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「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】2日目-友人夫婦と過ごした一日

公開日: : 最終更新日:2025/05/14 旅話, 旅話 1996年

車旅日記1996年5月4日

1996年5月4日の記憶
一夜明けた。

友人夫婦はそこでしっかりと生活していた。
その空間には関西のラジオ局が選択した曲がかかり、オレはボサッと彼等の支度ができるのを待っていた。
そのラジオ局のステッカーは、山口ナンバーの彼の愛車にも貼ってある。

ルートは奈良に決まったらしい。

車の中、失礼ながらオレはよく眠った。
ひとりでいる時には感じなかった疲労が、友といる安らぎの中で顕在化したんだろう。

彼等は何も言わない。
オレをよく理解してくれる大切な人たち。
そしてオレに美味いものを食わせることに執心してくれていた。

案内してくれたのはラーメン屋。
「ちょっぴり変わった味だけど、オレたちはこいつを気に入っているんだ」と言う。
確かに変わった味で、そしてとても美味かった。

空は曇っていた。
なぜかオレは頭痛に悩まされていた。

友のジョークは相変わらず一流で、オレはよく笑った。
「奈良は田舎。腰が抜けるほど田舎」。
ずっとそんな調子。
しかし頭痛は引かなかった。

彼等が案内してくれた場所はどこも素晴らしかった。
特に奈良市街が見渡せる小高い場所は気に入った。

前回、彼等と神戸で遊んだ時は時間が足りなかった。
あの日のオレたちは妙に疲れていた。
夕方を迎える前に大阪への道を戻り、彼等の家の近くで寿司の詰め合わせと酒を買って帰った。

頭痛はまだ引かなかった。
その夜のことはよく覚えていない。

彼等といる時の幸福感は成熟したものになっていた。
そして二人はオレから疲れを取り除こうと最初に風呂に入れてくれた。

奥さんがオレに冗談を言う。
間違いない。
この友の奥さんは彼女しかいない。

やがて風呂から上がると、交替に二人は何気なく風呂場に消えていった。
ひとり彼等の生活空間に取り残されたオレは、男女で形成する幸せとは、ああいう形を指すのだろうと強く感じていた。

その夜、オレは早めに眠りについた。

1996年5月5日、朝の記憶
ツアーに出てから3度目の朝だった。

友人夫婦との別れの朝。
そして恋する女性との再会の日の朝。

友は秋の別れの情景を思い出して、中央環状線沿いのマクドナルドで朝めしを食ってから別れようと言う。

彼はいつもいいところをついてくる。
オレもそうするのが最適だと思った。

前回そこの駐車場で彼と抱き合ってから東へ向かったことをよく覚えていた。
でも奥さんは料理を作ると言ってきかなかった。

結局オレたちは彼女の手料理の前で最後の会話を交わした。

やがてオレは着替えを済ませて、いつものコカ・コーラの赤いキャップをかぶって彼等に別れの挨拶。
奥さんはオレの姿を見て、「一昔前の大学生みたい」と言って笑った。

この夏、彼等から残暑見舞いの返事が届いた。

ツアーの時にも聞いていたが、彼等には11月に子供ができる。
今はそのことで頭がいっぱいとのこと。
そして、「次にお前が来た時には玉のような赤ん坊を拝ませてやるから感謝しろ」と書かれていた。

「だからまたいつでも来い」。

中央環状線に向かう途中、子供を引きそうになった。
「あぶねえな」。
つぶやく。

そして心の中で彼等との別れを済ませて、中央環状線を堺方面に下っていった。
やがて1号国道に戻る。
淀川沿いのルートだ。

音楽はまた前回を踏襲して「ボス」、ブルース・スプリングスティーンの登場。
しばらくまた見ることのない大阪の街並を覚えておこうと気を張った。

京都との境でガソリンスタンドに寄る。
接してくれたのは見習いのような美しい女性で、便所から戻るオレを笑顔で待っていてくれた。

恥ずかしかったが、何気ない旅の出会いだった。

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