「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その4 ‐新井、和田山、下夜久野、上川口、石原(播但線/山陰本線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】
鉄旅日記2025年8月14日・・・新井駅、和田山駅、下夜久野駅、上川口駅、石原駅(播但線/山陰本線)
15:11 新井(にい)駅(播但線 兵庫県)
「にい」と詠む。この駅で行き違い7分の停車。歴史を重ねた格調高い駅舎に何事かを思う。

1957年までは神子畑選鉱所へ向けて鉱山鉄道が引かれており、急行「但馬」が運行されていた際はその停車駅だった。当の選鉱所は2004年に撤去され、今はない。
そうした駅前風景と改札風景。


ひとつ前の駅は生野。

銀山があり、幕末には平野国臣をはじめとする倒幕勢力による挙兵があり、やがて長州藩兵の上京、蛤御門の変へとつながり、戦後の動乱を避けたい幕府の意思により平野は獄中で刺された。
平野国臣は頼まれごとには「ようござす」と常に即決して行動する快男児で、死期を悟った際は自ら胸を突き出して槍を受けた。
その間の事情は北条残党勢力挙兵による鎌倉動乱の中で幽閉中の護良親王が殺害された事情や、戦時下における動物園の動物たちがたどらなければならなかった道と同じと言える。人間はやはり同じことを繰り返す。あるいは前例にならったのか。
但馬に敷かれた鉄道風景を愛でる。


寺前から6駅目が終点和田山。この区間は鉄道上の秘境とも言えるが、竹田では天空の城へ誘われる。
15:38 和田山(わだやま)駅(山陰本線/播但線 兵庫県)
この町に泊まったことがあるが、この駅を明るい時間帯に見たことはなかった。感無量。

駅前は13年前からさらに閑散として、寿司を注文した食堂にはシャッターが下りていた。営業してくれていたことにあの夜は感謝したものだ。

ホームに戻れば線路脇にレンガ造りの旧和田山機関倉や給水塔の鉄道遺構。


それでも播但線は動いている。奇跡などではなく、永遠であってほしい。

16:00 下夜久野(しもやくの)駅(山陰本線 京都府)
但馬の国は草深く、播但線は草の中を右に分かれ、列車は緑の中を進んで往く。
和田山から3駅。京都府に入っている。ここで行き違い4分の停車。停車時間を誤って覚えていて危うく戻り損ねそうになる。
駅舎もないような駅だと勝手に思っていたが、立派な駅舎がある。ただ利用者が少ないことを示すように入口には蜘蛛の巣。

駅前には山陰街道こと9号国道。

現在の9号国道は京都を始点として下関まで通じているが、近世では益田より現在の山口線に沿うように津和野、山口と宿場を経て、小郡で西国街道と合流していた。
16:15 上川口(かみかわぐち)駅(山陰本線 京都府)
下夜久野からひと駅。2年前の夕暮れ時に降りた時はあたりが暗かった。次が福知山。

蝉の声。夏の音と西日。通りの先には姿のいい山。

列車行き違い9分の停車が下り列車が遅れていて、発車は6分後ろに倒れる。

夏空の下を緑色の列車に乗って京都に向かっている。

16:46 石原(いさ)駅(山陰本線 京都府)
「いさ」と詠む。さっきの新井といい、なかなかに難解だ。但馬、丹波地方にこうした変わった読み方が見られるのは興味深い。和田山線の石生は「いそう」と詠む。

緑色の駅舎が愛らしい。かつての福知山駅を思い出すのは、福知山が隣駅でもあり、確かこうした緑色をした味のある駅舎だったから。
列車の遅れで福知山にいる時間は消失している。

夏の音はここじゃヒグラシになった。今年初めて聞く。もっと盛大に鳴いてほしい。
明日の彼岸が過ぎれば、この夏もあとわずか。

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