「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】2日目(新潟豊栄‐象潟)道の駅豊栄、道の駅神林、瀬波温泉龍泉、道の駅温海、立岩海底温泉、酒田南郊、象潟駅、象潟松籟館
車旅日記2000年5月4日
2000・5・4 8:09 7号国道-豊栄(道の駅)
路上で夜を明かすと肝も座る。
いつもこんな感じでいたのだろうか。
丸2年ものブランクがあり、路上で過ごす気持ちを忘れていた。
昨夜、会津からここまでの旅程はなかなかきつかった。
しかしそのおかげと言っていいかどうか分からないが、夜は周辺の雑音に邪魔されずによく眠れた。
ビールも煙草も美味い。
体調がいい証だ。
特に問題も見当たらない。
いつも思うが、こうして路上で夜を明かすと、同じような朝を迎える人の多さに驚く。
かえって心強く思うこともあるけど。
初めて路上で夜を明かした最上川畔のドライブインじゃ、オレひとり。
怯えながら目を閉じたものだ。
今日は象潟で宿をとりたいと思っている。
その前に瀬波温泉で風呂にありつけるとうれしい。
何よりオレは日本海が見たくてここまで来た。
9:20 7号国道‐神林(道の駅) 477㎞
若干の眠気と気怠さと、ジミー・ロジャースのブルース。
特に理由もなく立ち寄ったわけだが、ちょっと地図を見たかった。
オレが見たい海はもうそこにある。
目の前の田園を突っ切ればすぐそこ。
いつか夕焼けを見たところ。
想う女性がいたんだ、あの時は。
単線のレールが目の前にある。
線路を見るのが好きなんだ。
どこまで続いているのか興味がある。
理由あってオレはこの身を車で運んでいる。
いつかのんびりと列車に揺られて旅をするのもいいだろう。
今日は2日目ということもあってか、昨日よりはリラックスしている。
東北圏内に入ったことも影響していそうだ。
関東ではぎすぎすして居心地がよくなかった。
まるで逃げているみたいだったよ。
ゆとりも何もなくてさ。
ブルース・スプリングスティーンがこんなことを歌っていた。
逃げるには一人がいい。
でも旅は二人の方がいい。
10:47 345号国道‐瀬波温泉 龍泉 485㎞
万事計画通りに進行している。
今回は想う存在がいないせいか、ノスタルジックな感慨に浸ることが多い。
ここでもそう。
5年前の同じ5月に寄っている。
日本海を前に彼女への想いをつづった時の話さ。
気づけばオレのような独り者も見かける。
それぞれの旅を楽しみながら、その反面不安に苛まれることもあるだろう。
露天風呂ではじっくりと腰を据えて湯に浸かっているひとりの青年がいた。
つられるようにオレも、おそらく人生で一番の長風呂を楽しんだ。
おかげで体がとても軽い。
焦る旅じゃない。
のんびりいけばいい。
それにしても、この雨とはいつまで付き合うことになる。
12:23 7号国道‐温海(道の駅) 539㎞
一度覗いた青空は消えて、雨は降り止まない。
以前にもここでは雨に濡れた。
そう言えば、今日の目的地の象潟でも多くのケースで雨に降られている。
雨は決してキライじゃない。
ここではかつて満天の星も見ている。
想いを寄せていた女性にこけしを購入したこともある。
そうした所縁の場所でもある。
ルートには間断なく車が続いている。
今日まではちょっぴり冷たい黄金週間。
少し眠ったらさっぱりした。
とても満足しているよ。
13:17 7号国道‐立岩海底温泉パーキング 記録不明
晴れたよ。
本番を思わせる青空が広がり始めている。
カモメが旋回し、海は適当に荒れて、真の日本海を思わせる。
少し激しい波の音も耳に心地いい。
今食べてきた1100円の刺身定食だが、驚くほど美味い。
久々に本当に美味しいものを食べた気にさせられたよ。
いつも海の近くに来ながら、刺身に手を伸ばしたことはなかった。
これまでだってよかったけど、これからはもっとよくなる。
そう確信している。
14:18 7号国道‐酒田市南郊 586㎞
ようやく晴れた空の下で風にあたる。
とても気持ちがいい。
こういう時の気分をうまく表現できないことをいつも残念に思う。
カモメの声。
鳥のさえずり。
トラクターの音。
素晴らしい景色を目にしている。
こうしたものに接したくてここまで車を走らせてきた。
一歩踏み出せば、そこはあぜ道。
誰もいない田園を前にすると、まるで定めのようにここに立つオレのために整地されているかのような感覚にもなる。
関西からやってきた二人のライダーも驚嘆しながら同じようにこの景色に接している。
目的地が近い。
時間配分も申し分ない。
15:40 象潟駅 634㎞
大好きな土地にやってきた。
何度目になるのだろう。
いつ来ても心が安らいでいくのが分かる。
駅前の喫茶店も変わらずそのまま。
宿の斡旋を頼んだ観光案内の女性はとても親切だった。
したがって今夜この町で過ごせることになった。
2000・5・5 8:10 象潟 松籟館 635㎞
滞在型の一日だった。
この町で素晴らしい宿を得て、夕方の町を散歩できたのは幸運だった。
オレを虜にした数々の史跡を、これまでとは違った視点から眺めることもできた。
九十九島は広大な面積にわたって点在していることを知った。
蚶満寺の便所に備え付けられている箱には確か150円をいれたはず。
その時17:00を告げる心地いいメロディが聞こえた。
象潟は夕日の町ともいう。
線路を横切り海辺へと下る。
海岸線が夕日を浴びている。
延々と歩いていく。
夏には海水浴場として賑わうビーチには少なからず人が出ている。
波打ち際で一様にはしゃいでいる。
オレも波が打ち寄せるところで飽かずに日本海を眺めた。
心中を去来したものを覚えていない。
無心にそこにいられる喜びに浸っていたのだろう。
この町で一番気に入ったのは、駅へと向かう坂道から眺めた象潟海岸だった。
どこの海に行っても、海辺に下りる道から似たような風景に出くわす。
いつも胸が高鳴る。
そして帰り際にはもう一度振り返る。
バックミラー越しにも眺める。
去りがたい思いにとらわれた後に、祭りの後のような寂しさに見舞われる。
でもその寂しさは、そこで喜びを味わった証。
いつもあんな坂道を探す。
約2時間の散歩だった。
夕食がまた素晴らしかった。
刺身、煮魚、焼き魚、ビールを2本。
テレビはつけず、窓から見える景色だけを友に豪華な食事を楽しんだ。
町は暮れていく。
やがて海が空と同化して、一軒前の屋根もまた同化していく。
一部始終を見ていたよ。
部屋に戻ると野球が気になっていたからテレビをつけたけど、そのまま眠りに落ちた。
そして朝。
昨日あれだけきれいに晴れた空はどんよりしている。
この先はどうだろうか。
これから秋田へ向かうと言ったオレを、宿の先代女将がまぶしそうに見てくれる。
さあこれから鳴子温泉へはどの道を行こうか。
まだはっきりとは決めていない。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】初日(東京-三ノ宮)-金町、東京、静岡、浜松、弁天島、大垣、美濃赤坂、石山寺、膳所、尼崎、西宮、芦屋、三ノ宮(東海道本線、美濃赤坂支線、京阪石山坂本線)
鉄旅日記2009年5月1日・・・金町駅、東京駅、静岡駅、浜松駅、弁天島駅、大垣駅、美濃赤坂駅、石山寺
-
-
「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その4‐宍道、加茂中、出雲横田、出雲坂根(木次線)
鉄旅日記2020年7月25日・・・宍道駅、加茂中駅、出雲横田駅、出雲坂根駅(木次線) 13:
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】最終日(鷹ノ巣-東京)その3‐余目、三瀬、羽前水沢、間島(陸羽西線/羽越本線)
鉄旅日記2020年1月13日・・・余目駅、三瀬駅、羽前水沢駅、間島駅(陸羽西線/羽越本線) 14:0
-
-
「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】2日目(盛岡-宮古)その4-陸奥湊、白銀、鮫、久慈、宮古(八戸線/三陸鉄道リアス線)
鉄旅日記2019年9月22日・・・陸奥湊駅、白銀駅、鮫駅、久慈駅、宮古駅(八戸線/三陸鉄道リアス線)
-
-
「車旅日記」2006年初夏【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】最終日(近江八幡-長浜-揖斐-岐阜)-ホテルはちまん、近江八幡駅、安土駅、彦根駅、長浜駅、垂井駅、美濃赤坂駅、揖斐駅、木知原駅
車旅日記2006年7月17日・・・ホテルはちまん、近江八幡駅、安土駅、彦根駅、長浜駅、垂井駅、美濃赤
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その1‐松戸、土浦、友部(常磐線)
鉄旅日記2020年4月4日・・・松戸駅、土浦駅、友部駅(常磐線) 2020・4・4 5:29 松戸(
-
-
「車旅日記」1998年夏【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】最終日(鳴子温泉-高畠ー郡山-東京)-鳴子サンハイツ、潟沼、瀬見駅、道の駅むらやま、羽前中山駅、高畠、道の駅七ヶ宿、道の駅安達、郡山文化センター前、須賀川駅、西那須野三島セブンイレブン、与板ラーメンとん太、築地電通前、東京町田
車旅日記1998年8月14日 1998・8・16 8:26 鳴子サンハイツ 5日目。 一番遅い
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】初日(東京-高山)その5‐飛騨金山、下呂、禅昌寺、飛騨萩原、上呂(高山本線)
鉄旅日記2020年3月20日・・・飛騨金山駅、下呂駅、禅昌寺駅、飛騨萩原駅、上呂駅(高山本線) 16
-
-
「鉄旅日記」2009年秋【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】初日(東京-新庄)松戸、取手、友部、上菅谷、常陸太田、高萩、いわき、郡山、福島、米沢、山形、新庄(常磐線/水郡線/水郡線常陸太田支線/磐越東線/東北本線/奥羽本線)
鉄旅日記2009年10月10日・・・松戸駅、取手駅、友部駅、上菅谷駅、常陸太田駅、高萩駅、いわき駅、
-
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】3日目 金沢を後にして‐その3(R8→北陸道)小矢部、富山駅、有磯海SA
車旅日記1996年5月5日 22:15 8号国道‐小矢部 恋する女よ。 あれからオレはまだ走っ