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「鉄旅日記」2023年七夕月 2日目(輪島-若狭本郷)その1‐輪島での思い出-恵比須屋旅館にて【令和6年能登半島地震の半年前に能登を、輪島を訪ねておりました。】

公開日: : 旅話, 旅話 2023年

鉄旅日記2023年7月16日・・・輪島にて

2023・7・16 6:22 恵比須屋旅館

すれ違う車もなく、途中の乗り降りもなくバスは進み、終点の旧輪島駅「ふらっと訪夢」に到着した。

のと鉄道七尾線の穴水より先が廃線になったのは2001年のこと。輪島との間には能登三井駅と能登市ノ瀬駅を置き、旧能登三井駅前はさっき通っている。駅舎が遺されていたよ。

当時の状況がわずかに保存されている。たまらなくウレシい。輪島駅に着いた気持ちになれる。

駅名標には輪島の次はシベリア。当時から空いたスペースへのいたずら書きがあったらしい。例えばウラジオストクとか。いつの頃からかシベリアに定着したとのこと。

輪島人のユーモアに微笑み、能登半島という土地柄を思う。

宿は駅前地図にも載っていたしすぐにわかったが、念のため見にいく。そこは輪島高校の正面。確認して、一度通り過ぎた寿司屋に戻り、地の魚を握ってもらう。味噌汁も含めてどれも美味く、大将との会話は相撲。オレが振ったんだ。

名横綱輪島関に輝関。二人は七尾出身。そして穴水の遠藤関。そこで団体さんが入り中断。そのまま店を出た。

角を曲がる頃に右腕にはめていたバングルを落としたことに気づき、再び店へ。お客もみんな気にかけてくれたよ。そんな風にして輪島の人情を知った。

結局バングルは外に落ちていた。リュックを背負う時だな。再び店に顔を出して顛末を告げ、騒がせたことを詫びたら、みんな喜んでくれたよ。

恋人とお揃いのPandoraのバングルで、色はピンクゴールド。映画「男はつらいよ」で、渥美清さん演じる車寅次郎が女物の浴衣を好んで羽織るように、彼女にはシルバーを渡して、オレはピンクゴールド。気に入っているし、恋人への想いとともに誇りに思っているんだ。

輪島は人の気配は希薄だが、家並の風情が素晴らしいし、夕暮れ時に映える。少し賑やかな町角を想像していたが、穏やかに日暮れを迎えていた。

残照を見に浜へ向かった。話し込む3人の女性をはじめ、めいめいが穏やかに時を過ごしている。立ち去りがたい思いが去来して、幸せを感じたよ。

腹は少し物足りなく、浜通りに面したおでん屋に寄ろうとしたが、どうやらいっぱい。仕方がない。そしてこの風情ある旅館に落ち着いた。

強い風が時折雨を連れてくる。7時前の輪島高校から声がして、ふと見れば逞しい野球部員にまじって女子生徒の姿がある。ずいぶん朝早いな。談笑する声は爽やかで青春を謳歌しているように見える。

あの当時剣道部員だったオレも、はたからはそう見えていたのだろう。オレの場合、実際は青春などと感じることはなく、ツラい日常に耐えていたのだが。でもやっぱり、笑ってはいたっけな。

そうか。県大会予選か。彼等は甲子園に行くための闘いに赴くのか。太鼓が持ち出され、若者らしい無邪気とも言える笑い声が響く。

その頭上で雄々しい鳥が彼等を見守るように旋回した。バスに乗り込むベンチ入りメンバー。母親の一人がそんな彼等を写す。

がんばれよ。

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