*

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 初日(東京-紀伊田辺)その2-滝原、三野瀬、尾鷲、宇久井、田並(紀勢本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2019年

鉄旅日記2019年3月2日・・・滝原駅、三野瀬駅、尾鷲駅、宇久井駅、田並駅(紀勢本線)

14:14 滝原(たきはら)駅(紀勢本線 三重県)
3駅続けて数分の停車時間がある。
ここでは行き違いで8分止まる。

こののんびり旅がオレにはたまらない。

紀勢本線は亀山~新宮間は非電化で単線。
さっき降りた三瀬谷は特急停車駅だが、特急に乗っても名古屋までは約2時間を要する。
先を急げない事情を持った土地がこの国にはごまんとある。

リニア新幹線だの何だのと言っていることが、オレにはとてもアホらしく感じる。

滝原宮は伊勢神宮内宮の別宮とのこと。

インターネット地図で紀伊半島を上空から眺めると、ほとんどが山地であることが見てとれる。
あるいは伊勢からここまでの山地のすべてが神域なのではとの思いがよぎる。

黒潮が流れる海はまだ見えない。

より花粉を感じるようになり、彼女から二通目の返信が届いた。

15:00 三野瀬(みのせ)駅(紀勢本線 三重県)
ひとつ手前の紀伊長島に差し掛かる頃から黒潮流れる海が見えてきた。

かつて眺めた長島港の造船所。
浮かぶ巨大タンカーは錆を浮かせ、まるで置き去りにされたかのようにそこにあった。

その脇ではコンビニが営業している。
普段の仕事を思えば人様のことをとやかく言えた義理じゃないが、その光景を健気に感じて、視線は次なる入江へ向かった。

列車行き違いで14分の停車。
暖かな日差しの下に列車は停車している。



ダウンを脱いで半袖姿になる。

彼女とオレはどんどん親密になっていく。

15:45 尾鷲(おわせ)駅(紀勢本線 三重県)
20分の停車。

海辺までは行けず、コンビニでビールを買って引き返す。

前回降りた時よりも町は廃れて見えたが、車通りの少ない駅前通りを子供たちが元気に駈けていた。

子供が笑顔でいる風景には救いがある。



車窓から見える尾鷲湾は絶景と言っていい。

中部電力の塔が風景にアクセントをつけている。

町からもあの風景を目にすることはできないものかと、さっきは歩いていったんだよ。





スマホに残したこれらだけじゃ、とても足りない。

17:18 宇久井(うぐい)駅(紀勢本線 和歌山県)
九鬼、賀田、新鹿。
かつての旅で、わずかな停車時間の内に降りた駅を過ぎていく。

熊野市駅では海岸まで往復できるほどの停車時間を持ったこともある。

新宮から熊野川を渡って次の鵜殿駅まで歩いた前回。
熊野川渡河の際に現れる景色も絶景と言える。

新宮での乗り継ぎ時間は2分。
紀伊田辺行きに乗り換える。

新宮からは電化路線となるが、紀伊田辺までは変わらず単線。

新宮を出るとすぐに黒潮海道が車窓に広がる。

いつの間にか空は曇り、車内は年若な者たちに占められた。

この駅で行き違い3分の停車。

街道に接した駅前だった。

次の駅が那智。
そしてひと駅を間に置いて紀伊勝浦。

同じように紀勢本線で下ってきて、太地で引き返した前回の紀伊半島旅。

今回は和歌山まで行くよ。

18:23 田並(たなみ)駅(紀勢本線 和歌山県)
紀伊浦神あたりの海辺の集落に打たれてスマホを構えた。


熊野灘を飽かずに見入る。







串本での乗降はわずかで、列車は静かに進路を北へと変えた。

乗ってきた若者たちは一様に眠りに落ちて、2両の乗客はそれぞれ10名ほど。

本州最南端の車窓に写るものは見えず、闇が下りた一帯をひたすら北へ向かっている。

行き違い5分の停車。

駅舎には磯釣りへと誘う古い地図が描かれている。

駅前に串本病院の送迎バスが入ってきて、人を下ろすのかと思いきや180度に方向を変えて走り去った。
たんに方向転換のために入ってきたようだ。

関連記事

「車旅日記」2003年晩秋 2日目(南紀白浜-伊勢志摩)走行距離421㎞ -白良浜、白浜駅、見老津駅、潮岬、紀伊大島樫野灯台、湯川駅、瀞峡街道・熊野川、十津川、熊野きのくに、紀伊長島駅、伊勢志摩 【紀伊半島に焦がれる日々。南海道を往くのは2度目でございます。】

車旅日記2003年11月23日・・・白良浜、白浜駅、見老津駅、潮岬、紀伊大島樫野灯台、湯川駅、瀞峡街

記事を読む

「車旅日記」2000年春 最終日(郡山‐茂木‐下館‐東京)郡山スターホテル、新白河駅、黒羽くらしの館、茂木駅、下館駅、みつかいどうロードパーク、葛飾金町 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

車旅日記2000年5月7日 2000・5・7 8:35 郡山スターホテル510号室 最後の朝がやっ

記事を読む

2018年秋 最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その2-養老渓谷、上総中野、大多喜、国吉、大原(小湊鉄道/いすみ鉄道) 【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】

鉄旅日記2018年9月23日・・・養老渓谷駅、上総中野駅、大多喜駅、国吉駅、大原駅(小湊鉄道/いすみ

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋 初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その2-湖北、下総松崎、成田、香取、延方、北浦、佐原、大戸(我孫子支線/成田線/鹿島線) 【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】

鉄旅日記2018年9月22日・・・湖北駅、下総松崎駅、成田駅、香取駅、延方駅、佐原駅、大戸駅(我孫子

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走 初日(東京-津)その1-金町、西桑名、楚原、阿下喜、麻生田、丹生川(常磐線/三岐鉄道北勢線/三岐鉄道三岐線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

鉄旅日記2018年12月22日・・・金町駅、西桑名駅、楚原駅、阿下喜駅、麻生田駅、丹生川駅(常磐線/

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 最終日(大館-東京)-大館、十和田南、荒屋新町、前沢、一ノ関、愛宕、国府多賀城、陸前山王、北白川、東白石、蒲須坂、片岡(花輪線/東北本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月13日・・・大館駅、十和田南駅、荒屋新町駅、前沢駅、一ノ関駅、愛宕駅、国府多賀

記事を読む

「車旅日記」2004年春 2日目(紋別-釧路)走行距離367㎞その1-紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生花園、網走市鉄道記念館、網走監獄、網走駅、北浜駅、浜小清水駅 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月2日・・・紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その4‐雫石、田沢湖、神代、角館(田沢湖線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】

鉄旅日記2021年4月17日・・・雫石駅、田沢湖駅、神代駅、角館駅(田沢湖線) 14:50

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その1-安中、松井田、西松井田、横川、軽井沢、大屋(信越本線/しなの鉄道) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

鉄旅日記2019年2月10日・・・安中駅、松井田駅、西松井田駅、横川駅、軽井沢駅、大屋駅(信越本線/

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 3日目(小樽-富良野)その2-深川、増毛、留萌、北一已、深川、旭川、美瑛、千代ヶ丘、富良野(留萌本線/函館本線/富良野線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月12日・・・深川駅、増毛駅、留萌駅、北一已駅、深川駅、旭川駅、美瑛駅、千代ヶ丘

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その1 ‐金町、石岡、友部、水戸(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・金町駅、石岡駅、友部駅、水戸駅(常

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

→もっと見る

    PAGE TOP ↑