉄旅日記2012年11月17日・・・保土ヶ谷駅、大船駅、香川駅、北茅ヶ崎駅、厚木駅、社家駅、相武台下

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】初日(東京-酒田)その3‐新潟、村上、羽後本荘(信越本線/白新線/羽越本線)

鉄旅日記2019年12月7日・・・新潟駅、村上駅、羽後本荘駅(信越本線/白新線/羽越本線) 11:4

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】3日目(南宮崎-隼人)その2-宮崎、清武、田野、山之口、西都城、餅原、都城、京町温泉、えびの、吉松(日豊本線、吉都線)

鉄旅日記2013年8月12日その2・・・宮崎駅、清武駅、田野駅、山之口駅、西都城駅、餅原駅、都城駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】初日(東京-高山)その4‐多治見、坂祝、美濃太田(太多線/高山本線)

鉄旅日記2020年3月20日・・・多治見駅、坂祝駅、美濃太田駅(太多線/高山本線) 14:19 多治

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】最終日その2(岩倉-東京)-笠松、新羽島、岐阜羽島、羽島市役所前、西笠松、新木曽川、名鉄一宮、玉ノ井、萩原、日比野、弥富、近鉄弥富(名鉄本線/名鉄竹鼻線/名鉄羽島線/名鉄尾西線)

鉄旅日記2015年3月8日その2・・・笠松駅、新羽島駅、岐阜羽島駅、羽島市役所前駅、西笠松駅、新木曽

記事を読む

「車旅日記」1998年夏【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】3日目(秋田-北上ー遠野)-道の駅西目、道の駅東由利、ほっとゆだ駅、北上駅、遠野徳田屋旅館

車旅日記1998年8月14日 1998・8・14 7:17 7号国道‐西目(道の駅) 自由な日々

記事を読む

「鉄旅日記」2012年初冬【週末パスで、上越途中下車旅&高田で友人の結婚式に参加】初日(東京-長野)-吹上、北鴻巣、長野、豊野、新井、高田、春日山(高崎線、長野新幹線、信越本線)

鉄旅日記2012年12月8日・・・吹上駅、北鴻巣駅、長野駅、豊野駅、新井駅、高田駅、春日山駅(高崎線

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】3日目(高松)その1 ‐片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮天満宮、滝宮駅、満濃池

車旅日記2020年9月21日・・・片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】2日目(高松)その2 ‐祖谷口駅、小歩危駅、大歩危駅、剣山リフト乗場、恋人峠、穴吹駅、黒田屋高松西インター店

車旅日記2020年9月20日・・・祖谷口駅、小歩危駅、大歩危駅、剣山

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】2日目(高松)その1 ‐瀬戸大橋遠景、丸亀城、少林寺、津嶋神社参道、津島ノ宮駅、詫間海軍航空隊跡、箱浦(浦嶋伝説の地)、父母ヶ浜

車旅日記2020年9月20日・・・瀬戸大橋遠景、丸亀城、少林寺、津嶋

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】初日(東京-高松)その5 ‐岡山、児島、高松(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話

鉄旅日記2020年9月19日・・・岡山駅、児島駅、高松駅(本四備讃線

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】初日(東京-高松)その4 ‐姫路、相生、有年、三石(山陽本線)

鉄旅日記2020年9月19日・・・姫路駅、相生駅、有年駅、三石駅(山

→もっと見る

    PAGE TOP ↑